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だめなの

「皆行くぞっ!」

 時雨さん達が武器をとり異世界人に向かって斬りかかる。

 しかし、

「待って!」

 エルがそれを止めようとする。

 だからこそ康生がエルの代わりに時雨さん達の前に立ちふさがる。

「どうしてだ!康生!エル!」

 今にも攻撃してきそうな異世界人を目の前に時雨さん達は道を塞がれる。

「私達は戦っちゃだめなの!戦ってしまったら私の夢は嘘になる!目の前で私達が戦うことを見逃したら私の夢はそれで終わるの!」

「でもっ……!」

 時雨さん、それに隊長達はエルの思いは十分に知っている。

 しかし目の前の異世界人達は攻撃的だ。こちらが手を出さない限り自分達がやられてしまう。

「なんだかよく分からないが、皆!今の内だっ!」

 そして当然、時雨さん達の動きが止まるのをチャンスと見た異世界人達は一斉に時雨さん達に攻撃を浴びさせる。


 キンッ!


 しかしその攻撃を康生が全てはじき返す。

 だがその表情は苦しそうにゆがんでいた。

「――時雨さんの言っていた事がやった分かった気がします。確かに相手の武器を知らないと戦いずらい」

 相手の武器は自身から生えている大きな爪。

 剣や物理での攻撃なら康生は今まで少し経験してきたので対処はしやすい。

 しかし今回の爪を武器とする戦いは始めてだ。

 だからこそ時雨さんが昨日言っていた意味を理解する。

「くそっ!なんなんだこの人間!」

 一斉に行った攻撃が全て弾かれた異世界人達は康生を警戒し少し距離をおく。

 恐らく次の反撃のチャンスを狙っているのだろう。

「康生、あの時みたいに動きを止める事は出来ないの?」

 戦わずに戦闘を終えるためにエルは思考を巡らせる。

 そして真っ先に出てきた案を康生に提案する。

 しかし康生は首を横に振る。

「あれは本来人間に対するものだ。しかも完璧に体を痺らせるには、特定の位置に打ち込まなくちゃならない。でも相手は異世界人で人型じゃないから使えるのかどうか分からない」

「そんな……」

 麻痺が使えないと知ったエルはすぐに次の案を考える。

 それを見ながら康生もまた言葉を続ける。

「ちなみに煙を使った場合も、恐らく敵の方が足が速い。いくら俺の力を使っても全員を敵から逃がす方法は思いつかない」

 康生も出来る限り考え、出来ない事をあらかじめ言っておく。

「くそっ……!」

 そんな中時雨さんは悔しそうに声をあげる。

 よく見ると隊長達はそれぞれ期を伺って異世界人達に反撃しようとしている。

 それもそうだ。いくらエルがいい異世界人だからといってやっぱり悪い異世界人もいる。

 それが分かっているからこそ隊長達は攻撃を加えようとしている。

 でもそんな事じゃだめなんだとエルは言った。

 だから康生はエルに従う。だからこそ康生はエルの為に頭を巡らせる。

 少しでも自身の生きる価値を証明するために。

「――分かった」

 そうして康生は思考を巡らせた結果、一つの案にたどり着いた。

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