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確信

「つまり、兵器を破壊すれば敵は死ぬ。かといって放置していると異世界に甚大な被害がでると?」

 現在の状況について康生は簡潔にまとめる。

「そういうことですね」

 奈々枝が苦しそうにうなずく。

 これでエル達の表情が暗かった理由が分かった。

 敵は絶対に殺すことは出来ない。

 でも兵器をどうにかしないと異世界人達が大量に死んでしまう。

 まさに絶望的な状況だった。

「細かいことは知らねぇが、その兵器とやらは止めることは出来ないのか?」

「今、情報を集めている最中です。しかし、流石に兵器の周りは防衛が厚くて……」

「なら俺達はそこを突破できるようにすればいいんだなっ」

 やることが分かったからか、ザグはすぐさま移動を開始しようとする。

「ちょっとまだ回復終わってないわよっ」

「お、おいっ」

 しかしすぐさまエルに止められてしまう。

「そうよお兄ちゃん。まずは皆けがを治してもらって。それで休息が終わってからお願いするね」

 今まで少ない人数で最前線を戦っていたからか、ザグ達の体力は大分消耗されていた。

 だからこそ奈々枝は休憩をとらせる意味でも一度下げさせたのだった。

「ちっ、分かったよ」

 自身の体のことだ。流石にザグも休憩をとらないといけないことは分かっているんだろう。

 ここは素直に傷を癒してもらっていた。

 援軍が来てくれたおかげで、回復魔法が使える者も増えた。

 ほんのわずかしかない時間だが、それでも康生達は体を休めるのだった。


「奈々枝。一つ聞きたいことがあるんだけど」

 けがを癒してもらう中、康生は奈々枝の元へと移動する。

「なんですか英雄様?」

「いや敵の兵器についてだ。今分かっている情報でいいから教えてくれないか?」

「は、はい、いいですけど……まだあまり情報はありませんよ?」

「いや、それでいい」

 そうして康生は奈々枝から敵の兵器についての資料を手渡される。

 奈々枝の言った通り、確かに情報はまだほとんど集まっていなかった。

 せいぜい兵器の見た目や、規模、そしてそれに使われている魔力量の多さぐらいしか分かってないようだった。

(……この兵器もしかして)

 だが康生はその資料を見て、何かを思い出すように頭をひねる。

「何か分かりました?」

「いや、まだ確証はもてないんだけど……」

「はい。なんでもいいんで話してください」

「実は……」

 康生は奈々枝にだけ聞こえるようにそっと耳打ちする。

「えっ?それは本当ですか?」

「まだ確証はない。でも恐らくそうだと思う」

「でもそれだったら……」

 康生の言葉を聞いて奈々枝はなにやらぶつぶつと呟き始める。

「もし確信が持てたらまた連絡する」

「はい。お願いします。そしてもし確信が出来たなら……」

「あぁ。その時は俺に任せてくれ」

 康生はそれだけ言って奈々枝の元を離れていった。

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