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物体

「な、なんだあれは……」

 康生達の視線の先には、何やら不気味な物体が浮かんでいた。

 それは生物と呼んでいいのかも分からないほど、奇妙な物体だった。

 ただその場に漂っている。そういう物体だった。

「おい、なんだありゃ……。魔法、か?」

 ザグ達異世界人はその物体を認識した瞬間、怯えるように見ていた。

 康生でもその物体からは強大な魔力を感じることができた。

 恐らく、異世界人ならばより正確にあの物体から魔力を読みとれるのだろう。

 ザグ達の表情を見ていれば、あれの凄さが否応なしに分かる。

「あれだけの濃度の魔法は存在するのか?」

 純粋に魔力が込められた物体なので、康生はザグ同様に何かの魔法かと疑う。

「いや……俺の知ってる限りじゃあんだけの魔力が込められた魔法ねぇはずだ……。しかもあれは魔力が際限なく増え続けてやがる。まるで魔力暴走みてぇだ……」

「魔力暴走……」

 確かに、あれは大気中の魔力を際限なく自身の体に取り込むものだ。

 しかしあれは人体の場合だ。

 生物ですらないあれの正体は今の康生達には判断がつかなかった。

「なっ、なんだあれはっ……!」

 すると康生達の背後からは指揮官の怯えた声が聞こえる。

「なんだよっ!あれはてめぇらのもんじゃねぇのかよっ!」

「し、知らんっ!あ、あんなものは我々など……っ!」

 敵兵達の様子を見るからに指揮官が言っていることは本当なのだろう。

 兵器が発動し、安心しきっていた敵兵達の表情が全員もれなく怯えたものに変わっていた。

「くそっ!一体なんなんだよあれはっ!」

 半ば自棄になりながらもザグはそれに攻撃を加えようとする。

「待て!ザグっ!」

 情報が全くないままであれに立ち向かうのは無謀だと判断した康生はすぐにザグを止める。

「じゃあ一体どうするんだよ!俺達は兵器も止めなければならねぇんだぞっ?」

 ザグも無謀なことをしようとしていることは自覚していたのか、すぐに攻撃をやめる。

 だが状況が状況だ。ザグの言う通り、悠長なことを言っている場合ではない。

「英雄様っ!」

 康生が判断を迷っている中、背後から新たな声が響く。

「奈々枝かっ!」

 振り返ると、奈々枝と共にエル達が康生の元まで駆け寄ってきていた。

「恐らくあれの正体は地下都市で英雄様が戦った隊長の一人ですっ!」

 康生の元にたどり着くや否や、奈々枝はその物体を指さして叫ぶのだった。

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