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高い背中

「ウォーーー!」

 辺りで一体した叫び声が響く。

 そしてすぐに康生を讃えるかのように叫ぶ声が響く。

「……流石、康生」

 遙か上にいるかのような康生の背中を見ながらエルはそっと呟く。

 康生は宣言通り、本当に暴動を解決してしまった。

 あの時もそうだ。康生は大丈夫だと言って私を助けてくれた。

 しかも私の夢を手伝うと言ってくれた。

 だから私は頑張ろうと思った。こうして人間の街に来て頑張ろうとした。

 でも実際は何も出来ずにいた。

 初めは人間の街に恐れ萎縮し、ただ縮こまる事しか出来なかった。それでもまた康生に励まされながらなんとか気持ちを立て直した。

 でもそれからは街の風景を楽しむ事しか出来なかった。

 あれだけ啖呵を切って人間と異世界人の共存を実現させると言っておいて私は何も出来ずにいた。

 それがただただ申し訳なかった。当然康生に対しても。

 でもここで諦めるエルではない。

 ぎゅっと拳を握り心に誓う。

 いつか康生と一緒にいても恥じないようになるのだと。

 いつかあの背中の横に並んでいられるようになると。

「それまで一緒にいてね康生……」

 エルは康生を見上げながらそっと呟いた。




「――ご報告があります」

「なんだ?」

 広い部屋の中、一人の男がひざまずく。

 その先には豪華な椅子に座る男が一人。

「先ほど起こった暴動の件なのですが、ただいま鎮圧されました」

「ほぉ、もう終わったか。やはりあの女、時雨は使えるな」

 椅子の男はにやりと歪んだ笑みを浮かべる。

「いえ、暴動を鎮圧したのは実は一人の子供でして……」

「何?」

 しかしすぐに歪んだ笑みが消え、睨むように目が細まる。

「その子供は時雨が連れていた子供で、驚くことに綺麗な水と米を大量に持っているようでした」

「なんだと?!」

 ドン。

 拳を机に叩きつけながら男は立ち上がった。

「子供ごときがそんな物を持っているなど言語道断!今すぐとりあげて事情を説明させろ!」

 すぐに命令を出すが、しかし男はひざまずいたまま動こうとはせず変わりに口を動かす。

「じ、実はその子供の話ではそれらの物は全て自らの手で作ったと。それにその技を民衆に教えるなど言っており――」

 ドン!

 男が言い終わるより前に、さらに鈍い音が部屋に響く。

「ならん!そのような事が民衆に知れ渡るなど言語道断!すぐに対処せよ!!」

「はっ!」

 今度こそ男は命令を聞き動き出す。

 部屋には興奮して拳と顔を真っ赤にした男が一人残ったのだった。

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