表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/651

もうひとつ

「それで康生は今から何をするの?」

 工房へと到着した康生とエル。

 早速作業に取りかかろうとしている康生を見てエルは疑問に思った。

「とりあえず今は魔法の練習だね」

 エルに説明しながら康生は右手に水、左手に火をだし、それぞれ球体にして浮かばせる。

「ほんとに同時に魔法が使えるんだね……」

 康生が行っていた通り複数の魔法を同時に使える姿を見て、エルは関心したような、また少し複雑な表情を浮かべた。

「私たちでも普通に出来ないものが、どうして人間が使えるんだろう…………」

 そんな康生を見てエルはぶつぶつと呟き始めた。

 しかし康生はそんなエルを気にせずにただただ魔法に集中する。

 敵が襲ってくるのは上代琉生の話だと一週間後。

 だとしたら暢気に休んでいる暇はない。

 だからなるべく早く魔法を習得しようと、康生はさらに手に力を入れる。

 康生の思いに反応し両手の球体がだんだんと大きくなっていく。

「あっ!駄目だよ康生!そんな連続で使ったら!すぐに魔力がなくなるよ!」

 先ほどまでぶつぶつと呟いていたエルだったが、すぐに康生の様子を見て止めに入る。

「え?ま、まだ全然使ってないよ?」

 エルに止められ、一応魔法を中断したが康生だったが、どうしてエルに止められたのか分からずに疑問を浮かべているようだった。

「いい、康生?」

 疑問を抱く康生に説明するようエルは康生と同じように手元に水の球体を出現させる。

「魔法は使えば使うほど魔力がどんどん多く消費されていく。たとえばこの魔法にかかる魔力が1だとしたら魔法を使っている間、数秒ごとに魔力が消費されていくの。しかもその消費量は時間があがるごとにあがっていくの。だから魔法は一分でも消費続けるとそれは魔力の無駄遣いになるの!」

 数秒ごとに、という情報を初めてしった康生は関心したように頷く。

 翼の女とエルが、長時間魔力を使うことに否定的だったのはそういう事だったというわけだ。

 しかし、そうなれば一体どう魔法の練習をすればいいかの……。

『ご主人様』

 と康生が悩んでいるとAIが提案を投げかけてきた。

「ん?何かいい方法でもあるのか?」

『はい。今まではまず魔法の練習を第一としていまたが、長時間使うと不味いということなので、練習する時間と同時に休憩の意味もこめてもうひとつのことをやってしまってはどうですか?』

「もうひとつのこと?」

 AIの提案にエルは首を傾げた。

 てっきり康生は魔法の習得だけを目標にしていたと思っていたからだ。

「なるほど……確かにそっちのほうがいいかもな」

 そして康生はAIの提案を聞き納得したように頷く。

「ねぇ、もうひとつの事ってなんなのよ〜?」

 康生に無視されたと思ったのか、エルはもう一度ねだるように尋ねた。

「それは……」

 エルに聞かれて康生はしばらく口ごもる。

「……内緒かな?」


 その返答を聞きエルは不機嫌になった事は言うまでもなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ