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発動コード

「なっ!」

 斧の男はどうして今、自分が膝を地面についているのか分からず困惑している様子だった。

 それでも自身の武器を手放していないところを見るに、流石に戦い慣れているといえる。

「何をした?」

 斧の男が倒れるのと同時に、槍の男が康生の方へじりじり近づいていた。

 先ほどの芸当を見て、最大限に警戒しているようだ。

「俺はただ腹を殴っただけですよ」

 余裕の表情で康生は答える。

 事実、それは本当のことだから。

 ――あの時、確かに斧は康生の体に命中するはずだった。しかし驚くべきことに、康生は一瞬のうちに低姿勢になって斧を交わす。直前まで攻撃を避けようとしなかったのは、攻撃の軌道を変えられないためである。

 当然そんな芸当は普通出来ないはずだが、今の康生はそれが出来る。

 そして攻撃が空振りになった隙に、無防備な体に攻撃を与えた。

 それが先ほど康生が行った行動だ。

「…………っ」

 どうやら近くにいた翼の女にはかろうじて康生の動きが見えていたようだが、その翼の女でさえ、康生の動きに大きく動揺しているようだった。

「なるほどただ腹を殴っただけか……」

 康生の言葉を聞いた槍の男は、その瞬間に鎧に手を当てた。

「武装解除!」

 どうやら康生の実力を見て、いきなり本気を出してくるようだ。

「武装解除っ!!」

 しかしそれと同時にもう一人の声が響いた。

「俺はまだ負けてなんかねぇぞっ!」

 康生の目の前でうずくまっていた斧の男は立ち上がる。

「おい、槍ぃ!一緒に行くぞ!」

「言われなくともそのつもりだ!」

 わずかに交わされた言葉で、二人はすぐさま行動に出た。

 まず斧の男は先ほどまでとは比べものにならない速さで斧を振るい康生に再度攻撃を仕掛ける。

「くそっ!」

 いきなりの速くなったそのスピードに康生は若干戸惑いつつも、それでもぎりぎりのところで攻撃を避ける。

「くそぉっ!」

 そんな余裕な康生を見てさらに苛立ちをつのらせた斧の男はさらに攻撃を速める。

「おらおらおらおっ!」

 攻撃とともに地面に軽い地響きが鳴り響く。

 それほどまでに激しい攻撃の中、康生は一度も攻撃を受けることなく交わし続けていた。

「くらえ!」

「死ねぇっ!」

 しかし斧の男ばかりに注意がいっていたせいで、康生は頭上から迫ってくる槍の男に気づくのが遅れた。

 同時に斧の男は、二つの斧を合わせた攻撃を繰り出す。

 槍の先はすでに康生の額をとらえ、斧は康生の図体を捉えていた。

 まさに連携プレー。

 どこに逃げようが、攻撃が当たってしまう。

 そんな状況だった。

 だが、康生はそんな状況でさえも表情を崩さずに静かに発動コードを述べた。

「『雷鳴腕ボルティック』、『大地のアースアーマー』」

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