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悲鳴

「今度はなんだっ!?」

 突然上空で大きな爆発音が鳴り響くのを聞いた指揮官はすぐに全部隊に停止するように言う。

 今までは小さな罠ばかりだったからか、派手な音に必要以上に警戒しているようだった。

「状況報告急げっ!」

 全部隊停止させ、すぐに状況を報告させようとする。


「きゃーーーっ!」


 だが兵士が指揮官に報告を入れるよりも前に、前方の方で叫び声が響くのだった。




「よし、もう敵軍の場所に到着する」

 トラックで移動している康生達はいよいよ敵軍に追いつこうとしていた。

「そうみたいだな」

 上代琉生の報告を聞いた康生は神妙な顔で地上に視線をずらす。

「それで、最終確認しますが、本当に敵軍の前方に行くことは出来るんですよね?」

「あぁ、そこは問題ない。作戦通り、まず俺達が敵前方にすぐに降り立つ。残りの兵士達は順に来てもらうって感じだよな?」

「今のところはそうですね」

 康生と上代琉生は最後に最終打ち合わせを行う。

 そしてリナさんと時雨さんはそれぞれ装備の最終調整に入っていた。

「本当に大丈夫なのよね?」

 だがそんな中で、エルだけはまだ不安が拭いきれないようで、心配そうにしていた。

「大丈夫。エルのことは俺がちゃんと責任もってあげるから大丈夫だよ」

「う、うん……、ありがとう」

 エルを安心させようと康生は言うが、なにやらエルは康生の言葉に少しだけ頬を赤らめた。

「……貴様、変なことをしたら承知しないからな?」

 するとそんなエルを見てリナさんは康生に鋭い視線を向ける。

「な、何もしませんって!安心してくださいよ!」

 そして康生はよく突然言われた意味が分からぬまま、慌てて答える。

「とにかく、もう時間がありません。皆覚悟を決めてくださいね」

 とそんな会話を見守っていた上代琉生がすぐに皆を集中させる。

「あぁ、もう始まるんだよな」

「うん、そうだね……」

 そして上代琉生に言葉に、康生とエルは何やら考え込むように呟く。

「英雄様がそんな顔しちゃだめですよ。英雄らしく戦場では常に堂々とお願いしますね」

「あぁ、期待に答えられるように頑張るよ」

 しかしすぐに上代琉生に言われて康生は意識を切り替える。

「それじゃあもう行きますよ。英雄様、準備はいいですか?」

「あぁ、いつでもいけるよ」

 上代琉生に言われて康生はすぐに装置の準備をする。

「それじゃあもういいんだな?」

「はい。お願いします」

 そうして康生は新たな戦場へ向けて、装置を起動させるのだった。


 装置を起動させると大きな爆発音が響きわたる。

 そして同時に空中へと身を投げ出された康生達は一直線に敵兵の先頭の場所へと向かう。

 だがそんな中で一人。

 爆発音に紛れながら、エルの悲鳴が響きわたっていたのだった。

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