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入り口

「――着きましたね」

「あぁ、そうだな」

 時雨さんと康生が先頭で、兵士達と異世界人達が後ろに続いている。

 その集団が立ち止まる。

 集団の前には何もないただの地面が広がっているだけ。

 しかし、時雨さんの持っている機械が反応していることから、ここに地下都市への入り口があるということ。

「本当にこんな所にあるんでしょうね?」

 と背後から翼の女が歩いてくる。

 どうやらなんの変哲もない地面が広がっているので、疑っているようだ。

「大丈夫。ここで合ってるはずだよ」

 翼の女に続いてエルも前に出てくる。

「ならいいのですが」

 エルが言ったからか、翼の女は簡単に引き下がった。

「先に言っていた通り、まずは少しだけ待っていてもらいたい」

「えぇ。分かっているわ。その代わり、ここに地下都市があることを証明するために目の前で出口を開いてくれるんでしょうね?」

「勿論だ」

 時雨さんと翼の女が話している内容は、事前に話し合いで決められたことだ。

 急に異世界人達が地下都市に入るとまずいので、まずは時雨さんが先に入り事情を説明する。

 しかしそれでは異世界人達を罠にはめようとしているかもしれないと疑われたので、地下都市への入り口は目の前で空け、さらに康生達をその場に残すという方法をとることになった。

 もし、異世界人が攻めようとしても、康生と兵士達でくい止めることができる。

 そう思ってのことだ。

「それじゃあ少しの間、任した」

「分かりました」

 時雨さんに任された康生は元気よく声をあげる。

 それを聞いた時雨さんは少し微笑みながら自身の武器である長刀を構える。

 一瞬、異世界人達が警戒したが、時雨さんがすぐに地面を叩き、目の前に入り口が出現したことから警戒を解いた。

「それでは行ってくる」

 最後に翼の女に言ってから時雨さんは地下都市の中へと入っていった。

「……本当にこんな所に入り口があるとはな」

 何もない地面から入り口が出現したことで、翼の女は驚いたように目を開く。

「――何もしちゃだめだよ?」

 翼の女の隣に移動していたエルが口をはさむ。

「分かっていますお嬢様」

 しかし翼の女は元から何もすることはなかったようで、自ら異世界人達に警告を入れていた。

「本当に人間達の街へ私たちが……」

 入り口が閉じていく様子を見ながら翼の女が小さく呟いたが、康生やエルはその言葉を聞き取ることは出来なかった。

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