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戦場

「あれだな」

「そうみてぇだな」

 傷の回復が終わった康生達はすぐ様、例の兵器の元へと向かった。

 指定された場所へとたどり着いた康生達は物陰に隠れて兵器をじっと見つめる。

「確かになんか嫌な感じがびんびんする……。とんでもねぇ魔力が込められてるぜ……」

「あぁ、そうだな」

 物陰に隠れながらザグは兵器から感じ取る嫌な気配に顔をしかめる。

 兵器と呼ばれるそれは、丸いカプセル型のものだった。

 そして奈々枝からの報告通り、兵器の側面のガラス面からは人の姿が確かに確認できた。

 数にしておよそ数十人。

 恐らく兵器に入った人間から魔力を全て吸い上げているのだろう。

 ザグの言ったように、康生も兵器から禍々しい魔力を感じ取っていた。

「ありゃ、魔力暴走よりたちが悪いぜ……」

 兵器を見てただただザグは嫌悪感を吐き出す。

 ザグとともに来た他の異世界人達も同様に表情を険しくさせていた。

「落ち着けよザグ。俺達の目的は兵器を守ってる護衛を倒すことだ。兵器にだけは絶対に手を出したらだめだぞ?」

「あぁ、わかってら」

 暴走しそうなザグは康生はあらかじめ抑制しておく。

 だがザグもそこはしっかりと分かっているようで、歯がゆい思いで敵を睨む。

「どうするよ康生っ。このまま正面突破か?」

「あぁ、そうだろうな。妨害用の兵器は全てあっちに置いてきてある。だからこそ正面突破ですぐに無力化するしかない」

 人も道具も足りない中、康生達は正面から堂々と殲滅することを選択する。

 実際、康生達の戦闘スタイル的にも適している。

「よし、じゃあ行くか。くれぐれも油断はするなよ。あれは敵の要だ。当然、防衛の戦力はさっきとは比べものにならないと思っておけよ」

「おうっ、分かってるよっ」

 じっくりと兵器の周辺を観察し、襲撃を入れるポイントを決める。

「よし。じゃあ皆準備はいいか?」

「「「おうっ」」」

 それぞれのポイントに移動したザグ達は一斉に返事をする。

「よしっ、じゃあ突撃だっ!」

 康生が叫ぶとザグ達は一斉に飛び出すのだった。




「報告があります。遂に例の兵器に康生が到着しました」

「ほぉ、そうか」

 戦場から少し離れた場所。

 例の豪華な馬車の中に一人の隊員が報告を持ってくる。

「また複数の異世界人も確認しております」

「ほぉ、いいじゃないかっ」

 兵器が康生達に狙われているというのに、その人物はなんら嬉しそうに口角をあげる。

「作戦は順調に行ってるようだな。これで我々の勝利もすぐそこだっ」

 男は高らかな笑いをあげてる。

 それはこの戦場には似合わない、高らかな笑いだった。

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