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戦場

「止まってくださいっ!私達はあなた達との争いを望んでいません!だからどうか話し合いましょう!」

 要塞へと全方位から進軍してくる兵士達を前に、エルは拡声器を使って呼びかける。

 しかし当然といえば当然で、敵兵士達は進行をやめることはない。

 まるでエルの声が聞こえていないかのようにひたすら進軍を進める。

「お願いしますっ!」

 しかしエルは呼びかけを止めることなく、必死に訴えかける。

 だがそんな努力も虚しく、敵兵はとうとう門の前まで到着してしまう。

「タイムリミットだエル」

 必死に呼びかけるエルの隣にいた康生は、そっとエルの拡声器を下げる。

 どうやらこれ以上は無駄と判断したのだろう。

 それにこれ以上進軍を許せばこちらがさらに不利になってしまう。

 だからこそ康生はエルに下がるよう指示を出す。

「ここから先は俺の仕事だ。だからエルはエルで、皆の治療よろしくね」

 康生はそれだけ言って城壁の上から地上へと飛び降りる。

「頑張って、康生っ!」

 エルはそんな康生を見送りながら、大きな声を叫ぶのだった。


「康生が出たぞっ!皆の者心してかかれっ!」

「はっ!」

 康生が敵兵と衝突した瞬間に、時雨さん達城門の前で待機していた兵士達はそれぞれ武器を構える。

「いいかっ!ここから先誰一人通すなよっ!必ず守りきるぞっ!」

 時雨さんが叫ぶと同時に城門の前に敵兵が到着する。

「ここから先は通さないからなっ!」

 しかし時雨さんがすぐに対処をする。

 そうして時雨さん達城門班は次々来る敵を相手取るのだった。


「始まったようだな」

 康生が戦場に出たのを見ていたリナさんは勢いよく旋回する。

 上空から全ての戦場を見渡し、城壁を破られないように監視するのが今回のリナさんの役目だった。

 敵兵はやはり城門だけではなく、それぞれ分散して城壁を破壊しようと工作していた。

 しかしそんなことをさせまいと城壁に待機してた兵士達がそれを防ぐ。

「そこっ!新たに来てるぞっ!気をつけろっ!」

 リナさんは上空から監視しながら指示を出す。

 そのついでに魔法を使って敵の足止めも行う。 今回の砦の要はこの城壁だ。

 これが崩れればたちまち自軍の陣営は崩壊してしまう。

 だからこそ必ず守らねばならない。

 リナさんはそんな思いの元、上空を飛び回りながら監視を続けるのだった。


「死にたくない人はどいてくださいよっ!」

 戦場の中心。

 巨大な衝撃波と共に兵士の体があちこちに飛んでいく。

 その中心にいるのが康生。

 少しでも皆の負担を減らすために、ただ一人で戦場の兵士を相手とっている。

 本来ならば康生は敵主力を叩くための戦力だが、現状敵本体の場所は分からずにいた。

 だからこそ少しでも派手に動いて敵の動きを見る必要になる。

 そしてその動きを見るのが上代琉生の役目というわけだ。

 康生は少しでも上代琉生が動きやすいように、ひたすらに戦場で暴れるのだった。

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