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苦手

 爆発音が響き渡り、同時にあちこちから激しく声が響きわたる。

 そんな地上の要塞がある地点から大分距離をとった位置に二つの人影があった。

「どうやら始まったみたいだな」

「そうみたいだね」

 二つの人影は深くフードを被り顔が見えないでいた。

 だが遠くからやってくる風圧により、激しくフードが揺れる。

「全く、英雄様は本気を出し過ぎだよ」

 揺れるフードを抑えながら上代琉生が言う。

「まぁ、しょうがないよお兄ちゃん」

 そしてその横にいる上代奈々枝は笑顔で答える。

 二人は現在諜報活動として敵主力部隊の位置を探りに来ている。

 前回のように空から偵察することも考えたが、以前の手は敵に対策されていると呼んだ上代琉生はこうして自ら敵情視察をしにきたというわけだ。

「でも英雄様がこんなものまで作れるなんて驚きだよ」

 そう言って奈々枝はフードを掴む。

「まぁ、この能力事態は英雄様が使えたはずだからな。魔道具の技術は向こうで学んでいたみたいだから当然といえば当然だよ」

 どうやら二人は康生から魔道具を受け取っていたようだ。

「でもこの魔道具に入ってる魔力がなくなれば使えなくなるから慎重に使わないとね」

「そうだな」

 そうしていくらか会話を挟みながら二人はまっすぐ地上を進む。

 上代琉生の読みでは、恐らくこの辺りにいるとよんでいるようだ。

 康生が戦場で注目を引いてはいるが、長引きすぎると体力的にもよくない。

 だからこそ二人はすぐにでも主力部隊の位置を掴もうと進んでいるが、


「よぉ、こんなところで何してるんだ?」


 正面から突然現れたその男は、笑みを浮かべて二人を見下す。


「はぁ……」


 しかし上代琉生は突然の登場に対して反応を見せることなくただただため息をこぼす。

「奈々枝、いけ」

「分かったよお兄ちゃん」

 それどころか反応を返すわけでもなく、二人は淡々と行動を移す。

「あぁ?」

 その様子を見て、確実に不意を突いたはずの男の方がたじろいでいた。

「それじゃあ先行くね」

「あぁ」

 そして当然二人は男の反応などいちいち確認する暇もなく、奈々枝が先に進もうとする。

「おいっ!俺を無視するんじゃっ……!」

 すぐ隣を素通りしようとする奈々枝に対して、男は一瞬遅れながらも武器を振り上げる。

「邪魔するな」

 刹那、振り下ろされたはずの武器は上代琉生によって受け止められる。

「あぁっ?」

 そしてさらに不思議なことに先ほどまでいた奈々枝の姿がいなくなっていた。

「お前達一体……」

 あまりにも不可解な出来事に男は狼狽するように上代琉生を見る。

「悪いが俺は戦いは苦手なんだ。だから速く終わらせてもらうよ」

 そう言いながら上代琉生は受け止めた武器をはじくのだった。

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