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絶望

「うん。……もしこの兵器が使われたら恐らく異世界の半分は壊滅すると思ってて」

 奈々枝の口から発せられた言葉が、あまりにも規模の大きいものでザグ達は思わず固まってしまう。

「……それは一体どういうことなんだ?」

 勿論、冗談で言っているわけではない。

 だからこそ、すぐに状況を把握するため康生は奈々枝に詰め寄る。

「はい。実は奴らある兵器を開発していたんです。魔法を使ったとんでもない兵器を」

「じゃあすぐにでもそれを壊せにいけばいいのか?」

 あまりにも荒唐無稽な話だが、とにかくそんなことが出来てしまう兵器がある以上は必ず阻止しなければならない。

「そうなんですよ。でも……」

 壊せばいいという康生の言葉を聞き、奈々枝はどこか口ごもってしまう。

 当然、それだけの兵器だ。

 それを防衛する戦力はすごいものだろうと容易に想像はつく。

 しかし奈々枝が言いよどんでいる理由は単純にそういうことではないのだと、康生はなんとなくだが察する。

「――実はその兵器は人なんですよ」

「なっ!?」

 次の言葉を聞き、康生はさらに驚愕したように奈々枝を見つめる。

 頭の処理が追いついていないようだ。

 それほどまでに康生の中で何か、大きくショックの受けたのだろう。

「ま、まさか……それほどの力を持つ奴がいるのか?」

 恐る恐る、といったように康生は奈々枝に尋ねる。

「まさかっ!俺達の中でも異世界の半分を丸ごと破壊する魔法なんてものはねぇぞっ。それこそ康生にだって出来ねぇはずだ」

 康生に続いて、ザグも随分と動揺しているようだった。

 ザグの言った通り、康生でもそんな力はない。

 そして絶対的な力を誇っていただろう康生は、そんな相手がいるのだという事実にただただ動揺を隠しきれない様子だった。

「ええ、一人ではそんなことは出来ないわ。……兵器は大勢の人の力によって運用されているの」

「じゃあそいつらを倒せばそれで終わりってことだな」

 敵は単体ではないと聞き、ザグは少しだけ安心する。

「そうしたいのは山々なんだけど、そう簡単な話じゃないのよお兄ちゃん」

「どういうことだ?」

 確かにザグの言う通り、その魔法を使おうとしている大人数を倒せばそれで兵器は使えなくなる。

 しかし奈々枝やエル達の表情をみる限りでは、どうもそんな簡単にはいかないようだった。

「説明してくれ。何がそんなに厄介なんだ?」

 何か嫌な予感をひしひしと感じながら康生は尋ねた。

「敵の兵器は大勢の人を使って出来ているわ。そう、人を使っているの。つまり、兵器の中そのものに人間が使われていて、兵器を壊せば人も死ぬし、逆に人を助けようとすれば兵器を壊す行為に該当してしまうの……」

「そんな……」

 奈々枝の口から語られた言葉に、康生はただただ絶望するように声を絞り出したのだった。

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