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「なんだよっ……あれはっ」

 大きさが倍になった物体を見上げながらザグは吐き捨てる。

「しかも奴は形が自由に動きやがるっ」

 先ほど、敵兵達の体から吸収するように変形したのを思い出す。

 恐らくあの物体は形は臨機応変に変わっていくだろう。

 だからこそ厄介なのだ。

「おい康生っ。奴への攻撃手段は分かっているのか?」

 敵兵の安否が確認でき、ザグ達もようやく攻撃態勢に入る。

 だが敵はただの魔力の塊。

 しかも形が変形するときた。

 どう攻撃していいか異世界人であるザグ達ですすら分からずにいるようだった。

「俺もまだ完璧に分かったわけじゃないが、恐らく奴が攻撃を繰り出せば繰り出すほど奴の体は小さくなると思う」

「なるほどなっ」

 康生は先ほど攻撃した時に、はっきりと奴の姿を見ていた。

 だからこそ、康生の攻撃を防ぐために攻撃をしてきた奴の体がわずかに縮んだのを康生は見ていた。

「だけど、奴に魔力を吸収されたら終わりだ。その為にも出来るだけ沢山攻撃をさせる。これが作戦だ」

「けっ、結局は持久戦かよ」

 攻撃を入れることが出来ない以上、康生達はひたすらに敵の攻撃を避け続けることしか出来ない。

「まぁ、それで倒せるならいいか」

 そういうとザグはすぐに異世界人達に指示を出す。

 康生達はなんとしても兵器で作業している奈々枝達に近づかせないように動かないといけない。

「ひとまず俺が注意を引きつける。その間に敵の動きを見て覚えてくれっ」

 康生はそれだけ言って、物体に接近していく。

「けっ、一人でかっこつけやがってよっ」

 それを見ながらザグ達も周りに広がっていく。

 少しでも攻撃範囲を広くし、沢山の魔力を使わせるためだ。

「おしっ!それじゃあ行くぞっ!」

 康生が中心となって敵の注視を引きつけ、ザグ達が周りから敵に向かって攻撃を加える。

 それにより、徐々にだが敵の見た目が小さくなっていくのが分かった。

「よしっ、このまま行くっ!」

 確実に敵が弱っているのを確認した康生は、さらに敵を翻弄するために動き回るのだった。




「それであの力はどうなっている?」

 戦場から少し離れた場所にある馬車の中。

 指揮官達が一同に介していた。

 そしてその中心に国王が一人座っていた。

「はい。現状、反逆者共と戦闘を開始しております」

「ふっ、まさか本当にあんなものが作れるとは思わなかったな」

 国王は例の物体のことを思い浮かべる。

「それで肝心の兵器の方はどうなっている?」

「それも問題なく。何やら奴らは兵器をいじっているようですが、すでに対策はしてあります」

「ならいい」

 指揮官の報告を聞き、国王は満足の笑みを浮かべる。

「それで、肝心の例の作戦は露見していないだろうな?」

「はい。それも問題ない」

「ふっ、ならよい。それでは引き続き頼むぞ」

「はっ」

 それだけ言うと、指揮官達は再び戦場へと戻るのだった。

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