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美味い!

「それじゃあ早速水をろ過します」

 場所が変わりここは広場の真ん中。

 あれから暴動を起こした集団に、この街にいた人全ての人が加わり、広場まで足を運んだ。

 それも全て綺麗で純潔な水を手に入れるため。

 食料を得るため畑を作ろうにも綺麗な水がなければ何も始まらない。

 だからこうして皆に綺麗な水が作れる事を証明しなければならない。

「今回用意したのは、この地下都市から地上に出てすぐにある川から採ってきた水です」

 そう言いながら康生は容器に入った水を取り出す。

 その水はひどく濁っており透けて見る所か水の中には小さく黒い物体がいくつも浮いていた。

 川が汚染されているというだけあって、とても人が飲めるような水ではない。

 でも康生はこの水を飲み水に変える。

「それじゃあよく見てて下さい」

 広場の中央、台の上に立ってまるで理科の実験をするかのように川の水を専用の容器に入れる。

「今は中が見えないようになっていますが、これが終わり次第皆さんにこの中身を見せて、さらにこれの作り方の紙もお渡しします」

 そう説明する康生の手元を人々は熱心に見上げる。

 ここで暮らしている人達にとってこの実験はそれほど大事であり、純潔な水を自らの手で手に入れることは死活問題なのだろう。

 だからこそ皆は俺の実験をじっと見てくれている。だからこそ皆は暴動をやめてくれたのだ。

 正面には街の人々が、康生の後ろにはエルそして時雨さんが立っており、それより後ろには時雨さんの部下達が立っている。

 それほどまでの大人数で見守る中、康生の手元の容器はゆっくりとその役割を果たそうとする。

「そろそろ出てくるはずです……」

 康生はそう呟きながら容器の下にペットボトルを設置する。

 ゴクリ。

 誰もが固唾を飲みながら容器を見つめる。

 そして遂にその時がやってくる。


 ポタリ。


 容器から水滴が落ちる。

 ポタリ。ポタリ。

 一度落ち始めると次から次へとその後に続き水滴が下のペットボトルへと落ちる。

「おぉ!!」

 それを見て人々は感嘆の声をあげる。

 何故なら一つ一つの水滴は透明で、濁った水ではなくなっているからだ。

 それから数十分もたたずしてペットボトルにすべての水が落ちる。

 皆が無言で康生を見つめる中、康生は何も言わずにペットボトルを取り外す。

 そしてそのままペットボトルを口に近づけて、

 ゴク、ゴク、ゴク。

 その水を飲む。全て飲み尽くす。

「ぷはっーー!」

 勢いよく飲み干す。

 そしてそのままペットボトルを空高く掲げて一言叫ぶ。

「美味い!」

 その瞬間、広場一体で歓声が轟いた。

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