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5人

「さて相手は五人だがどうする?」

「そうですね……」

 康生は目の前に立ちはだかる五人の兵士をそれぞれ見る。

 皆それぞれの武器を構えているが、見たところ手に持っている武器だけではなく、懐にそれぞれ別の武器も仕込んでいる。

 前の隊長を相手にしたときもそうだったが、恐らく全員が、近距離も遠距離も対応できるのだろうと考える。

 そして康生はちらりと横目で翼の女を見る。

 基本的に武器はレイピアで、それに魔法を纏わせて戦うのが彼女の戦い方だということは康生は知っている。

 だから必然的に前線で戦う立ち位置なのだが、どうも康生はこの戦いは自分の力でケリをつけたいと思っているので、翼の女を前線に立たせることに少しのためらいがある。

 だから、

「俺が全員を引きつけます。だから後方で魔法の支援をお願いしてもいいですか?」

 必然的にそういうことになってしまう。

「私は普段前線に立つのだが……仕方ない。康生も前線のタイプだからな。分かった。私は後方支援に務めよう。何かあったらすぐに指示を出すから集中しておけ」

 康生も同じ前線で戦うタイプだということもあり、翼の女ははじめは渋っていたようだったが、すぐに折れて後ろに下がる。

「ありがとうございます」

 こうして康生はおよそ一人で五人全員を相手にしなければいけなくなった。

「あぁ?もしかしてお前一人で俺達全員を相手にしようとしているのか?」

「はい、そうです」

 そんな康生を見て、斧の男は笑いながらこちらを見る。

「はっ!冗談言ってんじゃねえよ!お前みたいなガキは俺一人で十分なんだよっ!」

 康生になめられていると思ったのか、斧の男はそのまま勢いに任せて康生に斬りかかる。

 大きな斧なのでそれなりの重量があるはずなのだが、男はそれを全く気にさせないような腕捌きで斧を振り下ろす。

「死ねっ!」

 そんな相手に康生は冷静に分析する。

 斧との戦い方は、地下都市に移動する際に時雨さん達に教えてもらったからだ。

 大振りの攻撃がきたら交わすことに集中する。そして交わすことが出来たら必ず隙が出来るので、そこをつけばいい。

 康生は教えてもらった通り、斧を難なく交わす。

「甘いですよっ!」

 すると教えてもらった通りに、敵に隙が出来る。

 だから康生は間髪入れずに無防備に腹に拳を吸い込ませる。

「何が甘いだってぇっ!?」

 だがその瞬間、康生の拳は鎧に覆われた腹に当たることなく、その前に金属の塊に遮られる。

「なっ!」

 そのまま康生の拳は金属の塊に吸い込まれていき、やがてぶつかる。

 すぐに腕に衝撃が伝わり、康生は慌てて距離をとった。

「はっ、中々力だけはあるようだな!」

 そして康生は再度目の前の敵を見る。

 斧の男は、先ほど康生が交わした斧を片手に持っており、反対の手で別の斧を構えていた。

「だが聞いていたより大したことはねぇな」

 両手で持つにも精一杯に見える大きな斧を片手で二つずつ持つその男は、康生を見下ろし不敵に笑ったのだった。

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