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教育

「こいつらは他の地下都市でそれぞれ隊長を務めていた者達だ」

「何?」

 時雨さんが視線を向けると敵兵はにやにやと何かを思い出すように笑みを浮かべる。

「久しぶりだな時雨。もはやお前が反逆者になるとは思わなかったよ」

「私は正しいと思っていることをしているだけだ!お前達こそ今のこの世界がおかしいと思わないのかっ!」

「おかしい?なんことだ?」

 時雨さんが怒鳴り声をあげるが、敵兵はすっとぼけるように声をだす。

「和解しようとせずに異世界人を敵だと思い込むことだ!それに都長達を含む上の者達は皆身分がいいことに好き勝手やってる!そんな世界はおかしいとは思わないのかと言っているんだ!」

「あぁ、そういうことか」

 時雨さんの言い分を聞いた敵兵達はさらに笑みを増した。

「化け物どもを駆除して何が悪い?それに好き勝手やってる?そんなの当たり前じゃないかっ。この世は強い者こそが正義だ。弱い奴なんてのはいらないんだよっ!」

「ぐっ……!」

 醜悪な笑みを浮かべる敵兵を見て時雨さんは気分が悪くなるような錯覚を覚える。

 仮にも今目の前にいる敵兵は仲間だったのだ。

 隊長としての絡みも当然あった。

 だからこそ今その相手が敵として戦おうとしている。

 ねじ曲がった思想を持っている。

 その事実にただただ時雨さんは気分を害した。

「時雨。こいつらは何を言っても無駄だ。権力に溺れた者は中身がすでに腐っている。今何を話しても無意味だぞ」

 するとそんな時雨さんを見て、リナさんは叱咤する。

 これ以上何を言っても無駄だと。

「時雨!俺達はお前が理解できないよっ!化け物達と共に生きるぅ?そんな未来あるわけねぇだろうが!所詮化け物は化け物だ!そんなもん俺達人間と同じ空気を吸ってるのすら我慢がならねぇっ!」

 敵兵は醜悪な笑みを浮かべたままリナさんに武器を向ける。

「だから俺達がお前の目を覚ましてやるよっ!」

 そういうと同時に敵兵の一人がリナさんに飛びかかった。

「……なんだと?」

 しかし武器はリナさんの体を攻撃することなくはじかれる。

「目を覚ますだと?それはこっちの台詞だっ!」

 そう言って時雨さんは振り上げた武器を構える。

「化け物だとっ?そんなものどこにいるっ!」

 リナさんの前に立ちはだかりながら時雨さんは武器を振り上げる。

「お前達がその気なら私も本気でやらせてもらうぞっ!」

 鬼気迫る表情に敵兵達も思わず表情を険しくする。

「ははっ!よく言った時雨!」

 そしてそんな時雨さんを見たリナさんは高笑いをあげる。

 そしてゆっくりと敵兵を指さし、

「そういうことだ人間。今から私達がお前ら全員を教育してやろう!」

 高らかに宣言するのだった。

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