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仲違い

「邪魔するなよ」

 男は康生を睨むように見つめる。まるで視線で康生を殺そうとしているみたいに。

「どうしてエルを殺そうとした」

 それでも康生は必死に感情を殺して、男と対話する。

 そうでもしなければ今すぐ男に殴りかかりそうだからだ。

「――そいつも化け物だからだ。それ以外の理由なんてあるわけないだろう」

 その言葉を聞いた瞬間、康生はとうとう感情が爆発した。

 鉄の棒で、受け止めていた男の短剣を弾き返した。そしてそのまま男に向かって鉄の棒を振りかぶる。

「やめてっ!」

 だがその瞬間エルの声が響いた。

 そのせいもあり康生は寸前の所で腕を止める。

 だが、

「もしかしてお前も化け物なのか?」

 振り下ろした康生の喉元に向かって短剣が向けられていた。

 だから康生は咄嗟に後ろに飛ぶ。

「いいや、俺はただの人間だ」

 そうして再度男に向き合うように立つ。

 男も短剣を構え直していた。今度は康生を狙うように。

「お前はそこまでして異世界人を殺して何がしたい?」

 お互いに距離をとりながらも康生は聞かずにはいられなかった。

 そこまで異世界人の死に終着する男の目的が。

 だがそんな康生の問いに男は笑いながら返す。

「何をしたいかって?そんなものはないよ。ただ化け物だから殺す。それ以外の目的なんてあるわけないだろ」

 男の言葉はまるで感情を逆なでるかのようだった。

 だからこそ康生は感情的にならざるを得なかった。

「だからっ、そうまでしてお前は何を得ようとしているんだよ!」

「何を得ようとしている?」

 康生の言葉を聞いた男はニヤリと薄気味悪い笑みを浮かべる。

 そうして不気味な笑みを浮かべながら口を開く。

「そんなもの一つしかないじゃないか!楽しいから殺すんだよ!」

 男は両手を一杯に開き、まるで演説をするかのようにしゃべりだす。

「昔は生き物を殺そうにも色んなしがらみのせいで出来なかった。でも今は違う!化け物がいるからだ!化け物はいくら殺しても何も言われない。むしろ感謝されるぐらいだ!だから俺は自分の快楽の為に化け物を殺す!」

 その言葉は嘘偽りなく男の本心からの言葉だと康生はすぐに感じた。

 同時に同じ人間でありながら康生は目の前の男こそ化け物だと感じてしまった。

 そしてなにより康生は自分の欲のためだけに行動する男が許せなかった。

「ひどい……」

 男の迫力に押され思わずエルは後ずさる。

 それほどまでに男は気味が悪く、不気味だったのだ。

「だから早く殺させてくれよ?お前だって本当はその化け物の事を気持ち悪いって思ってるんだろ?」

(――そんな事はない!)

 康生は咄嗟に否定の言葉を浮かべる。

 だがそれが康生の口から発せられるより前に大勢の足音が響いた。

「おい、こっちだ!」

 しかもその足音の集団はこちらに向かってきているようだった。

「ちっ、邪魔が入ったか」

 その足音を聞いた男は苦い顔をして康生に背を向けた。

 そのまま男は駆け出すと思っていたが、男は一度振り返った。

「いいか覚えとけよ。人と化け物は一生共存する事は出来ない」

 康生にそう言うと男はすぐさま荒野を駆けていった。

 そうして取り残された康生はというと一人呆然と立ち尽くしていた。

 そんな康生の背後ではエルが異世界生物達を遠くへ逃がすように呼びかけていた。

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