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久しぶり

「――大丈夫か康生?」

 緊張しているのを見破られたのか、時雨さんが隣へとやってくる。

「さっきAIにも言われたよ」

 康生は苦笑いを浮かべる。

「そういえば最近、AIの声を聞いてなかったね」

 とエルも近づいてきた。

『皆さんお久しぶりです』

 そんなエルの言葉を聞いたからか、康生のスマホから直接AIの声が響く。

「久しぶり。今回も康生を助けてあげてね」

「あぁ。よろしく頼む」

 エルと時雨さんは交互に康生の事を頼む。

『いえ。今回は私がいなくても大丈夫でしょう。それに今回の作戦は私が助言をしたので恐らく大丈夫かと』

「そう。だからこの戦いは俺の力でやる」

 今度は二人に対して、改めてAIの力を借りずに一人の力で行うことを宣言する。

「ううん。康生一人じゃなくて、私達もいるからね!」

「そうだぞ。康生一人ばかりに任せてはおけないからな」

 しかしそんな康生をよそに二人は康生の助けになると誓う。

 康生からすれば二人は、今まで沢山の事をやってくれた。それこそ康生に出来ないことを。

 だからこそ今回で遅れを解消したいと考えてた康生だが、二人はどうやらこの戦いでも頑張る気は満々らしい。

「……分かったよ。二人共よろしく」

 康生はしばらく悩んでから返事を返す。

 あくまで、二人を守ってあげられるように。一人の力で頑張る。

 そう心の中で誓いながら。

『康生。そろそろ来るぞ』

 そんな中、康生がつけているイヤホンから都長の声が聞こえてくる。

 どうやら、話している間にとうとう異世界人達がこちらへたどり着きそうな距離まで来たという事だ。

「――分かりました」

 康生は短く返事を返し、メガネをかける。

 遠くまで見ることが出来るそのメガネで、康生はハッキリと異世界人達の影を捉える。

「聞いていた通り数は相当です」

『分かった。こちらは作戦通り準備をさせてもらう』

 康生が都長へ返事を返すと、康生はゆっくりと歩き出す。

 その後ろからは結局、時雨さんとエルが着いてくる。

『健闘を祈るぞ』

「はい」

 都長からの励ましの声に返事を返し、無線を切る。

「二人共。くれぐれも無茶しないでね」

「それはこっちの台詞だよ!」

「全くだ」

 そうして康生達と異世界人達の戦いが始まろうとしていた。




「都長、本当にいいのですか?」

 都長の隣に立っている兵士が表情を曇らせながら訪ねる。

「この作戦は元々あいつらが考えた作戦だ。だから構わないさ。あいつらならきっと助かるだろうしな」

「はぁ……」

 都長の言葉を聞いてもなお、兵士は浮かない表情を浮かべる。

 その兵士は、エルに治療してもらった一人であり、エルの演説により少し心を変えた人物だ。

 その兵士がどうして、浮かない表情を浮かべているか。

 それはまだ康生達は知る由もなかった。

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