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代理

(――さて、次は私の番だ)

 時雨さんが自分の心に言い聞かせる。

 今、時雨さんがいるところは休憩所の近くに設置されたテントだ。

 異世界人達を地下都市の中に招き入れることについての話し合いだ。

 当然ただ、招き入れるだけではだめだ。

 異世界人達と人間が安心できるようなルールや規則づくり。

 そのためにも異世界人達としっかりと話し合わなければならない。

 話し合うためには地下都市についてある程度の事を知っている人でなければならない。

 だからここは時雨さんの出番なのだ。

(エルは異世界人達の説得を。康生は異世界人達と協力してくれる人を。だから私は二人のためにも必ずここで失敗するわけにはいかない)

 もう一度、自分の胸に言い聞かせるように言う。

 今、時雨さんの隣には康生もエルもおらず、兵士達数人がいるだけだ。

 当然康生とエルは時雨さんについていこうとした。

 しかし話し合いにおいては康生達は何もすることはない。

 時雨さんもそれが分かっており、なおかつ、これ以上二人だけに働かせるわけにもいかないため、こうして一人で行くことを決心した。

「――それじゃあ始めましょうか」

 対面に座るのは翼の女。

 時雨さん自身は先の戦いで初めて出会ったが、康生達は前から知っているようだった。

 だがそんな事は関係ない。

 今は地下都市の都長の代理としてこの席についている。

 その旨を心に留め、時雨さんは口を開いた。




「――大丈夫かな時雨」

「そうだね……」

 ちょうど時雨さん達の話し合いが始まった時、康生とエルはテントを遠目に見ながらソワソワとしていた。

 二人は一人で行こうとする時雨さんを止めたが、結局説得されてしまい、こうして話し合いの場を遠くで見守ることしか出来ずにいた。

「時雨さんだからきっと大丈夫だと思うよ」

「うん。そうだね」

 励ますように康生が言うと、エルも少しだけ元気を取り戻す。

「それに……」

 とここまで康生が言い掛けてたが慌てて口を閉じる。

「ん?」

「いや、なんでもないよっ」

 エルに若干怪しまれてしまったが、深く追求して来ず、康生は少し安心する。

(――それに、時雨さんには話し合いが無事終わったら全力で甘やかしてあげるって言ったんだ。だからきっと大丈夫だろう――なんて事はエルには言えないからな)

 と心の中で康生は自分を安心させようとするのだった。

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