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反逆者

「お前達は自分の仲間のことをどう思ってるんだよっ!」

 隊長達も含めて、無能扱いしたことに康生は怒りを覚えた。

 だがいくら怒りを向けど指揮官は澄ました表情のままだ。

「仲間だと?そんな者はいない。我らは皆、人類の未来。国王の為の道具でしかない」

 淡々と述べる指揮官を見て、康生は正気かと疑う。

 人類は皆等しく人類だ。

 それなのに目の前の指揮官は、自身の命ですら道具が何かと思っているような態度なのだ。

 まるで理解が出来ない考えに康生は何も言い返せずにいた。

「――矛盾してるね」

 口ごもる康生とは逆に、奈々枝はしっかりと指揮官を睨んで言葉をもらす。

「あなた達が言ってる道具もまた同じ人類じゃないの?それなのに人類の未来を守るとか言うけど、道具の未来を守ってるって言ってるのと同じじゃない。あなたの言葉で言えば無能の未来を守ってるとしか聞こえないわよ」

 奈々枝には珍しく、長々とまるで説教をするように言葉をぶつける。

「な、なんだとっ?」

 指揮官はその言葉を受け奈々枝を睨む。

「だってそうでしょ?あなただって国王だって、隊長だって人よ。その人のことを無能を呼ぶなら、あなたは無能の王と無能の未来を守ろうとしているとしか聞こえなかったわ」

「き、貴様っ!」

 わざとなのか、それとも意図的になのかは分からないが、奈々枝はさらに指揮官の怒りを煽っていく。

 康生は奈々枝に何か意図があるのかと思い、じっとその様子を見守る。

「国王をそのように言うなど絶対に許さぬっ!」

 どんな意図があったのか分からないが、奈々枝の発言は見事に指揮官の沸点を沸かせた。

 腰に差していた剣を抜いて、まっすぐ奈々枝へと向ける。

「……」

 康生はすぐに奈々枝を庇うように立ち、指揮官をにらみ返す。

「元はといえば貴様ら一族のせいだっ!お前等の両親が素直に我々に従っていれば計画はこんなにも遅くならなくてよかったんだよっ!」

 指揮官は怒りの矛先をすぐに康生に向けた。

 今までの敵兵達の反応をみるからに、康生の両親と敵の関係はあまり良好ではなかったことが分かっていた。

 だからこそ康生は両親の行方が気になって仕方なかった。

 表では行方不明と処理されていた分、余計に気になっている。

「ちなみに俺の両親は今どこにいる?」

「なんだ?知らないのか?」

 怒りの形相を浮かべていた指揮官だったが、康生の問いかけを聞くとすぐに笑みを浮かべた。

 にやにやと、まるで面白いものでもみるかのように。

「お前の両親は貴様らと同じ反逆者。つまり、どういうことか分かるよな?」

 指揮官はまるで面白い話でもするかのように、康生に向けて醜悪な笑みを浮かべたのだった。

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