第八章:第二次人森戦争・前編-5
戦時最終交渉から約十分。
私は陛下達を連れティリーザラ王国の自陣へと転移で帰還。明朝に勃発する総力戦に備えるべく、各々が担当拠点へと向かった。
国王陛下は鬨の声にて全軍を鼓舞するべく自陣の中央へと移動。加えて今合戦に於ける作戦の最終確認を中央帷幄にて珠玉七貴族や上級貴族と打ち合わせ。
姉さんはプルトンを連れ前線へ移動。団長を務める剣術団員達の士気を高める為鼓舞し、充分な休息を取りながら待機。
そして師匠、それから私は前線よりやや後方。小高い丘になっている主に魔法魔術学院生等が集まる拠点にやって来た。
「分かり切ってはいましたが、やはり戦時最終交渉は決裂したのですね」
拠点に到着して早々、生徒会長や教員達のようなある程度戦闘を熟せる学院関係者等と共に駐屯していたロリーナがそう口にする。
「ああ。と言っても歴史上、この戦時最終交渉が上手くいった例は殆ど無いから無理もない。陛下を始め、誰一人として期待などしていなかったさ」
遥か昔、まだ帝国に吸収される前に存在していたらしい小国同士の戦時では交渉が上手くいった例もあるが、それも何百年も前の話。
小さな諍いが生んだ小競り合いなら有り得たかもしれんが、今回のティリーザラ王国とアールヴの間にある怨恨はかなり根深い。交渉程度で片付く段階は、もう何十年も前に過ぎているんだ。上手くいく方が疑わしい。
「因みに、相手の要求はどのようなものだったんですか?」
「あれは、そうだな……。要求、というより最早決意表明に近かったな」
「決意表明、ですか」
「ああ──」
『我々アールヴが要求するのは主に二つ。不当に奪取された我が領地の速やかな返還及びその領地で発生したこれまでのあらゆる利益、物品、産業の徴収』
『そしてティリーザラ王国のアールヴへの植民地化及びティリーザラ王国民の奴隷化だ。これが飲めぬのなら、我等は一切のあらゆるそちらの要求を飲むつもりはない』
「話にならん程に法外だったよ。到底頷けるようなものではなかった。断られる前提としか思えんような、な」
逆にこれを真面目に要求してくるような奴等ならある意味楽だったんだがな。程度が知れ、やり方次第では情報戦だけで内輪を崩せる。より血を流さずに済んだだろう。
だが奴等はそんな矮小な思想の持ち主ではない。私達人族をその手で葬らねば気が済まないという使命感を確かに抱いた、恐ろしい敵だ。
「つまり向こうはどう足掻こうと戦争するつもりだと……。そういう事ですか?」
「そうだ。陛下も一応は真面目にこちらが提示する要求を色々と貴族達と会議していたのに、それが奴等の先手で雲散霧消だ。少しは腹芸に付き合ってくれても良いものをな」
こちらとしても本気で要求を通そうなどとは考えていなかったとはいえ、〝交渉〟と一応銘打っているのだから嘘でも多少は歩み寄ろうという意思があっても良さそうなものだが。
まあ、考えても詮無い事だが。
「ところでロリーナ。もう学院生徒達は全て所定の拠点に集まり終えたのか? さっきここに来た時はもう少し掛かると言っていたが」
「はい。あれから少しして全学院生徒の移動が完了したと報告がありました。皆一様に緊張しているとの事でしたが、剣術団員や大人の兵士達が励ましているようです」
「そうか。それは重畳だ」
以前盗賊達を使った戦闘訓練を学院生徒達に経験させ、戦争の雰囲気と他者の命を奪う覚悟を覚えさせた。
しかしだからといって本物の戦争で万全を発揮出来るのかと言われれば、正直なところ頷く事は出来ない。
あれはあくまでも〝訓練〟でしかなく、私やヘリアーテ達、学院教員に守って貰いながらの擬似的なもの……。それがそのまま本番である戦争で活かされる事は殆ど無いと言っていい。
あの時私が彼等に施したかったのはあくまでも〝万が一の場合に最低限逃げられるだけの精神的余裕を持って貰う〟事。
最大目標は死なずに生き残る事であり、それ以上の成果は命令も期待も希望もしない。仮に成し遂げてみせたのなら、なんらかの褒章があって良いくらいだ。
……まあ、それを学院生に零しでもしたら絶対に無理をする輩が現れるから口にはしていないがな。
と、そんな事で死なない事が目標である学院生達には単独行動を固く禁じ、剣術団員や兵士等で構成された部隊に少数ずつ組み込み魔法、魔術によるサポートに徹してもらう事になった。
私達が監視出来ない以上、これが戦闘要員として見做された彼等が最大限戦地で生存率が上がる方法。
少々過保護かもしれないが、今以上に魔法魔術学院の評判を落として師匠に不利益が生じられたら堪らない。まだまだ私は師匠から学び切れてはいないのだからな。
因みにロリーナにはその配分を生徒会長率いる生徒会と教員達とで協議し、配置を決めてもらっていた。
本来なら他の一般生徒達と立場的には一切変わりが無い筈なのだがな。
私と常に一緒に行動し、魔法魔術や近接戦闘に於いて図らずも他学院生と一線を画す程の実力を身に付けた結果、色々と教員達から特別視され始めていた。
彼女が協議に参加する事になったのも、そこら辺が起因していたりする。私としては状況把握が容易くなり喜ばしいのだが……。
「慣れない事をさせてしまったな。無理や嫌な思いはしていないか?」
そう私がロリーナを気遣うと、彼女は少しだけ微笑んでからゆっくりと首を横に振った。
「いいえ、していませんよ。問題ありません」
「そうか? なら良いのだが……」
戦争直前のこのタイミングで余り慣れない事をさせて調子を崩して欲しくはない。今からでもゆっくり体を休めて──
「それに私はいずれ貴方の秘書になる人間です。今のうちにそういったクラウンさんの手が回らない案件や雑事を熟せるようにならなくては、いずれ迷惑を掛けてしまいますから」
ロリーナ……。私の為にそこまで……。
「君は、そこまで考えて……」
「今回のはまあ、成り行きではありましたけど。そう考えて動く方が私の為にもなるかな、と……。それに貴方の為に動くと、その……やる気も出るので」
「──っ!!」
……ああもう。この子はまったく。
そんな風に可愛らしく顔を赤くされては、戦争があるからと自分に言い訳して色々と抑え込んでいた蓋が外れそうになってしまうじゃないか。
参ったな……。あの日。ロリーナとかなりイイ感じの雰囲気をミルトニアに邪魔されてから私もせめて戦争が終わってから、と色々と我慢しているんだ。
今その箍が外れてしまっては集中しなくてはならない事が疎かに──
「なのでクラウンさん」
「ん?」
「私をクラウンさんと一緒に前線に連れて行って下さい」
「……」
…………そう来たか。
「クラウンさんはどうせ私を戦場の後方へ配置して可能な限り安全圏に居させようとしていますよね?」
当たり前だろう。誰が好き好んで愛した女性を死地に向かわせるような事を望む。
多少嫌われようと多少無理矢理だろうと戦死する可能性が少ない所に居て欲しいに決まっているだろう。
「はぁ。ロリーナ、私の気持ちも分からないわけではないだろう? 例え戦場で数多のキズを体に受けようと、君が傷付く方が何倍何十倍と私には効くんだ。気が気じゃなくなってしまうよ」
「その心配をさせない為に、私は強くなったんです。貴方に守られて後ろに居るのではなく、貴方を助けられるように隣に立って居たいんですっ」
「そうは言ってくれるのは嬉しいが、今回の戦いは戦争……それも最前線だ。私ですら油断出来ない死地なんだぞ? 監視砦や盗賊退治の時とはワケが違うっ」
「だから私達二人で一緒に戦うんですっ! お互いを守りお互いを助ける……。その方が一人で戦うよりずっと生存率も上がりますっ!」
「混戦乱戦の中で互いをカバーし合うのは至難の業だぞっ? それに場合によっては一人で立ち回った方が動き易く立ち回り易い事だってあるっ! 無理に一緒に居て危険性を高めるわけにはいかないっ!」
「ですがっ!!」
「それでもっ!!」
「ああ、オヌシ等いい加減にせんかっ!!」
終わらぬ論議の中、それを止めに間に入って来たのは師匠。この拠点に帰還して直ぐに学院生徒会長や教員達と打ち合わせに行っていた筈だが……。
「何事じゃまったく……。仲睦まじいオヌシ等がこの期に及んで口論なんぞ」
「師匠からも説得して下さい。ロリーナが私と共に前線に向かうと聞かないんです」
「知っとるわバカ者。アレだけ人目憚らず声を荒げていれば聞き耳を立てずとも聞こえる」
む……。いつの間にそこまで声を……。少々熱くなってしまっていたか。
まあ兎に角だ。然しものロリーナも師匠に止められれば冷静になってくれるかもしれん。ここはハッキリと言って貰おう。
「それでキャピタレウス様。貴方も私がクラウンさんと前線に向かうのを反対されますか?」
「言ってやって下さい師匠。さあ」
「なんでワシが……。はぁ……。まあ、なんじゃ」
「……」
「……」
「別に構わんのじゃないか? 彼女を前線に連れて行っても」
…………は?
何っ!?
特に悩むような長考も無く、何の気なしにそう言ってしまった師匠。パッと振り返って見ればいつも余り私との会話以外では表情が動かないロリーナの顔が綻んでいる。
私は改めて師匠に向き直り、その責任感が一切滲んでいない顔を睥睨した。
「どういう事ですか師匠っ!? 話が聴こえていたなら私の意見も理解しているでしょうっ!?」
「そんな睨むでない解っとるよそんなもの」
「では何故っ!?」
「そんなもん決まっとるじゃろ」
決まってる? 何がだ? 私が何か見落としているのか? 一体どういう──
「男はな。好いた女を守る時が一番強くなるんじゃ」
「……はい?」
な、何を言って……。
「女も同じじゃ。好いた男の為になら全力で身体を張れるというもの。ならばお互いが側に居る方がオヌシ等も強くなるじゃろう?」
「で、ですがそれでは万が一にでも何かあった場合──」
「ええい何じゃ何じゃさっきからオヌシらしくもないっ!! いつもの歳不相応な豪胆さや傲慢さは何処に行ったっ!?」
「──っ!!」
そう叫ぶと師匠は携えた杖で私の頭を軽く小突いてから、まるで子供を叱る好々爺のような表情で私を睨む。
「今まで散々好き勝手して、好き勝手解決してのけて今更何じゃ? 「好いた女が傷付くのが怖い」か? 愚か者っ! そんなもんいつも通りやっとれば何の問題も無かろうがっ!!」
「いつも、通り?」
「そうじゃっ!! いつも通り、オヌシは笑いながら好き勝手すりゃあ良い。オヌシなら雑作も無いじゃろ? 好きな女と一緒に戦って、守って、勝って、活躍して、生き残る。そうしたいんじゃろ? 本当は……」
「……」
……本音を言えば、ロリーナには常に側に居て欲しい。
日常は勿論。食事や訓練や旅……何でもない合間にだって、それこそ戦っている時だって片時も離れたくない。
だが私が一番恐れているのは、そんなワガママが絶対に叶わなくなってしまうという可能性だ。
……。
……昔、前世で私は自分の妻を死なせた。
死に様は悲惨で、真っ白な肌と長髪を真っ赤な血で染めながら、私に笑顔を見せて死んだ。
別に戦場に送り込んだとか、今と似たような状況だったわけではない。
ただ私の日頃の行いやその溜まり溜まったツケが妻に矛先を向け、容赦なく刺したのだ。
当時の私は驕りに驕り、指先一つ動かせば皆が恐れ慄き、どんな敵であろうと自分を止められる者など居ようはずもないと、高を括っていた。
だから及ばなかった、考えが。
私以外の弱者に私が積み上げた罪と罰が降り掛かり、それで満足するような愚か者が居る事を……。
その後、妻を殺した連中は思い付くあらゆる苦痛と絶望と羞恥を詰め込んだ方法で私自らが始末し、残った残骸は適当な家畜の出した糞尿に混ぜてやったが、私の心中はいつまで経っても晴れる事は無かった。
結局は私の驕りが妻を殺した。そういう事だ。
それから寿命を迎えるまで私は妻以外に女を作らず、ぽっかり空いた心の穴の隙間に必死になって他の欲望を詰め込む人生を送った。
そんな人生も正直なところ、楽しいは楽しかったのだがな。それでもやっぱり、妻以外に女を作る気には一切なれなかった。
だから自分でも本当に驚いたんだ。ロリーナに一目惚れしてしまった、あの時は……。
妻には髪色も顔立ちも背格好も、そして性格すら全く違う。
しかし何故だか今まで何を詰め込んでも際限なく飲み込み続けた私の心の隙間に、彼女の存在がどうしようもなく沁みた。
全身に血が通い、体温が戻ったような錯覚を覚える程に私の中で何かが覚め、そして五十年以上も女に対して向かなかった欲望が、ロリーナにだけ向いた。
妻には薄情と受け取られてしまうかもしれない。
だがもう駄目なんだ。
ロリーナが愛おしくて、堪らないのだ。
……だからこそ、私はもう二度と自分の驕りで愛しい人を犠牲にしたくない。万が一など、絶対に起こしてはならない。
戦争なんて以ての外だ。一時の小さな欲で彼女を失うなど耐えられない。またあんな目に遭えば、私はもう……。
「……クラウンさん」
「……ロリーナ」
「なんて顔をしているんですか。貴方らしくない」
「……」
「……」
ロリーナが私の眼を見詰めながら手を握る。
力強く、優しく、温かい。彼女が触れられる距離に、私が居る。
これがどれだけ幸せな事か……。
「クラウンさん」
「……なんだ」
「今夜、一緒に食事をしましょう。二人きりで」
「食事を?」
「はい。二人で作って、二人で食べて、二人で片付けましょう。それまでにクラウンさんの気が変わらないのであれば、私も諦めます」
「……そうか」
「でも覚悟して下さい」
「え?」
「私も本気です。なりふり構いません。いいですか?」
「あ、ああ」
ロリーナの私を見詰める瞳には今までに無い程に確固たる意志が宿っており、その強固な決心と芯の通った言葉に、私は思わずそれだけしか言えなくなる。
「そうですか。では私は先にクラウンさんの宿泊テントに行っているので、仔細が済んだら帰って来て下さい。では」
そう言い残し、ロリーナは私の手を離すと踵を返して歩き去って行った。
「……」
「はぁ……。何じゃまったく。ワシがわざわざ出しゃばる意味など無かったではないか」
「……すみません」
「しおらしくて気持ち悪いのぉ。まあ、なんじゃ。一つ良い言葉を教えてやる──」
師匠は去り際、私の肩に軽く手を置くと笑いながら口角を上げた。
「「愛は負けない」。キザでシンプルじゃが、ある意味では真理じゃ。……彼女に、ちゃんと応えてやるんじゃぞ」
「……はい」
肩に置いていた手を退かし、師匠も「さぁて、ワシもさっさと片付けるかの」と口にしながら去って行く。
残された私は、ただ──
「愛は負けない、ねぇ。まったくもって素晴らしいじゃないか。……私も済ませるか」
残る仕事を片付けに、その場を後にした。
「おかえりなさいクラウンさん。料理の準備出来てます。作りましょう」
夕刻。丁度良く夕飯時に仔細を処理し終え、自分に割り当てられた宿泊テントに帰って来ると、言っていた通りロリーナが料理の支度をしていた。
「……ああ。そうだな」
言われた通り私も仮設式の台所へ立ち、二人で料理を始める。
そしていつも通り何品かの料理を拵え、食卓に並べ、一緒になって席に着き、食べ始めた。
そう、いつも通りだ。
何か私を説得する為の言葉も無く、今日はどんな食材を使うか、どんな味付けが良いのか、どれくらい量を作ろうかという何の変哲の無い会話だけをし、結局一緒の卓に着いた。
食事中もそうだ。
今日あった出来事で雑談の花を咲かせ、小さく笑いあったり、驚いたり、感心したり。いつも通りの、ただ二人きりの食事だ。
覚悟していて下さい、と言われた割にはそれが必要な場面は来る事なく、匂わせる言葉も見当たらない。
そうこうしている内に食事を終え、テーブルに並んだ汚れた皿を台所へと運ぶところまで時間が過ぎ、夜の帷もすっかり下りてしまった。
今のところ、本当に何もない。
片付けた後に話し合いでもするつもりなのか? それとも結局言い出せずにいるだけ……。または私を説得出来る言葉を見つけられなかったか。
いずれにせよ、私の考えは固い。
そう簡単に説得されるような私では──ん? そう言えばロリーナはいつも料理をする時調理器具を合間に洗ってしまう筈だ。
だが今日は何故かそのままに……。これはどういう……。
「クラウンさん。そこの鍋、底の方が焦げ付いてしまって中々取れないんです。お願い出来ますか?」
「む? 鍋に?」
ふむ。そんな強火で煮詰めたつもりは無かったんだがな。鍋がダメになって来たのか? まあいい取り敢えず様子を……ん?
鍋の底を覗いてみるが、彼女が言うような焦げ付きなどパッと見では見当たらない。多少傷は付いているが……。
「何処にあるんだロリーナ? 見当たらないが」
「端の方です。よく見てみて下さい」
「端の方って……。何度見てもやっぱり──」
瞬間、ロリーナの淡い香りがふわりと鼻をかすめた。
それに惹き寄せられるかのように思わず彼女の方を振り向けば、ロリーナの綺麗な白黄金の瞳が私の視界に目一杯に映り、柔らかい感触が唇に伝わる。
押し留めるような吐息が互いから漏れ、熱が急激に高まるのが生々しく感じられ、自分でも分かる程に顔が紅潮した。
唇の柔らかな感触はとても心地良く、いつまでもそうしていたいという強い欲求が胸の内から止めどなく湧き上がる。
その後数分──いや、数秒だったかもしれない時間を触れ合っていた唇は徐に離れ、激しい名残惜しさを残しながら私の眼に艶っぽく赤らめたロリーナの顔が映る。
「……」
「……」
「……何も」
「はい」
「何も洗い物の最中で無くても良かったんじゃないか」
「そう、かもしれません。……でも──」
ロリーナは更に私との距離を縮めると、洗い物で濡れたままの両手を私の背中に回し、力強く抱き締める。
「クラウンさんのせいです……。私を離れた場所に置いておこうとするから……寂しくて堪らなかったんです」
「そ、れは……」
「責任取って下さい。私をこんなに好きにさせて我慢させるなんて、ヒドイです」
「そ、そんなつもりはない。ただ私は君に万が一があったらと……」
「はい、分かっています。ですからもし……もしどうしても私を安全圏に置いて行くと言うなら……」
「あ、ああ……」
「…………子供」
「え」
「私と子供……作って下さい」
その瞬間、私は心臓が破裂する幻聴を聞いた。
またクラウンとロリーナが勝手に動きました。
いやぁ、小説って、やっぱり生きてましすね。はい……。
戦時最終交渉の描写は敢えて割愛しました。
長々とまた話し合いするのが飽きたのもありますが、あの場面は互いの顔合わせだけ済めば良い感じなので、必要な時に軽い回想的な感じで描写するに止めます。




