イトシキイロドリ Part8 ~アヤつり人形~
登場人物
アイ:かつて魔法少女として闇の皇帝-ダーク・ロードから世界を救った英雄。現在は隠された特別な機関“魔法庁”の長官となっている。
セカイ:アイのパートナーである妖精であり本名は“オズワルド”。本来はウサギのような容姿を持っているが、魔法で人間の姿をして魔法庁のエージェントとして働いている。
アヤ:魔法庁のアルバイト。かつて若年無業者として自堕落な生活を送っており、その生活を改めようと動き始めたところをセカイによって見い出された。
リンゴ:魔法庁が育成した魔法少女の一人。知性派で魔法のアイテムの研究も行っている。
ダグマ:真の名は“闇の悪魔-ダーク・デビル”。闇の皇帝-ダーク・ロードの遺した闇の力から生まれた怪人。世界を滅ぼすべく暗躍する。
ミストレス:闇の寵姫。ダグマを崇めている。
ダークアヤ:ダグマによって奪われたアヤの魔力から生み出された闇の戦士。アヤと同じ能力と心の闇を持つ。
その日、ミストレスと対峙していたアイとアヤの前にダークアヤが姿を現しました。ダークアヤはアイとアヤの前で黙りこくっていました。
「アイツが……アヤのコピー……!?」アイが言いました。
「そう、ダークアヤよ!」ミストレスが言いました。
「ダークアヤ……!」アイが言いました。「アヤと同等の力を持つ戦士……!」
「でも平気だよ。」アヤが言いました。「もしアイツが私の心の闇をコピーしているなら、真っ先に自殺するハズだからね!」
「それか、鼻歌を口ずさみながら下ネタを言うとか?」アイが言いました。
「それは……。」アヤが言いました。「私の心の光の部分だから……。」
「昼間ロックマンXのBGM歌うの止めさせたの恨んでたりしない?大丈夫?そのせいで私殺されるの?」アイが言いました。
「平気だよ、恨んでない!」アヤが言いました。「それに私の魔力が奪われたのはその時よりも前だよ。だからその時の心はコピーされてないハズじゃない?」
「それもそうね。」アイが言いました。
「壊してやる……こんな世界……。」ダークアヤが呟きました。
「えっ……?」アヤが言いました。
「全員死ねば良いんだ!」ダークアヤが言いました。
「フフフフ……!」ミストレスが笑みを浮かべました。
「アヤ……?」アイが言いました。「アイツ自殺しそうに無いんだけど……!?」
「ダグマ!私のコピーにしては出来が良くないようだな!」アヤが言いました。
「何言ってるの!?」アイが呆れたように言いました。
「これがあなたの心の闇のようね!」ミストレスが言いました。「世界を滅ぼす、究極の闇だわ!」
「……。」アヤは黙っていました。
ダークアヤが闇の拳銃“ダークバスター”を構えました。
「まずはお前から殺す。」ダークアヤがアイに言いました。
ダークアヤがアイを撃ちました。
「うあっ……!」アイがダークアヤの放った魔法弾を受けて転倒しました。
「アイ……!」アヤが言いました。
「くうっ……!」アイが呻き声を上げました。
「くっ……!」アヤがマジカルテックマグナムを撃ちました。
「うあっ……!」ダークアヤがアヤの放った魔法弾を受けて怯みました。
「どうやら能力をコピーした時から新たに力を得たみたいね。」ミストレスが言いました。「でもムダよ。ダークアヤもコピーした心の闇で成長する。次に会った時にはより強大な闇の力を身につけているわ。その時を楽しみにしていなさい。」
ミストレスとダークアヤが姿を消しました。
その後、アイとアヤとセカイは庁舎の一室で話をすることにしました。
「リンゴの様子はどう?」アイがセカイに言いました。
「残念だが……。」セカイが言いました。
「そう……。」アイが言いました。
「あなたの方こそ大丈夫なの?」アヤがアイに言いました。「ダメージを受けたみたいだけど……。」
「アレくらいのダメージは平気よ。」アイが言いました。
「アヤのコピーが現れたらしいな。」セカイが言いました。「一体どんなヤツなんだ?」
「なんかよく分かんないけど、世界を滅ぼそうとしているわ。」アイが言いました。
「うん……。」アヤが言いました。
「それがあなたの心の闇なワケ……?」アイが言いました。
「うん……。」アヤが言いました。
「そりゃあそうだろう。彼女は元ニートだ。ニートはこの世の全てを敵だと思っている。」セカイが言いました。
「だってしょうがないじゃん、居場所が無いんだし……!」アヤが言いました。
「でもだからって、世界を滅ぼそうとしなくても良いでしょ!?」アイが言いました。
「私には他に考えることが無かったんだよ、世界を滅ぼすか、自分が死ぬか。」アヤが言いました。「それでアイツは世界を滅ぼす方を選んだ。」
「まあ、実際君だって自殺してないワケだしな。」セカイが言いました。
「自分で自分の首絞めたことあるけど、アレ結構キツいんだよ?」アヤが言いました。
「自分で自分の首絞めるって、どうやってやったワケ?」アイが言いました。
「紐を首に巻き付けて、その両端を引っ張ってみたワケ。」アヤがジェスチャーを交えながら言いました。
「それで、途中で苦しくなって止めちゃったワケね。」アイが言いました。
「もうちょっと忍耐力があれば最後までやり遂げられただろうに!」セカイが笑いながら言いました。
「だから今の方針としては苦しまずに死ぬことを考えてるの。」アヤが言いました。
「その方法が見つかったら私にも教えて。」アイが言いました。
「むしろ政府の組織なんだから安楽死を合法化してよ!」アヤが言いました。「それで行政サービスの一環として誰でも安楽死させて貰えるようにするの!」
「そりゃスゴい!もしそうなったら我が国はスウェーデンを超える高福祉国家として世界中から高く評価されることになるぞ!」セカイが言いました。
「みんなこの国に住みたがるようになるでしょうね。」アイが言いました。「ニート中、他にやること無かったワケ?」
「他にって……?」アヤが言いました。「例えばどんなこと……?」
「ネトゲとか?」アイが言いました。「なんかニートがやってそうじゃん。」
「ネトゲとか……。」アヤが言いました。「別につまんないじゃん。」
「『コズミックブレイク』をプレイしたことが無いからそんなことが言えるんだな!」セカイが言いました。
「何その微妙にマニアックなチョイスは……。」アイが言いました。
「あのゲームは下方修正が無ければもうちょっとメジャーになれたんだろうけどな……。」セカイが言いました。「バランス崩壊ゲーを期待していたメイン客層の期待を露骨に裏切るようになったのが崩壊の始まりさ。」
「どのゲームにしたって、金なり時間なりをかけて環境トップを維持し続けるのはダルいんだよね。」アヤが言いました。
「頑張るのがイヤなタイプだったんだワケだ。」セカイが言いました。
「まあ、運営のさじ加減一つで世界が変わってしまうようなとこで頑張ったところで無駄な努力な感はあるけど……。」アイが言いました。「ゲームは基本エンジョイ勢が勝ち組よ。」
「アイはポケモンで個体値廃人になろうとして結局なれなかったんだ。」セカイがアヤに言いました。
「頑張ったのよ!でも6Vなんて無理よ!」アイが言いました。
「実際のところ君はそんなに頑張ってない。」セカイが言いました。「すぐに投げ出したじゃないか。」
「だってどう考えても無理ゲーだったから……。」アイが言いました。「ポケモンは世界で最もクリアが難しいゲームの一つだわ。だからみんなV6じゃなくても十分強いとか言い訳して100%クリアを諦めるのよ。」
「まあ、アイの選択は正しかったとは思うが……。」セカイが言いました。
「私はたまにロクゼロをプレイしてたくらいかな……。」アヤが呟きました。
「ロクゼロ……?」アイが言いました。「コレクション?」
「うん。」アヤが言いました。
「2010年のゲームじゃ無かった?」アイが言いました。
「2010年台になってからあまりゲーム買ってないし……。」アヤが言いました。
「私は……。」アイが言いました。「私も言う程は買ってないわよ。」
「少なくともポケモンは買ってないな。」セカイが言いました。
「とりあえず気が向いてなんかしたくなったらロクゼロやってた。」アヤが言いました。
「へえ……。」アイが言いました。
「それじゃあ全ステージノーダメクリアとか出来ちゃうワケ?」セカイが言いました。
「そんなプレイしてない。」アヤが言いました。「とりあえずZセイバーで敵を切るのが楽しかったんだよ。」
「本来のゲームの楽しみ方ね。」アイが言いました。
「君にもただポケモンバトルをしてるだけで楽しめる時代があったのかと思うと胸が痛いよ。」セカイがアイに言いました。
「今じゃもうムリだわ。」アイが言いました。「全ステータスが最高のポケモンじゃないと愛せない。逆に理論上最強のポケモンが手元にあればまた楽しめるかも……!」
「エンジョイ勢が勝ち組なんだろ?」セカイが言いました。
「ええ、そうよ。」アイが言いました。
「とにかく、今はアヤのコピーの対策を考えないとな。」セカイが言いました。
「対策も何も、普通に倒すだけよ。」アイが言いました。
「君に倒せるのか、アヤのコピーを?」セカイが言いました。
「私とアヤ、そこまで実力に差は無いと思うけど……。」アイが言いました。
「でも、彼女はアヤのコピーだぞ?」セカイが言いました。
「姿がアヤに似てるから、私が攻撃出来ないと思っているの?」アイが言いました。「大丈夫よ。姿は似ていても、所詮アイツはニセモノだわ!」
「いや、そういうことが言いたいんじゃ無いんだな。」セカイが言いました。
「どういうことが言いたいの?」アイが言いました。
「ヤツはアヤの心の闇をコピーしている。ニートの心の闇だ。ヤツは言ったんだろう、世界を壊すって?それ程までの心の闇を持つ相手にはそう簡単には勝てないってコトさ。」セカイが言いました。
「ミストレスはあのコピーが心の闇で成長するって言ってたけど、つまりそれが相当ヤバいってコト……?」アヤが言いました。
「多分な。」セカイが言いました。「まあ、実際に会ってみれば分かるさ。」
「まあ、いざとなれば私もいるワケだし……。」アヤが言いました。「ホントは今日休みだったのに、緊急事態だからわざわざ出てきたんだよ?」
「でも今夜は君達二人に別行動をして貰おうかと思ってる。」セカイが言いました。「分散してアヤのコピーを探すんだ。」
「そんなことしなくても二人でいれば向こうからこっちに姿を見せてくれると思うけど……。」アヤが言いました。
「まあ、別に良いわ。」アイが言いました。「一対一でも勝ってみせるわよ。」
その日の夜、アイはとある通りを歩いていました。そこへダークアヤが姿を現しました。
「現れたわね。」アイが言いました。
「あなたを殺す。」ダークアヤが言いました。
「私にこだわりがあるワケ?」アイが言いました。「アヤは私を殺したいとも思ってるの?」
「あなたが私にとっての最後の未練。」ダークアヤが言いました。「あなたさえ殺せばこの世界にもう未練は無い。」
「そういうこと……。」アイが言いました。「良いわ、受けて立つわ!変身!」
「私について来られるかな?」そう言ってダークアヤがダークバスターを構えました。
「それそれ!」ダークアヤがダークバスターを連続で撃ちました。
アイはダークアヤの放つ暗黒弾を左右に動いてかわしました。
「そこ!」ダークアヤがそう言ってさらにもう一発ダークバスターを撃ちました。
「うあっ……!」アイはその攻撃はかわし切れずに転倒して地面の上を転がりました。
「あなたに私は倒せない!」ダークアヤが地面に倒れ込んだアイを見て笑いながら言いました。
「くうっ……!」アイは立ち上がるとマジカルテックモバイルを手にし、バレル召喚アプリでマジカルテックバレルを召喚しました。そしてアイはマジカルテックバレルをマジカルチェンジャーに接続しました。
「撃ち方……始め!」そう言ってダークアヤがダークバスターから暗黒線を放ちました。
アイはダークアヤの周囲を移動して暗黒線をかわしました。ダークアヤはアイを追って暗黒線を放ち続けました。
「ハアッ!」アイがマジカルチェンジャーに接続したマジカルテックバレルから魔法弾を放ちました。
「うあっ……!」アイの放った魔法弾を受けてダークアヤが怯み、暗黒線を放つのを止めました。
「くっ……!」ダークアヤが体勢を立て直してダークバスターを構え直しました。
「動くな!」そう言ってダークアヤはダークバスターを乱射しました。
アイはダークアヤの攻撃をかわし続けると、再び魔法弾を放って反撃しました。
「ひゃっ……!」ダークアヤがアイの攻撃を受けて少しだけ怯みました。「許さない……!」
ダークアヤがダークバスターを変形させました。すると変形したダークバスターの先端に闇の刃が生成されて剣のような形になりました。
ダークアヤがアイに近づいてダークバスターを振り回しました。アイは闇の刃をかわし続けました。
「フッ!」アイが後ろに跳んでダークアヤと距離を取り、マジカルテックバレルを構えました。
「目障りだわ!」ダークアヤが横に回転しながらアイに向かってジャンプしました。
「ハアッ!」ダークアヤが落下しながらアイを切りつけました。
「うあっ……!」アイが転倒しました。
「くうっ……!」アイが素早く立ち上がってマジカルテックバレルを構え直しました。
「ハアーッ!」ダークアヤがジャンプして空中に浮かんだまま全身に闇の力を纏いました。
「チャージ!」ダークアヤが闇の力を纏ったままマジカルバスターを構えてアイに向かっていきました。
アイは横に跳んでダークアヤをかわしました。
ダークアヤは向きを変えて再びアイに向かっていきました。
アイはフェイタルアーツを発動しました。するとマジカルチェンジャーに接続されたマジカルテックバレルに魔力が込められました。
「マジカルテックビーム!」アイがマジカルバレルから魔法線を放ちました。
アイの放った魔法線が闇の力を纏ったダークアヤに直撃し、爆発が起こりました。
「ぐああっ……!」ダークアヤが地面に落下しました。
「よし……!」アイが言いました。
「くううっ……!」ダークアヤがよろめきながら立ち上がりました。
「まだ立ち上がるだけの力が……?」アイが言いました。
「さすがだな……!ぐうっ……!」ダークアヤが苦しそうに言いました。「もう遊んでるだけの余裕は無いか……。」
「本気を出すって言うなら出してみなさい……!」アイが言いました。「私も全力で叩き潰すわ!」
「うあああああああっ!」ダークアヤはダークバスターを投げ捨てると、右手に闇の力を蓄えました。
「来るわね……!」アイが拳を構えました。
そこへアヤがやって来ました。
「アイ……!」アヤが叫びました。「変身!」
ダークアヤがアイに向かって走り出しました。
アイが向かって来たダークアヤにパンチを繰り出そうとしました。
「ダークアッパー!」ダークアヤが闇の力の込められた右手でアイにアッパーカットを放ちました。
「うあああああああっ……!」アイがダークアヤの攻撃を受けてふっ飛ばされました。
「アイ……!」アヤが叫びました。
「ハハハハハハハハッ!」地面に倒れ込んだアイを見てダークアヤが笑い声を上げました。
「ううっ……!」アイがよろめきながら立ち上がりました。
「バカな……!」ダークアヤが言いました。「今の攻撃を受けて立ち上がれるハズが……!」
「私は……最強よ……!」アイが言いました。「こんなところで負けるワケ無いわ……!」
「くっ……!」ダークアヤが拳を握り締めました。
アヤがすかさずマジカルテックモバイルを手にしました。
「ハアーッ!」ダークアヤがアイに向かって走り出しました。
「アイ……!」アヤが召喚したマジカルテックグリップをアイに向かって投げました。
アイはアヤの投げたマジカルテックグリップをキャッチして構えました。それと同時にマジカルテックグリップの先端に魔法の刃が生成されました。
「マジカルテックスラッシュ!」アイが魔法の刃でダークアヤを切りつけました。
「うあああああああっ……!」ダークアヤは叫び声を上げた後に倒れ、爆発しました。
「さすがだね、英雄。」アヤが言いました。
「ふざけないでよ、死ぬかと思ったんだから……。」アイが言いました。
「生きてるんだから良かったじゃん。」アヤが言いました。
「まあね。」アイが言いました。