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▼まな板じゃない人なんていない▼

「ん…」

「おっ、気がついた?」

目の前には瑠美の顔があった。

「あれ、瑠美…?どうして……」

今はどういう状況?うーん…思い出せない。

「覚えてない?光矢溺れてたらしいよ」

「えっ?」

溺れてた?泳ぎには自信があったんだけどなぁ。

「あっ、思い出した!でかい物が上にあって上がれなかったんだ!」

「休憩用ボートだよ」

あぁー休憩用ボートね。休憩用ボートなら仕方な…くないよね?何!?休憩用ボートって!休憩するならプールサイドに上がれよ!

すごく言いたかったけど言っても無駄なような気がしたから言うのをやめた。

「それよりありがと。助けてくれて」

「もし助けたのが私なら感謝の印に今すぐ子供づくりを始めたいところだけど残念ながら私じゃないよ」

「残念どころか嬉しすぎて困る」

危うくお父さんになるところだったじゃん!

助けてくれた人ありがとう!!

「もう光矢ったら照れちゃってぇー!こうしてやる!」

そう言うと頭を掴まれ突然仰向けだった顔をうつ伏せにさせられる。

「ちょっと、なっ」

うつ伏せにさせられた顔の目の前…顔に触れていたのは瑠美の太ももだった。

本当のことを言うと太ももというかその、ね?布一枚で隔てられた穴というか、そういうのだった。

「ちょっと、瑠美!やめろ!これはいけない体勢だから!周りの人に誤解されるから!」

「声がこもって何言ってるかわかんなーい」

そう言うと頭を掴んでいた手にさらに力を入れる。

仕方ない、言いたくはなかったけど言うか。

本当に言いたくはなかったんだけど、瑠美を傷つけるかもしれないから言いたくなかったけどこうなったら仕方ない。うん、瑠美が悪いんだ。

そう自分の中で決心すると

「あー、今までずっと瑠美の太ももを枕にしてたんだ」

「そうだよぉ〜。光矢太もも大好きだからそれを考えてあげたんだよぉ〜。私ったら優しいでしょ〜」

「感触が硬過ぎてずっとまな板だと思ってた」

「ちょ、それはひどい!!」

頭に加わっていた力が弱まった瞬間に瑠美から体を離す。

「悲しいならもっと柔らかくしてから出直してこい!」

いやまぁめっちゃ柔らかかったけどね?

「仕方ない。それなら今度からこんな状況になったら私のまな板じゃないおっぱいを枕にする」

とんだ地雷を踏んでしまったみたいだ。

「その発言は今回は触れないこととして、助けたのって誰?結局のところ」

「あ〜それなら煉華だよ」

「煉華が?」

「うん。今はあそこにいるよ」

そう言って俺の後ろの方を指差すので差された方向を見る。

でもそこにはなぜか正座の体勢で恋羽に何かを言われている煉華の姿が。

「なんで煉華、正座してるの?」

「いやぁー、それはまぁいろいろね」

「なにそれ気になる」

「そんなことより煉華にお礼言っときなよ」

「それもそっか」

立ち上がると正座をした煉華と片手を腰に当てながらもう片方の手の指を煉華の方にぶんぶん振っている恋羽のところに歩いて行く。

それにしてもなんで煉華が恋羽に怒られてるんだろう。そもそもあれは怒られてるのかな?

でもとりあえずは助けていただいた礼を言っとかないと。

「あっ、富士宮君。気がついたんだ」

「うん。それより恋羽、なんで煉華に怒ってるの?」

「あ〜いや、怒ってなんかないよぉー」

何最後の棒読み!絶対嘘じゃん!

「なーんて、嘘だよ、怒ってないよ」

さすが恋羽、しっかり心を読んできた。

「そっか、なら何してたの?」

「んー…教育、かな」

「なんの教育かは聞かないでおくね」

「そうしてくれると助かるよ」

そこで煉華の方を向き

「それより煉華、助けてくれてありがと」

「………」

どうしたんだろう?無視…ってことはないよね?聞こえてなかったかな?

「煉華?」

言いながら顔を覗いてみると…


「えっ、顔赤っ!どうしたの煉華?」

煉華は何も答えない。

本当にどうしたんだろう。普段なら

『ふ、友として当然のことをしたまで。礼などいらぬ!』

とか言いそうなのに。

「ねぇ恋羽、煉華どうしたの?」

「………」

「そうだね、少しの間ゆっくりさせてあげようよそうだよそれがいいよ」

「う、うん」

そう言うと恋羽はいつもらしからぬ様に背中を押して俺を瑠美のところまで連れていった。

また今度煉華にお礼言っとこ。

「………」




茜色に染まったプール全体に穏やかな音楽が広がっている。

横にいる癒しの女の子に向かって

「そろそろ帰ろうか」

遊び疲れたしもうそろそろいいでしょ。

そう言うと恋羽はこちらを向いてにっこり笑顔で

「そうだね。みんなも疲れてるだろうし。まぁ若干二名を除いてだけど」

ここの二名はプールに来てから直ぐに二人の世界に入り込んだ文姉と百合さんのことではなくて瑠美と由乃のこと。

その二人は今は人が少なくなって遊び放題のウォータースライダーを滑りまくっている。

「ほんと、元気すぎるでしょ。てか由乃ってプール来た時からずっと滑ってない?」

「たしかそうだね。更衣室でも一番早く着替えて、私滑ってくるーって言ってたもん」

「よく飽きないね。俺なら絶対飽きてる。三回くらい滑ったけどそれでもうよくなったもん」

しかもそんな滑ってたらお尻痛くなりそう、というか水着破れそう。

そんなことを思っていたら恋羽が

「一人でだったら飽きるのかもね。一回二人で滑ってみる?」

と思いがけないことを言うので

「えっ?」

と反応に戸惑っていると

「迷うならやってみよー、おー」

手を掴まれそのままウォータースライダーの方へ引っ張られていった。




「いやーなかなか楽しかったね」

「う、うん」

なかなかに危険なウォータースライダーだった…

せっかくだし一番高いの行こうよ、って恋羽が言ったからそれに行った訳だけどそれはいいんだよ。そこからだよ。

何故か滑る時恋羽が後ろから抱きついてきて俺が前のまま滑るし、恋羽がキャーって小さい声で棒読みで言いながら頭が胸に埋もれるくらいまで抱きしめる力が強くなるし。

俺も男だよ?さすがにちょっと下の方が元気になりかけて本当に危なかった。

恋羽ってこういうところ天然だから困る!

「じゃあ今度こそ帰ろうか。私文香さん達呼びに行ってくるよ」

「わかった。ありがと。さて…」

瑠美と由乃は…後でいいかな。まだ滑ってるし。

煉華を探しに行こ。お礼も言いたいし。

そう思いプールを見渡すと日が落ちる方向に手を伸ばしている煉華の姿が。

「なんかちょっとかっこいいかも」

そんなことを小さな声で言って煉華の方へと向かっていった。

投稿ペースが遅くなるので短くてもある程度話の区切りが良かったら切ることにしました。

短いのは許してください

ではまた次の話で!

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