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「十分強い……か」

 宴会も終わり、皆が寝静まり始めた時に康生は一人地下都市の中を歩いていた。

 というのも、康生はどうやらザグの戦いを経て自身の強さに疑問を抱いているようだった。

 リナさんに頑丈になりたいと言ったが、すぐにザグと比べていることを見透かされ、異世界人だからと説得された。

 しかしそれでいいのかと、康生は問う。

 確かに『解放』の力は強力だ。それは康生が一番分かっている。

 だがその反面で『解放』の力は諸刃の剣でもある。

 使い方を間違えれば自分の命さえも削ってしまう。

 異世界での出来事がいい例だった。

 だからこそ康生はさらに力を求めているのだ。

 純粋な力を。どんな時でも、いつでも使える力を。

 そしてその答えをザグが持っていた。

 だからこそ康生は強靱な肉体を手に入れようと考えたのだった。

「でも体を鍛えるだけじゃどうしようもない……」

 康生は人間だ。いくら体を鍛えようと、銃弾や刃を防げるはずがない。そこはリナさんの言っていた通りのことだ。

 康生は今までその部分をすべて装備で補ってきた。

 でも装備でもいずれ限界が来る。

 だからこそ康生は己自身を変えようと思ったのだ。

「俺には魔力がある。それを使ってなんとしても力をつけないと……」

 康生は静かな街中を歩きながらそっと呟く。


『私に考えがあります』


 康生の独り言に答えるように、突然声が響いた。


「AI?」

 その声を聞いた康生は、真っ先にスマホを取り出す。

『こうしてゆっくり話すのも久しぶりですね』

 やはり声の正体はAIのようだった。

「それで考えがあるって一体どういうことなんだ?」

 そして同時に康生はある種の期待を抱きながらAIに尋ねる。

 AIならばこの悩みを解決してくれるのではないか、と。

『それはですね、まず説明の前にとある映像を見てほしいのです』

「映像?」

 映像を見ることが強くなることの何に関係するのか康生はいまいち理解することが出来ず、困惑した表情で聞き返す。

『はい。これはマスターのご両親から貰ったものです』

「えっ……?」

 AIの発言に康生は驚き、そしてさらに困惑する。

 何故ならAIから両親の話が出たことなど全くなかったからだ。

 そもそもこのAIを作ったのは康生だ。

 なのに、どうしてAIが両親から貰ったものを持っているのかと、様々な疑問が康生の頭を埋め尽くす。

『これはマスターが強くなるために必要なプロセスですが、ご覧になりますか?』

 そんな困惑している康生のことなど気にせずに、AIはただ無機質に映像を見るかどうかを問う。

「…………」

 いくら考えても謎は深まるばかりだ。

 でもAIが強くなれる道を示してくれている。

 だからこそ康生はそこで断ることは出来なかった。

「見る。すぐに見せてくれっ」

『承知いたしました』

 AIが承認すると、スマホの中の動画ファイルが起動したのだった。

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