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敵勢力

「時雨さん!敵勢力確認出来ました!」

 前線にいる兵士からの伝言が入ってきた。

 しかしその伝言を聞くまでもなく、時雨さん達の視界にはすでに敵の姿を視認できていた。

 数はやはり聞いていた通りの数だ。

 しかし想像していたよりもやはり迫力があり、同時に物怖じけてしまいそうな感覚に陥りそうだ。

「まだなのか!」

 流石の翼の女も敵軍勢を目の前にして多少の焦燥感を覚えたらしく、康生の姿を探す。

 しかしいくら視線をさまよせようが、目的の姿は確認できない。

 準備をするといってからしばらくの時間があいたので、それも翼の女の気を悪くする要因だった。

「――お待たせしましたっ!」

 翼の女の苛立ちを感じたのか、康生は慌てた素振りで登場する。

 康生はいつものように片手にグローブをはめている。しかしいつもの違うのはその格好である。

 前まだは動きやすいように、体の節々に多少の防具をつけていた康生だが、今の格好はそれら全てが防具という見た目より、機械という見た目に変わっている。

 機械自らを体につけているような、そんな感じだった。

「武装機械……ではないようだね。まぁ、そもそもあれを開発した息子さんだから、元々の武装機械をいじるのも訳ないって事か」

 康生の姿を見て上代琉生は小さく呟く。

 どうやら康生が作った装備に興味津々のようだった。

「ええい!そんな事言っている暇ではない!お前がいなければ作戦は進まない!さっさと前線に行くぞ!」

「わ、分かりました!」

 もたもたしていたからか、翼の女はすでに色々と怒りを示していたので康生はさらに慌てて準備をする。

「私はこのまま飛んでいく。お前はどうする?」

 翼の女は背中にある立派な翼をはためかせてすぐにでも飛べる体勢を作る。

「俺も一緒に飛んでいきますよ」

 そして康生も翼の女の隣に並び、何か小さく呟くと同時に自身の体を浮かせる。

「ふっ、私についてこれるものならついてこいっ!」

 言い終わると同時に、翼の女は一気に空に飛翔し戦場の最前線へと向かう。

「望む所ですっ!」

 続いてスタートに遅れた康生が、すぐに飛び立つ。

 後にスタートした康生だが、翼の女の横にすぐに追いつき、二人はどんどんスピードをあげていった。

「いやーあれって魔法なんかじゃなくてただの科学技術なんですよね?」

「そうみたいだな」

 異世界人と共に飛び去っていった康生を見て、上代琉生はなんだか呆れたように言い、時雨さんもまた同じような表情で答えた。

「――さてと」

 と二人を見送った所で、上代琉生はおもむろに立ち上がった。

「俺はちょっと仕事があるんで行ってきますね」

「何?」

 突然どこかへ行こうとする上代琉生を見て、時雨さんは思わずその腕を掴もうとする。

「大丈夫ですって」

 しかしその手は腕を掴むことなく空気を掴んだ。

 背後を向いていたにも関わらず上代琉生は、時雨さんの手から逃れたのだ。

「俺は味方ですから。その点は信じて下さい。必ず損になるような事しませんよ」

 と最後にそれだけいって上代琉生は時雨さん達の前から姿を消すのだった。

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