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熱意

「どうやら敵は人体実験に成功し、魔法技術を確立させたようです」

 上代琉生が深刻な状況を告げる。

「魔法技術って、この前戦った時にいた回復魔法を使った人のことであってるよね?」

「えぇ、それで間違いないです」

「だがそれは本当にあり得るのか?人間が魔法を使うなど……」

 とリナさんは思わず反論しかけたところで、何かを思い出したようにすぐに思いとどまった。

 しかし出た言葉は撤回できない。リナさんの言葉に自然と皆の視線が一カ所に集まる。

「まぁ、ここにいい例がありますからね」

 と上代琉生が静かに答える。

「……まぁ、そうなるか」

 少しだけ表情を暗くしながら康生は答える。

 現にここに人間でありながら魔法を使う康生がいるのだ。

 だから敵も同じような方法を使ってくることは可能性としては十分にありえる。

「まぁ、英雄様がどうして魔法を使えるのは未だに謎のままですけど、今はそんなことどうでもありません」

 そう言って、少し重くなっていた空気を上代琉生は払拭する。

「今はまだ情報がないですが、情報が入り次第みなさんにお知らせします。とにかく今は敵が攻めてきた時のことを考えましょう」

「そうよっ。今度こそ次の戦いに勝てば私達の目標に近づくんだからっ」

 と上代琉生の流れを受け取ったのか、エルは俄然やる気の様子を見せる。

「一つ確認があるんだが……」

「ん?何時雨?」

 時雨さんが恐る恐るといったように手をあげる。

「今度も戦いも敵も味方も一切死者を出さずにやるのだろ?」

 時雨さんの言葉で、皆が一瞬だけ固まる。

 中には忘れている者がいるかは分からないが、康生達は戦いにおいて誰一人として殺さないという誓いを立てていた。

 前回の戦いでもその誓い通り、誰一人として死者を出さなかった。

 しかし今回は……。

「私は勿論そのつもりよ」

 皆が黙る中、エルただ一人だけが堂々と宣言する。

「人生は一度きりのものよ。もし死んでしまったその人は一生帰ってこないの。そして一度殺してしまえば復習がつきものになる。だからこそ絶対に誰一人として死んじゃだめなの」

 それがどれだけ厳しいことがエルだって承知している。

 それこそ前回の戦いでエルはそれを感じていた。

 だがそれでもその想いだけは曲げるわけにはいかないようだった。

「俺も勿論そのつもりでいくよ」

 とエルに合わせて康生が立ち上がる。

「俺はその為に力をつけてきた。だから絶対に誰一人として死なせやしない」

 康生もまた、エルと同じように堂々と宣言する。

「まぁ、勿論そうですよね」

「あぁ、そうだな」

「仕方ないが、お嬢様が言うなら従うまでだ」

 すると二人の熱意をみた他のメンバーも同様に、再びその想いを確認しあうのだった。

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