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恋する二人に実りあれ  作者: 左右
6/9

異端な二人 中編

前編、後編にしようとしたんですが思ったより長くなってしまい、前編中編後編と分けることになりました……すみません。

私は魔女。

魔術を行使し、人々に羨望と恐怖を与える存在。


・・・


なーんてね!

そんな大それた物じゃないのよ、魔女って。

そりゃ大昔は魔女は恐れられて魔女狩りなんて行為も行われてたらしいけど今となっちゃ魔術も衰退して、魔女の血統も薄れてきた。


けど私はかつての魔女の血が色濃く出ちゃったのよ。

要するに、全盛期の魔女達のような魔術を使い放題だったってこと。

攻撃的なものから精神的なものまでね。

しかもそれを勘だけで行使出来ちゃう。知識なんか無くてもね。

さらに思ったことをそのまま出来ちゃう凄い魔術まで使えちゃうの。

……でもその魔術を使うにはそれなりの代償を必要とするんだけどね。



さて話を戻して……




そんな魔女の血統は代々、超大金持ち。つまり貴族なのだ。

当然私もその貴族の家に生まれて育てられた。

けど、八歳になったあの日、私に魔女の血が色濃く出ていることがバレてしまった。

怖かった。

親の、兄妹の、周囲の人間の見る目が変わった。化け物を見る目だった。

当然私は家を追い出されることになった。

大金だけを持たされた状態で。それは数年は遊んで暮らせる量ではあったが、八歳ではその価値に気づくことは無かった。

幸運なことに国外の村に行く荷馬車に乗せてもらえることができ、国を出ることが出来た。

村に入り、荷馬車の主に礼を言い地に足をつけると急に恐怖が押し寄せてきた。



まー当然なんだけどね。

そんな年端もいかない小娘が知らない場所の知らない土地に放り出されたんだもん。

怖くなって当然だよね。



金こそ持っていたものの、何をどうすればいいのか分からず道端で泣いていた私。


そんな私に優しくしてくれたのがあなただった。


当時十歳だったあなた。宿無しとわかるとすぐに自分の家に招待してくれた。質素ではあったが、パンとスープをご馳走してくれた。そしてお金の使い方や常識など、世間での生き方を教えてくれた。


今でもあの時のあなたはよく覚えてる。


道端で泣いていた私に「大丈夫?」と声を掛けて、眩しい程の笑顔で手を伸ばしてくれたあなたの姿を。


それだけで好きになるには十分すぎる理由だった。


けどそれは許されない。

昔読んだ絵本に乗ってた。

魔女と恋に落ちた者は生涯不幸になると。

なにより魔女はみんなの嫌われ者だった。

どの絵本にも魔女が悪役として描かれていて、七歳の私でも魔女は悪者だとはっきり分かるほどだった。



今思うとそんな嫌われ者だったり悪者だとすると恋なんて起こらず、原初の魔女で魔女の血統は終わってたはずなんだけどね。

つまり、魔女を好きになるものも絶対にいるってことなんだよ。

君みたいにね。



そんなことには気づかない私はあなたを好きになるとあなたを不幸にする。この気持ちは道徳に反する、つまり【異端】なのだと思うようになり、この気持ちは心の奥底にしまっていようと思った。


そうして、村での自分の仕事も見つけ(家から離れた場所で畑仕事)、あなたとあなたの両親と共に育ち、私が十八、彼が二十になったとき



事件は起こった。



朝早くからの畑仕事を終え、夕方、あなたの待つ家に帰ってきた私の目に入ってきたのは凄惨な光景だった。

鎧を着た兵士たちがあなたの両親を斬り殺している様だった。その光景を見た私は怒り狂い今まで使わない、いや使うまいと思っていた魔術を行使してしまった。

幸いそのとき使った魔術は代償を必要としない簡単な炎魔術だったが威力は凄まじいもので、兵士たちの鎧を溶かし、兵士の皮や内臓に至るまでを燃やし尽くした。


我に返ったときには肉が爛れ、骨が垣間見える悲惨な姿になった兵士たちが悲痛の表情で息絶えていた。

その姿を見て私は息を呑んだ。

知ってしまった。

私の魔女の血、魔術の凄惨さを。

人を簡単に殺めてしまう力を秘めていること。

そして、私と一緒にいるとあなたもこうなってしまう可能性があるということを。



しかしなぜ兵士がここに?

彼の両親を殺した理由は?

彼はどこに?

様々な疑問が浮かんできても自分では解決出来ない。

せめて一人でも残しておくべきだったと後悔する。


そこで私はこれきりと誓いながら魔術を使うことにした。使い方も知らないし成功するかも分からないがこのままでは駄目だ。

せめて、彼がどこにいるかだけでも知りたい。


結論から言うと魔術は成功した。

いや、成功してしまった。

なぜこの様な事態になったのかの映像を見せられている、決して目を離せず、目を瞑っても頭の中にその映像が永遠と流れ続ける。



私のせいだった。

あなたの両親が殺されたのも、彼が今、拷問を受けているのも、すべて私のせいだった。



私の両親が私の祖国の国王に魔女、つまり私についての情報をバラしてしまったという。

国王に私がいなくなってしまったことを問い詰められずっと誤魔化していた父と母だったが、国の暗躍部隊に魔女の家系についての情報と私が魔女の血を色濃く受け継いでいることを調べられてしまったというのだ。

そこまで調べ上げられ、黙っているわけにもいかず、父は私が今、どこにいるのか、誰にお世話になっているのかを全て話してしまった。

後から知ったのだが、両親は追い出してからも私が心配で私に内緒で密偵を送り込んでいたらしいのだ。

そんなに娘が大事ならなぜ黙っていてくれなかったのかと思ったがどうやら母と私の兄妹を人質に取られていたというのだ。


王国家というのは代々欲深く、私利私欲で人を使ってきた。

私という兵器を手に入れ、他国への侵略を企んだ国王はその様な卑劣な手を平気に取った。


そうして、情報を手に入れた国王は私が住む村に兵士を送り出し、まず人質を取るためにお世話になっているあなたとあなたの両親を襲ったのだ。

あなたを捕らえ、あなたの両親も人質にする予定だったらしいのだが、一撃で昏倒させられた彼と違い、昏倒させることが出来なかった二人を面倒に思い、殺してしまったというのだ。

そして、彼は今、国王に協力するようにと兵士に拷問を受けている。


しかし、彼は抵抗している。

既に数時間も拷問を受け、爪は全て無くなり、歯も数本抜かれている。体中には鞭か何かで殴られたようなミミズバレがいくつもあり、

私が大好きだった笑顔を見せてくれた彼の顔はもう見ていられない状態だった。それでも彼は抵抗し、

「彼女の人質になるくらいならここで死んでもいい!

それより、彼女を追うのをやめろ!

彼女は人間だ!

魔女なんかでもましてや兵器でもない!

れっきとした!人間だ!!」

とボロボロの顔で訴え続けるのだった。




兵士からの言葉で私が魔女だということを知りながら、私があなたを殺してしまうかもしれないような力を持っていると知りながら、彼は抵抗を続けるのだった。


泣き崩れた。

全部私のせいなのに。

それなのに。それなのに彼は未だ私を守ろうとしてくれている。

私が、誰より、何より欲しかった言葉をくれた。

「人間だ!」

という、魔女の私に、人を殺す力を持つ私に、一番欲しかった言葉。


瞬間、私の右目に激痛が走った。

右目が突然悶絶するほど、熱くなり、流していた涙が赤い血の涙になった。私はここにきて初めて、強大な魔術行使にはなにか代償がいることを知った。

幸か不幸か右目は無事だった。

激痛が走っただけで数秒すると痛みは消えていた。



右目が安定を取り戻し、少し落ち着いた私は即座に行動を始めた。

あなたを助けるために。

あなただけでも助けるために。





そして私は一つ、心に決めた。

彼に告白しようと。そしてその後……





魔術で彼が捕らわれている所へ飛び、拷問を行っていた兵士数人を殺した。手早く、迅速に首を落とす。

人を殺すことに躊躇いが無くなっていた。



そして繋がれた枷を外し、少し躊躇し、彼を抱きかかえる。

衰弱しきっていた。怪我は魔術で直したが、

精神的な痛みが残っているのだろう、顔をしかめ、痛みに耐えているように見える。

それでも私に優しげな、私の大好きなあの笑顔を見せて、

「大丈夫だったかい?」

と聞いてくるのだった。


胸が苦しくなった。これから私はあなたに残酷な話をしなければならない。

あなたの両親のこと。私の祖国のこと。

そして……


両親と祖国についての話をあなたはしっかり聞いてくれた。殴られるかもと身構えたが、

「君のせいじゃない」

と残酷な程優しい笑顔で言うのだった。




「私はあなたが好き。」



唐突な告白でびっくりしたのだろう。

ポカンとした顔をした後、即座に顔を赤くして、少し目をキョロキョロし、そして覚悟を決めたように言った。



「俺も君が好きだ。」

と。




お読みくださりありがとうございます!

良かったらTwitterの方もお願いします。

 左右@小説家になろう

です。良かったらお願いします!

後編もまた近いうちに上げようと思いますのでお楽しみに!!

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