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思考

「奈々枝さんっ!なにやら敵の怪しい動きを観測しましたっ!」

 敵との戦闘の中、奈々枝の指示で周囲で敵の動きを観察していた部下の一人が報告をする。

 何かを隠していると踏んだ奈々枝は、部下達を動かしてこの辺り一帯を調査させていたのだった。

「それで一体どうだったの?」

 報告を聞いた奈々枝はすぐに部下の元へと向かう。

「はい。まず国王がいると思われる馬車を発見致しました」

「そう。ようやく見つかったのね」

 まずは敵のトップの位置を見つけたようで、奈々枝は少しばかり安心する。

「それで妙な動きの件なのですが……。なにやら少し離れた場所におよそ百人程度の兵士が一カ所にとどまっているようでして……」

「百人も?」

 戦場ではすでに敵の半数がやられているのだ。

 それなのに百人もの規模が一カ所に集まっているのはどう考えても不自然だ。

「それで敵は何をしていたの?」

「それがただじっと立っているだけで何も動きがありませんでした……」

 だがさらに報告を聞いて奈々枝の頭は混乱する。

「……本当に何もしてなかったの?」

「はい。現状何も動きはなく、ただ立っているだけでした」

「そう……。とにかく引き続きその集団を見張っておいてね。あと、まだ周囲の探索は継続してね」

 報告を聞いた奈々枝は、引き続き部下に指示を出す。

 しかしあまりにも敵の動きが不可解過ぎて対処できない、という様子だった。

「どうする?一応康生達にも報告しておく?」

「……うん、そうだね。一応お兄ちゃんにも現状報告しておかないといけないし」

 敵の目的がまだ何も分からない状態だが、ひとまずエルと奈々枝はそれぞれに現状を報告をする。

「――あれ?お兄ちゃんと連絡がつながらない?」

 しかし上代琉生に連絡をとろうとした奈々枝だったが、すぐに通信ができないことに気づく。

「えっ?もしかしてまた妨害電波か何かがあるの?」

 通信が出来ないと知り、エルはすぐにここに来る前の出来事を思い出す。

「いえ……通信はできてるみたいですが、向こうからの反応がないんですよ」

「向かうからの?」

 そう答えながら奈々枝は何度も上代琉生に通信しようとするが、向こうからの反応は返ってこなかった。

「もしかして何かあったんじゃ……」

 そのことにエルは少しの不安を覚える。

「いえ、お兄ちゃんはきっと大丈夫です」

 しかし奈々枝はすぐにエルの不安を否定する。

「だから私達は、私達の力だけでこの場をなんとかしましょう。向こうを信じる分だけ、私達も向こうの信頼に答えないといけないからねっ」

 そう言って奈々枝はすぐに思考を切り替える。

 そうして敵の動きをもう一度洗い流し、思考を練るのだった。

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