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無視

「ぐはぁっ!」

 男は血を吐きながらその場に倒れる。

「ふぅ……」

 倒れる男を見ながら上代琉生は一息をつく。

「あんまり戦闘は苦手だから手早く終わってよかったよ」

 そう言って上代琉生は魔道具をしまう。

(とはいいつつもここで魔道具を使ってしまったのは少し痛かったか。ここから先は少し慎重に行かないとな)

 しかし上代琉生はただ圧勝したわけではなく、戦いのほとんどを魔道具の力を使ってきた。

 だからこそ隊長クラスの相手にここまで圧倒することが出来たのだ。

(改めて魔道具の恐ろしさが分かったな……)

 魔法がなくとも使うことが出来る魔道具の恐ろしさを上代琉生は改めて実感する。

 そうすると共に上代琉生はすぐに次の行動に出る。

「とりあえずお前はここで縛っておくから大人しくしていてくださいね」

 そう言って上代琉生は地面に倒れている男の体を縛る。

 いくら力があっても破れることのないような紐を康生と共に開発していたのをそれを使う。

「くそっ……まさかここまでとはな……」

 男は動くことが出来ないのか、抵抗することなく上代琉生に縛られるままだった。

「だが俺の役目だけは果たしてもらったぞ?」

「……というと?」

 敗北したというのに男は不敵な笑みを浮かべる。

 それに違和感を覚えた上代琉生は動揺を隠しながら尋ねる。

「俺の役目はお前を足止めすることだ。この戦いでお前の存在は厄介だからな」

 足止めと言われたが、それほど長い戦闘では無かったため上代琉生は珍しく動揺する。

「お前の諜報能力は知っている。だがこうしてお前の位置を知る時点で俺達の目的は達成された」

「よく敵にそんな情報を吐きますね」

 必死に動揺を隠しながらも上代琉生はさらに敵の情報を聞き出すために会話に乗る。

「言っただろ?俺の目的は達成された。だからどう情報を漏らそうが関係ないってことだよ。新兵器の前ではお前等は全員無力になるだけだ」

 男はそれだけ言うと、これ以上は何もしゃべられないといった様子で目と口を閉じた。

 男の言動に困惑しながらも上代琉生は思考を回転させる。

 回転させながらも男を縛り終えた上代琉生はすぐに妹の奈々枝の元へと移動しようとする。

「お前達の目的は国王含む、主力部隊を見つけることだろ?だが残念だな、お前達に見つけることは出来ないよ。絶対にな」

 上代琉生が去ろうとする中、男は最後にそんな言葉を残すのだった。

(くそっ、何か嫌な予感がする……。とにかく早く奈々枝と合流しないと)

 上代琉生は半ば男の言動を無視するように足を進めるのだった。

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