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会議室

「議会中にすまない。たった今、重大な報告がきたのだが……」

 リリスを中心としてそれぞれの国の代表達が討論をしている時、会議室の扉が突然開かれた。

「なんじゃ?大事な議論の最中だぞ?」

 突然の参入者にリリスは表情を曇らせる。

 リリスにとっては今は大事な場だからこそ、邪魔されたことに機嫌を悪くしたのだろう。

「すいませんっ!しかしこれは我々全体にとって大事な話です!」

 他の国からも邪険な視線を向けられながらも、参入者は慌てたように会議室へと足を踏み入れる。

「大事な話じゃと……?」

 不躾なことだと承知で入ってきたそいつを見て、リリスは少し嫌な予感を覚えた。

「ほぉ、大事な話か。それはこの会議を中断させるだけの理由はあるのだな?」

「はいっ!」

 他の国王から圧をかけられながらもその人物は立ち去る様子はなかった。

「ほう、ならよかろう。その重大な報告とやたらを言ってみよ」

 流石にそこまで言われてしまった以上、他の国々の王達は報告を聞くしかない。

 だがそんな中でリリスは一人、背中に冷や汗をかくのだった。


「報告します!先ほど我々の領土周辺に大勢の人の軍団を確認!それらは皆、装備に身を包んでおり戦闘体勢が整えられている状況です!」


(……やはりか)

 参入者の報告に一同は驚きに包まれ、一気に騒がしくなる。

 報告を聞く以上は、武装をした人の軍団が異世界の近くにいるのだ。

 当然、侵攻してきていると思うだろう。実際そうなのだからこれはすぐにでも対処しないといけない。

「くそっ!やはり人間など信用できない!」

「やはり奴らは根絶やしにすべきだ!」

「恐らく我々の隙を突こうとしたに決まっている!すぐにでも排除すべきだ!」

 国王達はそれぞれ人を殲滅すべく、すぐに各々の部隊を向かわせようとする。


「ま、待つのじゃっ!」


 騒々しい会議室にリリスの声が響き渡る。

 リリスの声に一瞬だけ静まりかえる。

 だがそれも一瞬で、皆すぐに人間の対処をすべく指示を出し始まる。

「――リリス、残念だが今はお前の討論につきあっている場合じゃない。それはお前にだって分かるだろ?」

 リリスの言葉が無視された中、ザグが所属していた国の国王がリリスにそっと呼びかける。

「この状況だ。今、お前が何を言ってもどうもならない。向こうがこちらに攻めてきているのだ。こちら側としては迅速に対処しなくてはならない。それは当然お前だリリス」

「そ、それは……」

 人との共存を語っている中での人の侵攻。

 リリスにとって、それは最悪のことだった。

 康生達に任せていたリリスだったが、やはり異世界人達に知られてしまって表情を曇らせる。

(……くそっ。どうすれば……)


「――ちょっと待ってください!」


 だがその瞬間リリスとは別の声が、会議室に響き渡るのだった。

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