イトシキイロドリ Part3 ~ソードバトル~
登場人物
アイ:かつて魔法少女として闇の皇帝-ダーク・ロードから世界を救った英雄。現在は隠された特別な機関“魔法庁”の長官となっている。
セカイ:アイのパートナーである妖精であり本名は“オズワルド”。本来はウサギのような容姿を持っているが、魔法で人間の姿をして魔法庁のエージェントとして働いている。
アヤ:魔法庁のアルバイト。かつて若年無業者として自堕落な生活を送っており、その生活を改めようと動き始めたところをセカイによって見い出された。
闇の悪魔-ダーク・デビル:闇の皇帝-ダーク・ロードの遺した闇の力から生まれた怪人。世界を滅ぼすべく暗躍する。
その日、庁舎の一室でアイとアヤが話をしていました。
「好きな食べ物って何?」アイが言いました。
「えっと……。」アヤが考えながら言いました。「とりあえず焼肉?ニンニクとか結構好きかも……。」
「お肉もニンニクも良いわよね!」アイが言いました。「私も好きだわ。」
「なんかニンニクって最初の刺激が良いんだけど、段々物足りなくなってきて入れまくっちゃうんだよね。」アヤが言いました。
「分かる!」アイが言いました。「でもニンニクって匂いが気になるから、あんまり食べられないのよ……。」
「それね!」アヤが言いました。「ブレスケアとかあるけど、それ使っても匂うんじゃないかって……。アレ実際どうなワケ?」
「知らない!」アイが言いました。「多分ニンニクの匂いしまくっててもみんな匂わないフリするだろうから、分かんないわ!」
「やっぱね!」アヤが言いました。
そこへセカイがやって来ました。
「二人で匂いの話なんて女子力の高い空間だこと……。」セカイが言いました。
「セカイ……!」アイが言いました。
「まあとにかく、二人が仲良くしてくれてて嬉しいよ。」セカイが言いました。
「私達ってやっぱ意外と共通点が多いみたいよ!」アイが言いました。
「てことは、アヤも『WILD DRIVE』が好きなワケ?」セカイが言いました。「魔法少女の勉強をする為に深夜アニメを見てたとか?」
「は……?」アヤが言いました。
「ちょっとセカイ……?」アイが困惑した様子で言いました。「何言ってるのかしら……?」
「あなた『WILD DRIVE』が好きなワケ……?」アヤが言いました。「クソ曲じゃん!」
「いや、そのクソなところが良いと言うか……。」アイが困ったように言いました。「ネタ的な意味で好きなのよ……!」
「それに魔法少女アニメを見て勉強をしてたってどういうコト……!?」アヤが言いました。
「いや……ホラ……あの頃はまだ若かったし……。」アイが言いました。
「リリカルなのはを見てマネしてたんだよな。」セカイが言いました。
「リリカルなのは……?」アヤが言いました。
「変身する時にセットアップとか叫んでたっけ……?」セカイが言いました。
「何言ってるのよ……!」アイが言いました。
「アイってカワイイ系じゃん!」アヤが言いました。
「いや、だって私は……!元々カワイイ系だし……!太ももはセクシーだけど……!」アイが混乱した様子で言いました。
「フフフ……!」アヤが笑いました。
「いや、でも……リリカルなのははメジャーな作品よ!メジャー度で言えばポケモンにだって負けないわ!」アイが言いました。
「『ETERNAL BLAZE』ね?」アヤが言いました。
「ええ、そうよ。」アイが言いました。「エッターナブレーズ!」
「歌わなくて良いから……!」アヤが笑いながら言いました。
「おかしいな……今のフレーズ、アニメ版でも聞けたっけ……?」セカイが言いました。
「えっ……?」アイが言いました。
「ひょっとしてCD買った?」セカイが言いました。
「えっと……。」アイが言いました。「もう言い訳する気も起きないわ。」
「フフフ……!」アヤは笑っていました。
「だってしょうがないじゃないの……!あのサビの部分でヴィータのなのはが音楽に合わせて手を振ってるのがカッコ良かったんだから……!」アイが言いました。
「ああ、あのヴィータが横に手を振る場面……?」セカイが言いました。「リバースカードオープン!」
「あなたこそ、サラッと私の話に乗ってきて、アニオタだったワケ……!?」アイがセカイに言いました。
「そりゃ君のパートナーなんだから君の好きなアニメのネタくらいチェックしとくさ!」セカイが言いました。「でもまあ、『ETERNAL BLAZE』のフルは前から知ってたけど、リリカルなのはを実際に見たのは今年が初めてかな。」
「えっ……?」アイが言いました。
「Gyao!で配信されてたんだ。せっかくだから見てみた。」セカイが言いました。
「ああそう……。」アイが言いました。
「それ私も見た。」アヤが言いました。「なんか配信されてたから……。」
「見てたワケ……!?」アイが言いました。
「アレだよな、なんかアルカンシェルが発生して闇の書の闇をふっ飛ばすんだよな!」セカイが言いました。
「そうソレ、アルカンシェル!」アヤが言いました。「やっぱ当時はアレなワケ?キャノンでラスボスをふっ飛ばすことを“アルカンシェる”とか言ってたワケ?」
「いや、マミるみたいに言われても……。」アイが言いました。
「それ……何だっけ……?」アヤが言いました。「最初のヤツ……無印的な……?」
「まどマギだな。」セカイが言いました。
「なのはじゃないワケ?」アヤが言いました。
「別の魔法少女アニメだ。」セカイが言いました。
「言葉自体は聞いたことあるんだけど、何のネタかは分かってなくて……。」アヤが言いました。
「あなたホントにニートだったワケ……?」アイが言いました。
「ニートでもアニオタじゃ無いから……。」アヤが言いました。
「じゃあ普段何して過ごしてたのよ?」アイが言いました。
「ベッドで横になりながらどうやったら楽に死ねるのか考えてた。」アヤが言いました。
「ニートの人生ってもうちょっと華やかなものだと思ってたわ。」アイが言いました。
「夢見過ぎ。」アヤが言いました。「まあでも、こうやって楽しく仕事して暮らせるようになったんだから、私も若干勝ち組よね!」
「ええ、私もあなたに出会えてちょっと勝ち組になった気がするわ。」アイが言いました。
「あなたも楽な死に方について考えてたワケ?」アヤが言いました。
「まあ、ちょっとね……。」アイが言いました。
「良かった。」アヤが言いました。「あなたとはもうこれ以上共通点が見つからないと思ってた。」
「平気よ!」アイが言いました。「私達、これ以上共通点が見つからなくてもきっと上手くやっていけるわ!」
「私もそう思う!」アヤが言いました。
「さて、チームの絆が深まったところでもうこんな時間だ。」セカイが時計を指さしながら言いました。「そろそろ闇の力の動きが活発になる時間だぞ。デスクワークは切り上げて現場に移ろう!」
「そうね!」アヤが言いました。「行こう、アイ!」
「ええ!」アイが言いました「あっ……!」
「どうかしたの?」アヤが言いました。
「私、ちょっとやらなきゃいけないことがあって……。」アイが言いました。「先に行ってて貰える?」
「良いけど……駐車場で待ってれば良い……?」アヤが言いました。
「ええ、お願い!」アイが言いました。
「やっぱり腐っても長官は忙しいみたいだね。」そう言ってアヤが出て行きました。
「で、君のやるべきことって何?」セカイが言いました。「君は長官でもヒマだろう?」
アイがマジカルテックモバイルを取り出しました。
「これの音楽どうやって変えるの!?」アイが言いました。「『WILD DRIVE』のままじゃイヤよ!」
「ああ……。」セカイが言いました。「じゃあ、『ETERNAL BLAZE』にでもする?エッターナブレーズ!」
「殺すわよ?」アイが言いました。
アイとセカイは庁舎の駐車場でアヤと会いました。
「待たせたね、アヤ。」セカイが言いました。「アイが俺の想像以上に多忙だったもんで……。」
「別に構わないよ。」アヤが言いました。「大事な用事?」
「ええ……。」アイが言いました。
「プライベートなことさ!」セカイが言いました。
「ちょ、バラすつもり……!?」アイが怒ったように言いました。
「いくらアヤが君のことをまだよく知らなかったとしても、君に仕事の用事が無いことくらいバレバレだろう?」セカイが言いました。「君も公務員なら上手なウソをつかなきゃ……。」
「ええそうね。」アイが言いました。
「プライベートな用事って何……?」アヤが言いました。
「聞かないでよ……!」アイが言いました。「聞かれても答えないわ!」
「ふーん……。」アヤが不満げに言いました。
「それはそうと、駐車場まで来て誰が運転するワケ?」セカイが言いました。「俺の情報が正しければ、二人共車の免許は持ってないハズだけど……?」
「だったらあなたが運転するしか無くない?」アイがセカイに言いました。
「俺が運転出来るように見えるか?妖精だぞ?」セカイが言いました。
「は……!?」アイが言いました。「あなた車の運転出来なかったワケ……!?ここの主力として働いてきたのに……!?」
「車なんて無くても仕事は出来るさ。」セカイが言いました。「なんてったって俺は妖精だからね。」
「じゃあまた歩き?」アイが言いました。「歩いてパトロールするの?」
「別に、私はそれでも良いけど……。」アヤが言いました。
「私も別にそれで良いけど……だったら駐車場に来たのが謎よね……。」アイが言いました。
「てっきり車で移動するもんだと思ってたから……。」アヤが言いました。
「この間だって歩きだったでしょ?」アイが言いました。
「そりゃあ、そうだったけど……。」アヤが言いました。「あなたが車の免許持ってないって話聞いてなかったし……。」
「まあ何でも良いわ。」アイが言いました。「とにかく歩きましょう!」
「でも実は私あなたがバイク乗ってるの見たことあるけど?」アヤが言いました。「アレ無免許?」
「無免許よ……。」アイが言いました。「変身している間法律は無効なの。」
「じゃあ変身してからなら車の運転もアリなんじゃ……?」アヤが言いました。
「前にやったけど事故ったからもうやらない。」アイが言いました。
「ああそう……。」アヤが言いました。
「やってみれば分かるけど、バイクと違ってハンドルの操作がムズいのよ。」アイが言いました。
「そもそも魔法のバイクは魔力で動くしな。」セカイが言いました。
「じゃあ魔力で動く魔法の車も準備してよ。」アイが言いました。
「気が向いたらやってみる。」セカイが言いました。「多分気が向くことは一生無いと思うけど。」
「まあとにかく行くわよ。」アイが言いました。
とある通りにビーストが現れ、通行人を襲いました。
そこへアイ達が駆けつけました。
「見つけたわ!」アイが言いました。
「この間と同じ敵……。」アヤが言いました。
「見た目は同じでも攻撃力が違う可能性がある!」セカイが言いました。「気をつけるんだ!」
「フン……!」ビーストが剣を召喚し、それを手にしました。
「確かに攻撃力は違うわね。」アイが言いました。
「それで、どうする?」アヤが言いました。「このまま二人でボコす?それとも今回はあなたが実力を見せる番?」
「じゃあ私が実力を見せるわ。」そう言ってアイがマジカルテックモバイルの変身アプリを起動しました。マジカルテックモバイルからメロディの無い電子音が鳴りました。
「変身!」アイが変身しました。変身完了と同時にマジカルテックモバイルから効果音が鳴りました。
「フン!」ビーストがアイに向かって走り出しました。
アイはビーストの振り回す剣の刃をかわし続けました。そしてアイはビーストの攻撃のスキを突いてビーストを蹴って怯ませました。
アイはマジカルテックモバイルを手に取ると、グリップ召喚アプリを起動し、魔法の棒“マジカルテックグリップ”を召喚し、それを手に握りました。
アイがマジカルテックグリップの引き金を引くと同時にマジカルテックグリップの先端に輝く魔法の刃が生成され、剣のような形になりました。
「やるじゃん!」アヤが言いました。
「君の武器と似てるね。」セカイがアヤに言いました。「研究所が作ってた試作品のラインナップにはあんなのも含まれてたようだ。」
アイとビーストがお互いの武器の刃を何度もぶつけ合いました。
「ハアッ!」アイが魔法の刃でビーストの剣を弾き飛ばしました。
「ウアッ……!」武器を失ったビーストが動揺した様子を見せました。
アイはビーストを魔法の刃で何度も切りつけました。そしてよろめいたビーストにアイは続けてキックを当てました。
アイがマジカルテックグリップの引き金を引き続けました。するとマジカルテックグリップの先端に生成された魔法の刃がその輝きを増しました。
「マジカルテックスラッシュ!」アイがビーストを切りつけました。
「ウアアアアアッ……!」切りつけられたビーストはそのまま爆発しました。
「お見事。」アヤが言いました。
「まあ、楽勝ね!」アイが言いました。
「さて、今回も見事敵を撃破出来たワケだが、まだまだ事業は始まったばかりだ。」セカイが言いました。「予算をしっかり確保する為にもチーム一丸となって事態に当たっていくとしよう。」
「ええ!」アイとアヤが言いました。