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返事

「いない……」

 上代琉生は奈々枝が向かってであろう方向を進むが一向に出くわす様子がなかった。

 しかしここは戦場。

 いついかなる時でも何が起こるか分からない。

 だからこそ本来進行すべきルートで奈々枝と出くわさないことは大して問題ではなかった。

 問題は別にある。

「返事がない、か」

 上代琉生は先ほどから何度も奈々枝に通信を送っているが、その返事が返ってくることは無かった。

 その点において奈々枝は何かしらのトラブルに巻き込まれた可能性が大いにあがる。

 しかし長らく通信に出れない状態になる前には、通信をこまめにしておけと部隊の中では散々言ってきた。

 だからこそ何も連絡がないということは、通信を送る前に何かしらのトラブルが発生したということだ。

(さっきの男の言葉もひっかかるからな……)

 あの男の話では、上代琉生の位置を知ることだけが目的だったという。

 各地で諜報活動を行っているからか、流石に上代琉生の存在が知れ渡っているようだった。

 だからこそ敵は警戒しているものと思っていたが、位置を知ることだけが目的とは一体どういうことなのかと、上代琉生は分かりかねていた。

(俺だけじゃなく地上のあらゆる場所は俺の部隊がいるはずだ。俺から隠れるように逃げても他の連中に見つかるだけだ。だったらどうして……)

 先ほどからいくら考えようとも答えが出てこず、上代琉生は自然と苛立ち始めていた。

 しかし冷静になりつつも今後の作戦を考えるべく、一度頭をリセットさせる。

(まずは各部隊に連絡して奈々枝の目撃情報を集める。あの男のことが気になるが、俺はやはりこの方面を探索すべきだな)

 そうして上代琉生が各部隊に連絡をし終えると再び敵主力を探すべく探索を始める。

(あいつのことだ。きっとどこかで何かしてるんだろう)

 奈々枝のことを少しだけ心配しつつも、上代琉生は部隊の隊長としての仕事を全うしようとするのだった。




「見つけたか?」

「はっ!たった今連絡が入り上代琉生を発見することが出来ました!」

 地上のとある場所に、簡易的なテントが設置されていた。

「よし、じゃあすぐに作戦に移る!いよいよ我が軍最高峰の兵器の力を見せてやるぞっ!」

「はっ!」

 そうして報告を受けた一人の男はテントから出て大声で叫ぶ。

 テントを前に隊列していた大規模な兵士達は勢いよく返事を返すのだった。

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