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二つの種族

「――報告します!先ほど敵軍団を確認いたしました!」

 見張りをしていた者から、敵の軍団を見つけたとの報告が時雨さんの元に来る。

 その後方ではさらに詳しい情報をもらいながら、康生達が作戦の細部を詰めていっていた。

 しかし変更といっても敵の動きに合わせるものなので、変更らしい変更はこれといってなかった。

「確かに、上代琉生という奴の証言通りだな」

 翼の女も魔法で遠くにいる軍団を確認しながら言った。

「だから言ったじゃないですか」

 どうやら翼の女は最後まで上代琉生を疑っていたようだったが、こうして言われていた内容と一致するので多少は疑いが晴れているようだ。

「しかし、まだ油断はしないからな」

 どこかに伏兵がいるかもしれない。と翼の女は指揮官の能力をフルに発揮し戦場を見渡す。

 その能力はあれほどの異世界人の軍を率いていた事もあり、実力は相当だ。

「じゃあ俺はそろそろ準備しておきます」

 敵が確認出来た所で、康生は戦闘準備の為に一端交代する。

「うん、気をつけてね康生」

「気をつけるんだぞ康生」

「分かってますよ」

 エルと時雨さんに心配されながら康生はそのまま交代する。

 後に残された面々は皆一様で敵が攻めてくるであろう場所を見る。

 まだ視認する事が出来ないが、情報からもうすぐそこに来ているという事が分かっている。

 皆、自然と緊張で体が固くなっているようだ。

「大丈夫ですよ。なんたってうちには英雄様がついているんですから」

 そんな空気を和ませようとしたのか、上代琉生はいつもの笑顔でそう言った。

「お前は相変わらずだな」

 時雨さんは苦笑しながらも、少し緊張が解けたように感じていた。

「よし!それでは皆の者!作戦通りやるぞ!これは無駄な争いを生まないための戦いだ!この戦いで負ける事はすなわち異世界人達との友好関係がなくなると思えっ!」

 ずらりと並ぶ兵士達に向かって時雨さんは叫ぶ。

 その声に応じて、兵士たちは皆自らの武器を掲げる。

「いいか!この戦い失敗すれば人間達への恨みが増大し、戦いに収集がつかなくなる!お嬢様のためにも絶対にこの戦い勝たねばならない!」

 そしてその隣で翼の女も同様に異世界人達に声をかける。

 そして異世界人もまた同様に自らの武器、腕や羽を掲げてそれに答える。

 皆の思いがつながった瞬間だ。

 この隊列の中には異世界人も人間も混じっている。

 さらにはいつのまにか異世界人達の中でも違う種族が混ざり合っている。

 全てはこの戦いに勝つため。

 両者傷つけずに勝ち、この世界に平和をもたらすため。

 二つの種族は今、初めて手を取り合い、そして運命に抗った大きな戦いが始めようとしている。

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