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弱気

「俺もよく分からないけど、AIから父さん達の研究している資料をもらったんだよ」

 康生はAIからデータをもらった時の話をする。


「英雄様の両親って確か……」

「あぁ、武装機械のシステムを作ったお方だ」

 そう。康生の両親は武装機械を作った人だと言われている。

「確か行方不明って言われてたよね?」

「あぁ、あのお二人は随分と前に行方をくらましている。すでに死者として処理をされてるはずだ」

 武装機械を作った二人は、その姿を消してた。

 当然康生は二人を探そうとし、上代琉生に頼んでいたが、未だ情報の一つもつかめないということで本当に死んでしまったのではないかと思っていた。

「……ん?ということはまさか、その技術は失踪するよりも前にはすでに完成していたということか?」

 上代琉生の呟きに皆はっとする。

 そう。魔力暴走という異世界人しか知らないものについて研究されていたというデータは、姿を消す前にはすでに完成していたということだ。

 異世界人しか知らない技術をどうして研究できたのか。さらに謎が深まるばかりだった。

「ま、まぁ、でも父さん達はすごく人達だったからきっと魔力について研究してここまでたどり着いたんだと思うよ」

 親の驚異的なまでの才能を一番近くで見続けていた康生は言う。

「まぁ、そうね。そんなこと今考えなくてもいいわ。それより今はこの先の戦いについて考えないと」

「まぁそうだな」

 康生の言葉にエルと時雨さんは同意した。

「……そうですね。じゃあ皆さんは引き続き頑張ってくださいね」

 上代琉生はまだ納得していない様子だったが、すぐに表情を切り替える。

「話し合いはしないのか?」

 解散しようとしているのを見て、リナさんは尋ねる。

「まだこっちも情報が全て出そろってないので。その時が来たらまた集めますよ」

「あっ、じゃあその時は」

 とエルが急に何かを思い出したように上代琉生を見る。

「分かってますよ。その時は街の人全員参加で開きます」

「ありがとうっ!」

 どうやらすでにその話を上代琉生にしていたようで、さらに了承されたようだ。

「それじゃあ私は訓練に戻るとしよう」

「それじゃあ俺も」

「あっ、待ってっ!」

 そうして時雨さん、康生、エルはそれぞれ会議室を出て行く。


「――何を考えている?」

 静かになった会議室。そこで今までじっと黙っていたリナさんは上代琉生に短くそう尋ねた。

「そうですね、最悪の展開ですね」

 上代琉生が柄にもなく本気で焦ったような顔を浮かべる。

「私もだ」

 しかしリナさんはその様子に対して何か反応するわけでもなく、上代琉生と同じように遠い空を見て表情を曇らせる。

「この戦い本気でやばいかもしれなくなったな」

「そうならないように全力でやるだけです」

 リナさんの弱気な言葉に、上代琉生は元気に言い返すのだった。

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