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どうにか

「どうにかなりませんか!」

 珍しく大きな声を出すエル。

 そのエルの前には都長が椅子に座ってエルをじっと見ている。

「――どうにか、とは一体?」

 恐らく都長はエルの言いたいことが分かっている。にも関わらず回りくどく聞き返す。

「異世界人との戦いをやめる方法です!」

「戦いを……やめる方法。そんな物があれば私だってとっくにやっている」

 都長の言葉はもっともだ。

 当然、戦わずに済む方法があればすぐに行っているだろう。

 それをしないということはそんな方法はないからだ。

 それはエル、そして時雨さんも気づいているはずだ。

 しかしそれでも二人は意志を変えることはしなかった。

「無理を承知の上ですが、どうにかなりませんか?」

 エルに変わり今度は時雨さんが都長に頭を下げる。

 本来ならば、時雨さんがこのお願いをするということは、協定についての話しがなしになってしまう可能性があることだ。

 しかしそれでも時雨さんはこうしてエルのために頭を下げる。

「時雨だって分かるだろ?戦わないなんて選択肢はもう残っていない。仮に私達が戦う意志を示さなかったらここにいる人々は皆殺される。そのぐらい誰だって分かることだ」

 都長はそれでも真正面から叩き潰す。

 そしてもう話し合う気はないという態度で時雨さん達に背を向ける。

「どうかお願いします!一緒に方法を考えて下さい!」

 それでもエルは頭を下げる。

 しかし都長は聞く耳を持たない。

 仮にここで何かいい案があれば、都長は話しを聞いただろう。

 しかしエル達は何も案もないまま、戦うのはやめてくれと、一方的に言っている。だからこそ都長は話しを聞こうとしない。

 そんなことは時雨さんやエルは十分分かっている。しかし二人で考えて案が出なかったから、今はこうして頼む他ない。

 そんな思いで二人はひたすらに頭を下げ続ける。

 いい加減迷惑だと。都長はそう言おうと口を開こうとした。


 バンッ。


 乱暴に扉が開かれて、そこから人影が一つ部屋に入ってくる。

「失礼します!」

「……康生っ!」

 エルが頭をあげると、扉の前には康生が立っていた。

「――どうしたんだ?」

 いきなり部屋に入ってきた康生に都長は少し眉をひそめる。

 しかし康生はそんなこと気にもせずにそのまま、まっすぐ都長の元へと足を進める。

「これからの異世界人との戦いで一つ提案があります」

「提案?」

「はい。異世界人達と戦わずに済む……、いえ異世界人達と協定を結ぶ提案です」

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