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口早

「どうだ楽しんでいるか?」

 広場の中央で皆が盛り上がる中、いつものように広場の隅に座って、一人料理を楽しんでいると、リナさんが近づいてくる。

「まぁ、ぼちぼちです」

「そうかならいいんだがな」

 どうやらリナさんは康生のことを心配して来たようだった。

 態度は少し冷たい所もあるが、やはりリナさんも康生を心配していたことには変わりないようだった。

「あの、リナさん。少しお願いがあるんですけど」

「ん?なんだ?」

 リナさんは、康生から頼み事をされることに少しばかり驚いた様子を見せる。

 康生も慣れないことに少しだけ緊張している雰囲気をかもしながら、リナさんを真っ直ぐ見つめる。

「あ、あの、俺を鍛えてくれませんか?」

「なんだと?」

 康生の頼み事を聞いたリナさんは困惑したような表情を浮かべる。

 何故ならば、リナさんの目から見ても康生の強さは相当なものだ。

 だからこそ今さら自分が教えることはないもないと思ったのだろう。

 さらにいえば、仮に魔法に関することといえど、リナさんはどちらかと言えばあまり魔法が得意という方ではない。

 それにリリスから魔法に関することは一通り教えてもらっているはずだ。

 だからこそ、リナさんは康生の頼みの意味を理解することが出来なかった。

「……お前はもう十分強いと思うが」

 散々悩むが、やはり意味が分からなかったのか、リナさんはシンプルに答えた。

「いえ、俺はまだまだです」

 しかし康生はすぐに否定する。

 端から見ればそれは謙遜でしかないものだったが、康生の真剣な表情からはとても謙遜しているものとは思えなかった。

「俺はもっと頑丈な体が欲しいんです。どんな攻撃にも耐える頑丈な体が」

「頑丈だと?あれだけのスピードを誇りながら、体の丈夫さを求めるのか?」

 時雨さんは康生の『解放』の力を思い浮かべる。

 あれだけのスピードだ。まず早々攻撃に当たることはないだろう。

 それにもし当たりそうになっても、康生はすぐに避けてしまう。

 リナさんはそう思っているようだった。

「……」

 しかしリナさんはここでとある可能性を見つけた。

「お前、もしかしてそれはザグと戦ったからか?」

「……はい」

 リナさんの問いかけに康生は重く頷く。

「あんなものを参考するな」

 だがすぐにリナさんからかけられた言葉に康生は驚きの表情を見せる。

「あれはそもそも体の構造が違う。頑丈な肉体を持つ種族だ。だからあれになろうなど無理な話だ」

 ザグは異世界人であり、康生は人間だ。

 やはりそこの壁はどうあっても超えられないと、リナさんは述べる。

 そして、

「それにあいつは肉体が武器だが、お前の武器はスピードだ。一つの事に特化しすぎるのもよくないが、お前は人間にしては体も頑丈だ。だから何も心配することはない」

 と口早にしゃべるのだった。

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