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仄々日記  作者: 南 晶
3/21

「たーしーかーに!」

 現在小学3年生の娘の口癖が興味深い。


 宿題が残っているのにゴロゴロしながらテレビを見ている娘に、イライラして思わず小言を言ってしまう私。

「ちょっとお、ゴロゴロしてる間にやること先にやった方がいいんじゃないの!?」


すると、娘、


「たーしーかーに!」


 と、返事をして一呼吸置いた後、


「だが断る!」


 結局、拒否かい!!

 と、肩透かしを食らわすような返答が、何やら学校で流行っているようなのだ。


 最初は「なんじゃ、その返事は!? 舐めてんのか」と思ったのだが、よく考えたら、これはなかなかに奥が深い返答である。

 まず、最初に「確かに!」と相手の意見を全面的に肯定している。

 そこでワンクッション置いた後、改めて「だが断る!」と自分の意見を主張する。

 相手を認めた上で、自分の主張をするというのは、大人でも難しいものだ。

 実際、「えー、だってえ、でもお」と第一声で反論が来るより、心情的にもまだ許容範囲内である。

 

 昔、友人で、「って、ゆうかぁ」から話し始める人がいた。

 この人、悪気はないんだけど、それがもはや口癖になっているのだ。

 私が何を話しても「って、ゆうかぁ」という返事が来るものだから、いきなり反論された気がして、ちょっとイラッとしてしまう。

 自分の意見を全否定された気がしてしまうのだ。

 同じ口癖なら、否定的な「って、ゆうかぁ」よりは、「たーしーかーに!」の方が大分マシな気がする。

 

 どうして学校でそんな返答が流行ったのか分からないけど、会話の中で「たーしーかーに!」って言うだけで、お互いの印象がすごく変わる。

 人は自分の意見を認めてもらうのが嬉しい生き物なのだな、結局。

 そのせいなのか分からないけど、この言葉が流行った娘のクラスは、いじめとか交友関係のトラブルもなく、無事に一年終わろうとしている。


 言葉って難しい。

 でも、相手を肯定してあげる優しさが、交友関係を円滑に維持する鍵だったりするのかもしれない。

 


後日、感想を下さった人からこの「だが断る」がJOJOのネタだと教えて頂きまして、スッキリしました。


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