第八章:第二次人森戦争・前編-38
ちょっと更新遅めですが、日数調整みたいなものですのでどうかご容赦を……。
ああそれと今の章が終わったら一旦資料集である「欲望目録」を更新しようかなって考えています。
長らく手を付けて無かったですし、スキルやら何やら増えてきましたからね。着手しようかな、と。
それに伴い多分更新間隔がちょっと空くかもしれないので、そこの所もご容赦ください。
「うわーー……」
ティリーザラ王国直下剣術団ギルド「竜王の剣」。その副団長を務める少女の如き幼さを残す女性、ヴァイオレット・ヘッズマン。
彼女は今目の前に広がる壮絶な光景に、ただただ感嘆の音を漏らす事しか出来なかった。
そこにあるのは死屍累々の地獄そのもの。
若葉色の草原は赤黒い血で染め上がり、漂う空気は澱んで血腥い。
曇天と化した空からはしとどと雨が降り始め、乾き熱せられた空間を僅かばかりに癒してくれる。
そんな至極残酷な死体が転がる戦場の中、ただ一人の美女が雨水降り頻る空を見上げながら汗で張り付いた長髪を豪快に掻き上げた。
血と雨に濡れた髪はそれにより少しばかりの飛沫を上げ、紅潮した頬と寂寞を滲ませる表情は彼女を妖艶に演出する。
数にして二千四百二十六人……。
内二千二百人余りが彼女──ガーベラの手によって戦場に命を散らした。
ガーベラと接敵して間もなくヴァイオレットと剣術団も戦闘に参加したが、彼等が一人二人を相手にしている間に彼女は十人を葬り、敵方の実力者は軒並みガーベラへと群がった為に二百人弱程しか相手に出来ていない。
そして残りの約百人はそんなガーベラの圧倒的な強さに気圧され敵前逃亡を図り行方が知れず、五百人余りは衛生部隊長メリアン・レディバグの命令の元に投降した。
こうして後の世に語られる逸話「深紅の処刑祭」は幕を閉じ、今は剣術団総出で投降者の拘束と副団長であるヴァイオレットの指揮によって投降者や戦死者の輸送の手配をしているのである。
「ホント、ガーちゃんだけでこの戦争勝てちゃうよなー」
「あ。副団長、サボってないで手伝って下さいよ」
小さく零したヴァイオレットの一言に、彼女の後ろでせっせと戦死者達を並べていた一人の男剣士が反応。不満気な声音で仕事の催促をした。
「いや〜。アタシはホラ、ガーちゃん慰めなきゃならないからさ」
「……? 慰める? 団長を、ですか?」
男剣士は意外そうに疑問を口にする。
剣術団はこれまでも様々な任務によって王国各所を周り、事件等を解消して来た。
その中には当然盗賊や山賊、犯罪組織等の悪人を相手取る任務も存在し、それらの壊滅にあたり少なからずその剣で止むを得ず命を奪う選択も迫られた。
人の命を奪う事は初めてではない。とうの昔に覚悟など決まっている。
しかし、だ。
「ガーちゃんってバカみたいに素直だからさ。心の中でしてる覚悟のすぐ隣に、同じくらい大きな優しさも置いちゃってるんだよね」
ヴァイオレットは気の抜けるような緩い表情に少しだけ真剣味を滲ませながら改めてガーベラに視線を向ける。
「勿論だからって手加減とかしないよ? それをやって危険に陥るのが誰なのかって、ちゃんと理解してるから。だからああして、あの子は諸々終わった後にただ真っ直ぐ受け止めるの。バカみたいに真っ直ぐ、ね……」
ガーベラのしている覚悟は、ある種クラウンの覚悟にも似ていた。
己の行動、その一挙手一投足に責任を持ち。
一切逃げ出さず、真正面から全てを受け止める……。
可能性を、未来を、夢を、幸せを……。それらを奪う事の重さを、この姉弟は真っ直ぐに覚悟していた。
ただ違うとすれば、クラウンは自分の為の覚悟であり、そしてガーベラはどちらかと言うと他者──主に愛する家族の為の覚悟と言えるだろう。
「まぁ、とはいえそろそろガーちゃんにも働いて貰わなきゃね。行ってくるよ」
そう言ってヴァイオレットはガーベラへと歩み始める。
彼女の中に渦巻く葛藤、それを嘲笑いに。
「まったくもう。世話が焼けるなぁ」
(……流石に、少し疲れたな)
ガーベラは顔面に雨粒を受け止めながら曇天の空を見上げていた。
昂っていた鼓動が徐々に鎮まっていくのを感じながら雨雲に生じる僅かな陰影を呆然と目で追い、未だ手に残る人を斬った感触と鮮血が噴き出す光景を脳裏に少しずつ焼き付け、耽る。
人を殺した日は、いつだってそうだった。
鬼気迫る殺気放つ表情。
恐怖に濡れる情けない表情。
生気を喪い感情を無くした表情。
そのどれもを区別無く、一切合切脳裏に焼き付け、しまっておく。
せめてもの供養などとは烏滸がましく、だがだからと言って忘失してしまう己が許せず。
ただの自己満足でしかないと理解しながら、自分に伸し掛かる散っていった無数の命の欠片を墓まで背負って行く……。
改めて、その覚悟を固めていく。
「ガーちゃ〜〜んっ!! だ〜いじょ〜ぶ〜?」
「……」
間伸びしたトーン高めの声音に今まで積もらせていた感傷的な空気感が弛緩し、ガーベラは少し困惑した表情になりながら溜め息を吐く。
「はぁ……。ヴィオラ……。もう少し空気をだなぁ……」
「ま〜いつもなら放っておくのも考えたんだけどね〜。流石に戦争真っ最中で黄昏れられちゃうとちょっと困るんよね〜」
正直な所、例え先程の半ば放心状態であったガーベラ相手であろうと敵う敵など最早周囲にはいないのだが……剣術団団長という体裁もある。
「申し訳ないけどさっ! シャンとしてシャンとっ!!」
歯を見せて笑うヴァイオレットだが、その目の奥にあるのは確かな〝威圧〟。
剣術団副団長の任は主に団長であるガーベラの補佐や団員達の指示統制管理等多岐に渡るが、その中で最も重要な任務の一つが「団長の制御」である。
以前に竜を討伐しに……と勝手に飛び出して行った事からも分るように、ガーベラはかなりの自由人。
自由奔放。豪放磊落。大胆不敵……。
そんなおよそ集団行動には向かず、さりとて一人にしておくには余りに大き過ぎる力を有する彼女を制するのは容易ではない。
故に彼女の舵取りをする人物の存在が必要不可欠であり、その役目をヴァイオレットが任されているわけである。
「……」
「ほらほらガーちゃんっ! あんまり間抜け面してると部下達に示しが付かないよ?」
「んなっ!? ……わ、わかった」
辛辣なヴァイオレットの言葉に一瞬血が上るガーベラだったが、目端に映ったきびきびと働く部下達の姿を見遣り、唯々諾々と従う。
「よしよしっ。良い子だね〜ガーちゃん♪」
「喧しい……。っと、少しだけ待ってくれ。少し荷物が……」
そう言うとガーベラは周囲に四散しているエルフ兵士の遺体を漁ると目当ての物を拾い上げ、それを抱えてからヴァイオレットの元へ戻った。
「待たせたな。では行こう」
「……え〜」
ヴァイオレットはガーベラへ目を細めて見詰め、頭の先から足元まで矯めつ眇めつ眺める。
「な、なんだ不躾に……」
「なんだって、ガーちゃんこそ何それ?」
「何って……土産だ。クラウンへの」
「土産って……その武器やら何やらが?」
今のガーベラは、当初突撃した際の装備とは最早違うものになっていた。
妙に派手な鎧を傍に抱え、豪奢な大盾を背中に担ぎ、複雑な意匠が凝らされた鎖鎌を袈裟懸けにし、手には身の丈はある騎槍が握られている。
そのチグハグな様は異様で、雨によってより艶やかさの増していた彼女の美貌が完全に損なわれてしまっていた。
これでは子供が自作した粗末な剣や鎧の方が見栄えが良いというものだ。
「いやいやいやいやっ。持ってくのは良いけど何でわざわざ装備してるのっ!? なんかバカみたいだよっ!?」
「バカとはなんだバカとはっ!! 仕方がないだろうっ!? 全て抱えるなど流石に出来ぬし、クラウンのように〝お手軽どこでも倉庫〟なども使えんのだからっ!!」
「お、お手軽どこでも倉庫って……。ま、まぁ弟君並の《空間魔法》なんていくら何でも期待してないけどさぁ。だからって……」
「良いんだ何だってっ!! クラウンに言われていた隊長格の生捕りの事を忘れて倒してしまったから今少し機嫌が悪いんだっ!! これ以上何か文句があるなら一発ゲンコツ──」
刹那、ガーベラの脳髄に電撃が走る。
言葉の続きを紡ぐ暇も無くガーベラは背後へと可能な限りの速度で振り返り、そのまま刃の閃きすら置いていく速さで竜剣ジャバウォックを居合抜いた。
すると直後、彼女の元へ〝一本の矢〟が飛来。
そして矢が抜き放った刃へ接触した瞬間、巻き起こったのは大爆発と錯覚する程の爆音と暴風、そして圧倒的な衝撃波だった。
最早弓から放たれる一矢とは呼べぬ程の威力と衝撃を伴ったそれは一瞬で辺りに転がるエルフ兵士の遺体を吹き飛ばし、後ろにいたヴァイオレットを転ばす。
「ぐっっ……!!」
そんな一矢による災害を一身に受け続けるガーベラは奥歯をこれまでに無く強く噛み締めた。
竜を制し従え英雄と謳われる彼女。
三千の兵士を前にしても怯まず、無双の如き武勇で二千人以上を屠って尚多少疲労した程度に留まっているガーベラが、ここに来て初めて〝本気〟で剣を振るっている。
(くっ……!! なんて威力だ……!?)
ぶつかるジャバウォックが軋みを上げる。
嵐を圧縮したような矢による一撃は一向に威力が衰える事はなく。ガーベラという英雄を穿たんと寧ろその猛威を高めていた。
(だ、がぁッ!!)
ガーベラはジャバウォックに深紅のオーラ纏わせると僅かに腰を屈め全身の力をジャバウォックへと集中。そのまま一気に力を解放した。
「《秘奥・龍転》ッッ!!」
ジャバウォックを薙ぐようにして振り切る。
すると深紅のオーラが威力を増し続ける嵐の矢を打ち負かし、周囲に乱気流を発生させながらその軌道をあらぬ方向へと変え、弾け飛んで行った。
「ハァ……ハァ……」
肩で息をするガーベラ。
遠方では弾き飛ばされた嵐の矢が着弾。途端まるで隕石でも落下してきたかの如き爆音と狂飆が広範囲にて荒れ狂い、辺り一帯の地面すら抉る。
「が、ガーちゃん、今の……」
何が起きたか処理出来ぬまま立ち上がろうとしたヴァイオレット。だが──
「立つな退がれッ!!」
「え──」
そして飛来する第二矢。
殆ど無音の亜光速に匹敵するような第二矢は同じ軌道でガーベラへと到達すると、彼女は再びジャバウォックに深紅のオーラを纏わせながらそれを迎え撃つ為斬り上げる。
呼吸すらままならなくなるような暴風域がまたもや発生するが、同じ攻撃が二度通じるほどガーベラは甘くはない。
「私をナメるなぁッッ!!」
そう叫んだ瞬間、ガーベラは第一矢で要領を掴んだのか先程の苦戦振りが嘘だったかのように嵐の第二矢を《秘奥・龍転》にて弾き飛ばし、別の遠方の平野に二つ目のクレーターを作り上げる。
「ふぅぅぅぅ…………来いッ!!」
その言葉に呼応するかのように第三矢が飛来。
更には殆ど間隔を空けず第四矢までもがガーベラへ迫る。
「面白いッッ!!」
ガーベラは口角を吊り上げながらジャバウォックを振るい、第三、第四矢を連続で弾く。
そして休む暇まなく第五、第六、第七の嵐の矢が彼女の命を刈り取らんと容赦無く放たれるがそれらを全てガーベラは神業でもって弾き、次々と戦場にクレーターを量産していく。
「もう終わりかぁッッ!? 私はまだまだやれるぞッッ!!」
実に愉快に、楽し気に笑うガーベラ。
そんな彼女をもっと楽しませてやろうと言わんばかりに、それからも矢継ぎ早に放たれ続ける天災の如き矢の応酬。
弾かれた矢の着地点には変わらずクレーターが出来続け、ジャバウォックと嵐の矢が衝突する度にガーベラの周辺の大地は削れ、異様な形に歪めていく。
それは既に、一人の人族とエルフ族の戦いの一幕とは思えぬ光景。
たった一射の矢が命を奪うどころか地形すら大きく破壊し、そんな兵器級の一撃を多少苦労はしたものの早々に事も無げに一人の女剣士が対処し捌き切る……。
そんな光景を目にしたヴァイオレットや剣術団団員達はそれによって認識した。
自分達の団長であるガーベラが紛う事無き真の英雄たらん資格者であり、そしてそんな彼女に匹敵するような〝化け物〟が、アールヴ軍に存在する、そんな事実を……。
「ふ、ふふ。ちょっと調子に乗り過ぎだな……」
そうして幾発もの嵐の矢が放たれ続け、二十発目の嵐の矢が彼女に放たれジャバウォックが迎え撃ったタイミングだった。
ガーベラはジャバウォックを握る手の位置を変え、腰を捻る。
そして深紅のオーラを今まで以上に放出するとその鋭い眼光でアールヴ側を睨み、その方向目掛け力の限り振り抜いた。
「お返しだァァッッ!!」
振り抜かれたジャバウォックにより弾かれる嵐の矢。
しかし今度はあらぬ方向ではなくガーベラが目掛けたアールヴ側に向かって嵐の矢は飛んでいき、深い深い森の向こうへ消えていくと次の瞬間には生木が引き千切られるような無残な音と共に森で暴風が吹き荒れ、辺り一面に樹木の残骸が飛散した。
「ハァ……ハァ……ハァ……。ふふ……」
その様子を荒い息を吐きながら見たガーベラは満足そうに笑うとジャバウォックに纏わせていた深紅のオーラを収め、その場に徐に座り込んだ。
「ハァ……ハァ……。まったく……。とんだ重労働だ……。む?」
ガーベラは空を見上げる。
気が付くと先程まで降り頻っていた雨は止み、空を覆っていた曇天には所々に大きな穴を開け、そこから夕焼けの茜色が覗いていた。
「ふ、ふふ……。台風一過とは行かないか……。私も〝奴〟も、まだまだ人間だ……」
小さく笑いながら呟くガーベラ。
すると彼女の背後にゆっくりと小さな影が歩み寄り、一言も発さないまま座り込むガーベラの背中に抱き着いた。
「ん? なんだヴィオラ。珍しく随分としおらしいじゃないか」
「……」
「……ヴィオラ?」
「……心臓に悪い」
「ふ……ははははははっ」
「笑い事じゃない」
「いやなに……。お前のまともな声音を初めて聞いたんでな。ちょっとは打ち込まれた甲斐もあったか? ふふ」
「怒るよ?」
「いやぁ、ふふ。すまんすまん……」
「……ねぇ。今のは……」
「ああ。多分〝奴〟だろう。最後に一矢報いたが、仕留めては無いだろうな」
「だよね……」
「余りここに長居はよそう。輸送隊が到着次第すぐに撤退出来るよう最善の準備を急がせる。それで良いな?」
「うん。そう指示出しとく」
「よし。なら仕事だ。私は一応また射って来ないか警戒しておく。後は頼んだ」
「うん」
「うむ。……しかしまぁ」
ガーベラはアールヴ側に視線を向け、真っ直ぐ見据える。
その視線の先には一本の巨木が存在し、彼女はそこへ懸命に目を凝らすが、例の〝奴〟の姿は捉える事は出来ない。
だがしかしそこに確かに〝奴〟が居る……。そう直感にも似た勘によりその存在を感じ、彼女はまた別の意味の笑いを僅かに零した。
「ふ……。クラウンに良い土産話が出来たな」
アールヴ森精皇国中央拠点。
そこには他の森の中に築かれた拠点とは違い、一本の巨木が天高く聳えていた。
勿論高さとしては霊樹トールキンには遠く及ばないものの、周囲に広がる森の木々の中ではダントツで高樹となっている。
そんな巨木、その頂上付近の枝の上……。
そこにはシルバーバックの髪が威厳を放つ一人の老エルフが座り込み、神々しいまでの剛弓を片手にスキットルから葡萄酒を呷っていた。
「『ふぅ……。まったく、嫌になる』」
老エルフが不満気に小さく呟くと、曇天から垣間見える夕焼けの空に剛弓を翳しながら深い溜め息を吐いた。
「『私も老いて多少は腕が鈍っていたが、よもやあんな小娘にああもあっさり捌かれてしまうとは……。情け無くて仕方がない』」
老エルフは巨木から敵地に目を落とす。
その視線の先には自身の今現在の渾身の一射を悉く弾き飛ばし、剰え最後の一射を意図時にこちら側へ弾いて見せた人族の女剣士──ガーベラの姿があった。
「『英雄に匹敵する実力者とは陛下から聞いていたが、アレは最早そんな生温い存在ではないな……。陛下には不甲斐無い報告をせねばならん』」
そう口にすると老エルフはスキットルを最後に呷ってから蓋を閉め、巨木の枝から腰を持ち上げると腰痛に顔を歪ませながらゆっくりと立ち上がる。
「『ふぅ……。老体には少々堪えるな。だがこれも陛下や孫達の未来の為……。人生最後の〝英雄〟としての務め、果たさなくては』」
老エルフは懐へスキットルを仕舞うついでにとある資料を入れ違いに取り出す。
その資料には「最重要要注意人物」とシンプルなタイトルが刻まれており、彼はその資料を幾枚か捲り上げてから目的の項目で指を止めた。
「『あの女剣士を仕留められなかった以上、次は彼か……。だがしかしなぁ……』」
老エルフは思い起こす。
巨木の登りガーベラを狙い討つ作戦より前、下の拠点に居る自慢の孫達に迫られたワガママを──
「『ねぇお爺ちゃんッ!! コイツはワタシ達がやっつけたいッ!!』」
「『な……本気で言っているのか?』」
「『そうだよお爺ちゃん。僕達だって活躍したいんだっ!! 拠点に引きこもってるだけなんてイヤだよっ!!』」
「『い、いやしかしだな……。この資料を見て解る通り此奴はかなりの危険人物であり確かな実力者だ。お前達でどうにか出来るか……』」
「『大丈夫だよお爺ちゃんッ!! ワタシ達の実力とコンビネーション知ってるでしょッ!? こんな奴チャチャっとやっつけちゃうよッ!!』」
「『それにほら。僕のスキルを使えば敵の攻撃なんて全然怖くないし、僕達だって陛下のお役に立ちたいんだ』」
「『う、うぅむ……』」
「『ねぇ、お願いッ!!』」
「『ねぇ、お願いッ!!』」
「『はぁ、まったく……。変な所で強情なのは死んだ妻譲りか? 私のサポートありきの条件を出しはしたが……。先が思いやられる……』」
可愛い可愛い孫達のお願いに弱い老エルフは資料を空に翳し、資料内に描かれた本物と見紛うばかりの人相書き鋭く睨む。
「『待っておれキャッツ家の子孫共……。果たせなかった積年の恨み……。この「森精の弓英雄」エルダール・トゥイードルとその孫達が、必ずや貴様等を撃ち抜いてくれよう』」
老エルフ──エルダールの瞳に炎が宿る。
八百年という年月を刻んだ重い重い人生……その終幕を彩る華々しい功績と、かつて許してしまった蛮行に対する復讐、その成就の為に……。
これはちょっとした提案なのですが、皆様フレーバーテキストってご興味あったりしますか?
フレーバーテキストとはつまりよく「ダークソウル」シリーズ等で見られるアイテムの概要欄に記載されている効果なんかとは関係ない固有のテキストみたいなものです。
私、アレ大好きなんですよ。
アイテム一つ一つに世界観を構築するような情報や物語が小さく記されていて、読めば読むほど世界観に対して理解が深まるというか……。
作中では語り尽くせない設定や歴史、文化なんかを盛り込めるという点ではかなり魅力的なんですよね。私としとも、そして恐らく読者方としても……。
なのでご要望があれば、前書きにも書いた資料集更新の折にちょっとだけ手を付けてみよいかと考えています。
ご興味のある方は是非ご意見を下されば幸いです!!




