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「もぅ機嫌直してってば」

「…………もう直してます」

 エルの言葉にぶっきらぼうに答える翼の女。

 どうみても機嫌が直っていないように見えるが、それでも多少落ち着いてくれたみたいで康生は安心する。

「――それで康生は大丈夫なのか?」

 一段落ついた所で時雨さんが康生の容態を心配しながら尋ねる。

「俺は全然大丈夫ですよ」

 そう言いながら康生はベッドの上で腕を回す。

 大丈夫なのだから、もうベッドにいる必要はないのに、それでもエルが無理矢理にでもベッドから離れさせようとしない。

 心配し過ぎだと思いながらエルを眺めていると。

「貴様は馬鹿か?」

「え?」

 翼の女が康生を冷たい目で見つめる。

「お前は魔力の使いすぎで気絶したのだ。今は動いてないから大丈夫だろうが、動き始めたらいずれすぐに気絶するぞ」

「魔力の使い過ぎ?」

 翼の女の説明を聞き康生は首を傾げる。

 そして昨日の事を思い浮かべるが、康生自身それほど魔力を使った記憶がないように思えた。

「血液とかと同じような原理だ」

「血液と?」

「そうだ。血液がなくなればやがて貧血になり、倒れてしまう。そうでなくとも血が少なければ激しい運動は出来ない。つまりはそういう事だ」

 なるほど。康生は説明を聞いて納得する。

 同時に魔力を使い過ぎるとどういう事になるかが分かった。

「で、でも俺そこまですごい魔法を使ったわけでもないのにどうしてそんな事……?」

 そう。康生がずっと疑問に思っているのはそこだ。

 魔力がなくなるとやばいことは康生も分かっていた。

 でも魔力がなくなるほど大きな魔法を連発した覚えは康生にはない。

 昨日だって初歩的な魔法しか使っていないのだ。

『――もしかして永続的に魔法を使ったのが原因では?』

 状況を見かねたAIが、可能性の一つを挙げた。

「永続的っていったって、別に初歩的な魔法なんだからずっと使っててもそんなに減らないんじゃ……いてっ!」

 そこまで康生が口にすると、突然頭に鈍い痛みが走った。

「康生の馬鹿!どんな魔法でも、同じ魔法をずっと発動していたら倍以上の魔力がなくなり続けるんだから!」

「えっ!ば、倍以上!?」

 エルの言葉に康生は目を丸くする。

 そしてさらに追い打ちをかけるようにAIが言葉を発する。

『――そういえば複数の魔法を同時に展開もしていましたね』

「複数だと!?」

 AIの言葉に真っ先に反応したのは翼の女だった。

「普通の者でさえ魔法を同時に操るなんて至難の技なんだ!それを複数だと!?貴様やはり我々の仲間なんだろう!!」

 翼の女が一気に感情的になる。

 康生自身そんなすごいことをしていたなんて自覚はないが、まさかそれほど難しい事をしていたなんて全く思っていなかったようだ。

「もう!康生は今日一日ずっと寝ているように!あと魔法を使うのも体を動かすのも禁止!」

 と珍しくエルが怒っていたのだった。

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