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悩んだら

 あれから、異世界人と出会ってから康生達はより慎重に足を進めていた。

 時雨さん達の読みがはずれ、早朝に出たにも関わらず遭遇してしまったことで警戒しているのだろう。

 とにかく、本当は昼頃に着く予定だったがこれでは夕方、または夜になりそうだった。

「――次もし出会ったらどうしよう」

 そんな中でエルが一人呟く。

 しかしその呟きに反応する人はおらず、ただ空気中を漂う。

 時雨さんや隊長達は異世界人と戦うことしかしなかったので、今更戦わないと言ってもどうしたらいいか分からずにいる。

 だからこそ康生やエルが何かいい案を浮かべるしかない。

 しかし康生は人間で、異世界人からしたら敵であるわけだから出来ることは限られる。

 だからこそエルに頼るしかないのだが、先ほどの出会いでエルまで敵扱いされている事を知った。

 本当ならばエルの心情を気遣わないといけない場面なのだが、康生は異世界人と出会った時のことしか考えられなかった。

「……悩んだら、考えている事を言葉にしたらいい」

 と時雨さんが突然アドバイスを投げかけた。

「言葉にしたら……」

 時雨さんのアドバイスを聞きエルはしばらく考える素振りを見せる。

 しばらくそれを見守っていると、エルはゆっくりとうつむけていた顔をあげた。

「私達異世界人と人間はもう戦ってはいけない。だから戦わずにするには……」

 どうやら時雨さんのアドバイス通り自分の考えていることをしゃべりはじめた。

 でもこれにどういう意味が?と康生が疑問に思っていると今度は康生の前から声が聞こえた。

「私達人間は異世界人を侵略者として敵対している。でもそれは間違いなのだと知った。だから異世界人にもそれを知ってもらうのがいい……」

 その声の主は時雨さんだった。

 時雨さんもエル同様、考えを言葉に出しているようだ。

 ここでようやく康生も時雨さんのアドバイスの意図を読みとった。

「……でもさっきは異世界人達に知ってもらえられなかった。とても教えられる様子ではなかった」

 康生も二人の考えを次ぐように考えを言葉にする。

「そう。何故なら人間の事を敵だと認識しているから。それにもう人間が敵だという事が当たり前になっている」

「私達人間も異世界人が敵なのは当たり前という認識になっている」

「じゃあ当たり前を当たり前じゃなくす。その為に俺たち人間の認識を改めさせる。それは可能だ。でもそれだけじゃだめだ」

 だがそこで詰まる。

 この先の考えが出てこずにいた。

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