敵軍
『英雄様っ!ザグお兄ちゃんっ!今から私が指揮とることになったからよろしくねっ!』
敵兵の中で戦闘する中、康生とザグ達に無線が入った。
「分かった。上代琉生は異世界に行ったんだな?」
『はい、そうですね。隊長は最後に後は頼むと言ってました』
「後は頼むか。そんなの当たり前だ」
上代琉生からの伝言を聞き、康生はわずかに口角をあげる。
「へっ、随分と余裕じゃねぇかっ」
「別に余裕じゃないよ。ただ期待された以上はそれに応えるだけだよっ」
そう言いながらザグと康生は次々と敵兵を倒していく。
だが幾分敵の数が多い。
倒しても倒しても、敵は続々と出現してくる。
「しっかし、こりゃきりがねぇぞ?」
「あぁ。でも弱音を吐いてる暇はないぞ」
「わぁってるよっ」
ザグは分かってはいるが、それでも数の多さに圧倒されてしまう。
それほど、敵の数は多いのだ。
『大丈夫ですよ!雑魚の相手は私達に任せてくださいっ!』
すると、二人の会話を聞いていた奈々枝がすぐに行動を開始する。
「な、なんだっ!?」
その瞬間、遠くから爆発音が響き敵兵達はさらに動揺したように声をあげる。
見ると周囲を囲うようにあちこちから爆発音が響いていた。
爆発音が響くと、すぐにあちこちから白い煙が充満する。
どうやら康生が作ったガスで敵を行動不能にしようとしているみたいだった。
『英雄様っ!皆さんに例のものを渡しておいてくださいっ』
「あぁ、分かったよ」
そして奈々枝から指示があった康生はすぐにザグ達にあるものを渡す。
「これはなんだ?」
マスクのようなものを渡され、ザグは困惑したような表情になる。
「あのガス対策のマスクだ。これをつけていればまずあのガスを食らうことはない。だから危ない時はこれを付けてくれ」
「あぁ、そういうことか」
どうやらガス対策のものだった。
「へっ、中々せこいことを考えるもんだなっ」
「まぁ、これも仕方ないことだよ」
そういいながらマスクを受け取ったザグはさらに敵兵を倒しに進む。
『皆さん!そろそろ気をつけてくださいね。敵は元々異世界人達を倒すために編成された部隊です!恐らくそろそろ強い人達がきますよっ』
さらに追加で奈々枝が忠告をいれる。
「だそうだ。すでに聞いてるかもしれないけど、敵の中には魔法を使う奴もいる。だから気をつけてくれよ」
「あぁ、分かってるよっ!」
とそんな会話をした直後、ザグ達の前に火の玉が降り注ぐ。
「へっ、ちょうどきやがったじゃねぇかっ」
「そうみたいだな」
突然の火の玉に康生達はすぐに足を止める。
「だが、俺達に魔法勝負で勝てると思うなよっ!」
ザグはそう吠えながらさらに敵軍に向かって勢いよくつっこんでいくのだった。