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ドラゴン

「ガァーー!!」

 上空で吠えるような鳴き声が響きわたる。

 鳴き声一つで空気をビリビリと震えさせるその声の主はゆっくりとこちらに近づいているようだった。

「急げ!早く撤退だ!」

 鳴き声に負けじと白い鎧の女は声を張り上げる。今すぐ逃げろと。

 だがそんな命令などなくしても兵士達は一目散に来た道を逃げ帰っていた。

 その事を確認した白い鎧の女はすぐに俺たちの方を向く。

「早く!君達も一緒に!」

 必死に叫びながらこちらに手を差し出す。

 恐怖に立ち止まっていた康生は、一瞬の躊躇いの後にゆっくりと手を伸ばす。

 しかしすぐにエルがじっと上空を見つめている事に気付く。

「さぁ君も早く!」

 白い鎧の女もエルに気づき手を伸ばす。

 しかしエルはその手に応じることはなかった。

「お、おいエル……?」

 じっと上空を見つめるエルに康生は恐る恐る声をかける。

「――このままじゃダメ!」

 エルは唐突にそう叫ぶとすぐさま声のする方へと掛けだしていった。

「ちょ、ちょっとエル!」

 康生は慌ててエルを追いかける。

「ちょ、ちょっと君たち!」

 そして白い鎧の女も康生達を慌てて追いかける。

「一体どうしたんだよエル!」

 必死にエルを追いかけながら康生は問いかける。

 するとエルは走りながらこちらをわずかに振り向く。

「あの子をこのまま放っていたらいずれここら一帯が消えてしまうわ!」

「消える……?」

 康生はエルの言った言葉を理解出来ずにいた。

 だって消えるといっても、そもそもこの世界はは滅ぼされているのだ。

 今更消えるなんて言われても……。

 だが康生はすぐにエルの言いたいことに気が付く。

 白い鎧の女は近くの地下都市から来たと言っていた。

 つまりエルは地下都市の事を考えて止めようとしているのだ。

「もうちょっと!」

 とエルがそこまで口にした瞬間康生は気付いた。

 いつの間にか辺りが暗くなっている事に。

 その暗闇は決して夜になったからではない。何故なら康生の目でぎりぎり日が当たっている地面が見えたから。

 では一体この暗闇は?

 その答えは簡単な事だった。

「止まって!」


 エルは上空に向かって大きく叫ぶ。

 康生はそのままエルの視線を追っていき上空へと視線を動かす。

「――っ!?」

 なんとそこには大きな翼をはためかせた一匹のドラゴンが空を飛んでいたのだった。

 全身を濃い緑で覆っており、ここからでもゴツゴツとした鱗が確認できた。さらに口からは大きな牙が二つ生えており、収まりきらないのか口が半分あいていた。そしてその翼はドラゴンの体の大きさよりあり、一振りでいくつもの物が吹っ飛んでしまいそうなほど迫力があった。

「だ、大丈夫か――っ!?」

 あとから到着した白い鎧の女もどうやら真上のドラゴンに気づき思わず体を固める。

「お願い私の話しを聞いて!」

 そしてその場でただ一人、エルだけがドラゴンに必死に呼びかけていた。

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