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裏切る

「奴はっ!?奴はどこにいった!」

 時雨さんの元に戻るや否や、翼の女は上代琉生の姿を探します。

 しかし上代琉生は康生達が出発した直後にどこかへと行ってしまったので、当然この場にその姿はありません。

「一体どうしたんだ?」

 あまりの慌てようを見て時雨さんは何かあったのかと思い声をかける。

「作戦が敵に漏れてる!」

「何っ?」

 作戦が漏れていると聞き、時雨さんは驚愕の表情を浮かべる。

「ちょ、ちょっと作戦が漏れてるってどういうことなのよ!?」

 そして隣で聞いていたエルも、説明を求めようとするが、翼の女はそれよりも上代琉生を探す方に必死になっているので聞く耳を持っていない。

「とにかく上代琉生はどこにいった!」

「あ、あいつなら少し前にどこかに行くといって消えていったぞ!」

 その圧に押されながらも時雨さんは、上代琉生の行方を話す。

「どうして奴を一人で行かせたっ!?」

 翼の女は常々上代琉生の存在が怪しいと思っていた。

 それなのに、易々とどこかへ行かせてしまった時雨さんにその怒りを向ける。

「今は喧嘩している場合じゃないでしょっ!」

 すると、そんな二人の間にエルが入ってきた。

「とにかく何があったか説明して!?それに康生は無事なの!?」

 翼の女一人で返ってきたことで、エルは康生の心配をしているようでもあった。

「……あいつは無事だ。しばらくの間、前線で食い止めるように言った」

「一人で……」

 翼の女の話を聞き、一人で前線で戦っているであうろ康生の姿をエルは想像したようで、表情を曇らせる。

「それより一体何があった!?説明してくれ!」

 多少落ち着いたことにより、時雨さんがすぐに翼の女に何があったのか、尋ねる。

 何の説明もないままでは、上代琉生をどう対処すればいいか分からないようだ。

「それは――」

 そうして翼の女は戦場で何があったのかを全て話した。




「――以上だ」

「なるほど、な……」

「確かに作戦が漏れてるって事だね……」

 翼の女の話を聞き、二人はいちように表情を落とす。

 そうして二人は真っ先に上代琉生の存在を思い浮かべた。

 味方の兵には、あちらから寝返った兵士もいるので、もしかするとその可能性があるかもしれないが、その兵に対しては翼の女の指示で極力作戦の内容を伝えるのを控えていた。

 異世界人は裏切るとは全く考えられない。だからこそ上代琉生に裏切り者のスポットがいったというわけだ。

「といっても今更あいつを探してもどうしようもない。今は康生が時間を稼いでくれている。だから私たちはすぐに作戦を練り直す」

「……分かった」

 そうして時雨さんの指示で、今ここにいる皆で今後の作戦を話し合う。

 といってもすぐに新しい案が浮かぶわけでもなく、ただ無情に時間が過ぎていくことになる。

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