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止まる

「邪魔、するなっ!」

 突如、指揮官を庇うように現れた物体に対して、康生は思い切り魔法を放つ。

「ふっ」

 康生の攻撃を見て指揮官は笑みを浮かべる。

 余裕ととれるその表情に康生はさらに苛立ちを覚えながらも、さらに魔法の出力をあげた。

 だが、

「なっ!?」

 康生の手から放たれた炎の玉はすぐに消えてなくなってしまった。

「くそっ、もしかして吸収かっ!?」

 魔法が一瞬のうちに消えてしまったことで、雷の物体の体積がわずかに大きくなる。

「ふっ、ざまあないな。これで貴様の攻撃は全て無意味だ」

「そんなものっ!」

 直接的に魔法が使えないことを悟った康生はすぐさま『解放』の力を使って殴りかかる。

 雷の塊を相手にしていては時間がもったいないと思ったのか、瞬時に指揮官の背後へと移動し攻撃を放とうとする。

 だが康生が移動するよりも前に、雷の物体が指揮官を守るように囲う。

「くそっ!邪魔するなっ!」

 敵が雷だろうと康生は構わずに拳を突き出す。

 雷で拳を覆わせて、そのまま貫通させるつもりなのだろう。

 多少、魔力を吸収されようとも指揮官に確実に攻撃をあてようとしたのだろう。

「かかったなっ!」

 だが指揮官はそれを見越していたのか、康生が拳を突きつけると同時に声を張り上げた。

 康生の拳は雷の物体を貫通することなく、その場でとどまってしまう。

 『解放』の力を使っているにも関わらず貫けないそれに康生は違和感を感じるが、さらに魔力をあげて無理矢理にでも攻撃しようとする。

「おいっ!何してんだよっ!一旦退けっ!」

 そんな康生を見て、ザグは知事用から声を張り上げた。

 どうやら指揮官の様子から何か嫌なものでも感じ取ったのだろう。

 とにかくここは普通なら様子をみる場面だ。

 だが今の康生には両親の敵のことしか考えてない。

 冷静に考えれるほどの理性は今の康生にはなかった。

「くそっ!止めてってそういうことかよっ!」

 今となってエルが無線で頼んできたことを思いだし、ザグはすぐに康生を止めようと動き出す。

「く、そっ!どけよっ!」

 だがその間にも康生は魔力の出力をあげ続けて、雷の物体を貫通しようとする。

 出力があがっているからか、康生の拳は徐々に埋まっている様子だった。

「ふははっ!やれるものならやってみろ!貴様のその非力な力でなっ!」

 指揮官は中から話しかける。

「俺は、弱くないっ!」

 康生は指揮官に煽られると、さらに力をあげようと試みる。

 だがその瞬間、

「なっ……?」

 康生の動きがぴたりと止まったのだった。

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