表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
453/651

戦場

「――どういうことだ?」

 剣の男を無事に回収し終えた康生はそこで異変に気づいた。

「どうしてまだ魔法がっ!?」

 そう。剣の男から出ていた雷の魔法が未だ空中をさまよっていたのだ。

 炎の竜巻の時のように、普通ならばすぐに消えてなくなるはずだ。

(一体どうして……?)

 そんな疑問が浮かんだ瞬間、雷の塊はゆっくりと動き出す。

「くそっ!おい!こいつを至急エルのところに連れてってくれっ!」

 そう言って康生は剣の男をなるべく遠くに投げ捨てる。

 その一瞬の動作の間に雷は形を変えてまさに康生に降りかかろうとしていた。

「ちっ!」

 康生は咄嗟に回避し、すぐに地上に着地する。

 だが雷の塊はそんな康生をさらに追って攻撃を仕掛けてくる。

「意志を持ってる……?そんなの聞いたことがないぞ!」

 康生はひたすらに攻撃を避ける。

 敵が雷ということで攻撃手段をとろうにもどうしたらいいのか分からない。

 もしかすると直に消えてなくなる可能性もないこともないが、その可能性に賭けることはできなかった。

「これ以上力は使いたくないんだがなっ」

 必死に回避を繰り返しながら康生はそれを観察する。

 攻撃自体は、先ほどの剣の男よりも格段に弱くなっており、またスピードも遅い。

 『解放』の力を使わずとも、風の力だけでも回避できるレベルだった。

 だがそれでも油断はできない。

「とりあえずこれでも食らえっ!」


 ひとまず康生は攻撃を加えてみることに。

 それでも素手で殴るわけにはいかないので、簡単な火を使った攻撃魔法を使う。

「……分からないな」

 雷の塊に火の玉が当たり、一瞬たじろぐような様子を見せたが、すぐに火の玉が消滅してしまい攻撃できたのかもすら分からない。

「お前は一体なんなんだ……」

 敵が未知すぎる故に康生は戸惑ってしまう。

「あっ」

 だがしばらく観察していると雷の塊はやがて小さくなっていく。

「やはり自然消滅する類か……?」

 すでに攻撃も止んでいたので康生はしばらくそれを観察する。

 だがそれはすぐに小さくしぼみ、やがて風に飛ばされてどこかに飛んでいってしまった。

「……なんだったんだ一体」

 その様子を見て康生は呆気にとられる。

「まぁ、でもこれで一段落したな」

 周囲に敵がいなくなったことで、康生は一息つく。

「英雄様。すでに敵は壊滅状態にあります。ですので隊長殿が戦闘が終わり次第すぐに戻ってくるように言われています」

 しかし休憩している康生の元に、いつの間にか現れた上代琉生の部隊が近づいてくる。

「あぁ、分かったよ」

 だがここは戦場だ。

 それが分かってるからこそ康生はすぐさま上代琉生の元へと戻るのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ