▼一女去ってまた一難女▼
「…どうしたんだ?」
返す言葉がこれ以外見つからなかった。
用件はわかっている、と思う。昨日の夜のこと。多分親に言わないで、くらいのことだろな。まぁもともと言うつもりなんてないけど…
「その……トイレの…」
「うん」
「…オ、オ……」
顔が真っ赤になっている。
やっぱり人に見られるなんて恥ずかしいよな。しかもよりによって兄だし。
でも意を決したようで…
「……昨日トイレでオナニーしてたの…見たよね?」
案外妹の口からそんな言葉が出ると心がざわっとする。
「……うん」
即座に返事することを少し戸惑い返事が遅れる。
依然として顔は真っ赤なままだ。
「その…どう……思った?」
「どう…って?」
何が言いたいのかな?親に言わないでってことじゃないのかな?
「だから…私がオナニーしてて、どう思った?」
「由乃ももう15歳だし、別に普通じゃないのか?」
「そ、そうじゃなくて…持ってたもの見てなんとも思わなかったの?」
「えっ?持ってたもの?」
あの時なんか持ってたっけ?そんなにはっきりと見てないからなぁ…
「え、もしかして見てなかった?」
「うん。そんなにしっかり見たわけじゃないから。何持ってたの?」
聞いてはいけなかったかな?
「そ、それは言えない!それじゃ、話はそれだけだから!」
えっ!?どれだけ…?
そう思ったけど声に出す前に全速力でリビングから出ていったから聞けなかった。
「……ただ俺が見たかどうか聞かれただけ?」
何だったんだろ…。てか何持ってたのかな?
まぁいいや。……あっ!言い忘れたことが!
階段を上がり由乃の部屋へ。
これは言っとかないと。
「なぁ由乃」
ドアを開けて由乃に声をかける。
「どうしたの?」
「せめて鍵くらいかけとけよ」
それを言うとすぐに由乃の部屋のドアを閉める。
理由は簡単。電気ついてるのに確認せずに入ってこないでよ!って言われるのが嫌だったから。
自分の部屋に戻りベッドの上に倒れ込む。
そして今日学校であったことを思い出す。
思い出したくもないことを…
「はぁ……レポート再提出って…まぁそりゃそーだよね。結局全然できてなかったし…」
再提出のレポートを書き始めようとベッドから身を起こした時にドアが激しく開かれ
「光矢ぁ!あたしとセックぶはっ!!」
ハイテンションで入ってきた瑠美に枕を投げてcritical hitさせる。
「痛いって!」
「嘘つけ!枕だし痛いわけない!」
「枕のファスナーの部分が当たったらどれほど痛いか一回経験させてあげるよ!」
「遠慮しとくよ!」
「遠慮なんてないから!ほら!そこから動くなよ?」
投げてくるのかと思いきや思い切りこっちに向かって走ってくる。
「おらぁぁぁ!」
べチンッ!
「いったああああああ!」
ファスナー部分がモロに顔面に当たる。
だめだこれ…死ぬ。
ベッドの上で強打された部分に手を当ててうずくまる。
「痛いでしょ?これがファスナーの力よ!」
「違うな!今のはお前の力だ!ファスナーの力じゃない!」
「いやいや、ファスナーの力だって!」
「なら実践してみるか?」
「いいじゃん!やってやろうじゃないの!」
こいつが馬鹿で良かった。思いっきりやらせてもらう!
「じゃあそこに立て」
「ここでいいの?」
「ああ。動くなよ?」
俺がいた位置に立たせると俺は枕を持ってドアの方へ。
そして…
「準備完了、行くぞ?」
「いつでも来なさいな!」
いい覚悟だ!
枕を握る手に力が入る。
そして思いっきり走って振りかぶりそのまま振り落とす。
「おらぁぁ!」
べチンッ!
「いったあああああああい!!」
ベッドの上を転げ回る。
「ざまぁみろ!」
「うぅ…で、でも…」
ん?
「でもこの痛さはやっぱりファスナーの力じゃん!ファスナーがないとこんな痛くないもん!」
「そんなこと最初から知ってるし、やり返したくて言っただけなんて言えないなぁ…」
「言ってるから!もう言っちゃってるから!光矢め!こうなったらお仕置きだ!」
半泣きになりながら襲いかかってくる。
「やめろ!くっつくな!おいっ!あっ…」
いつの間にか床に落ちていた枕で足を滑らせそのままベッドに倒れる。
その勢いで頭と頭が当たり…
「文の家は落ち着くから好きです」
「りーちゃん最近よく家来るよね。そんなに落ち着く?」
「はい。なにかわからないけど落ち着きます。おじゃまします」
「先に部屋行っといて。飲み物取ってくるから」
「手伝います」
「いいよいいよ。りーちゃんはお客さんなんだから」
「ありがとうございます。文の言葉に甘えさせていただきます」
ドスン!!ゴンッ!
「えっ!?今の音は一体…」
階段を登るスピードが早くなる。
「今のは…光矢君の部屋から?ドアが開いていますし……」
恐る恐るドアに近づいて中を覗き
「光矢君。どうかし………」
「あれ?どうかしたのりーちゃん?そんなところで固まって」
弟の部屋の前で固まっている友人の方へと歩いて行く。
「あれ?光ちゃんの部屋ドア開いてるじゃん…いつもはきっちり閉めてるのに、どうしたのかな………」
ガシャン!
持っていたお盆が手から落ちる。
「こ、こ、光ちゃんが…瑠美ちゃんのおっぱい揉みながら…寝てる…!しかも瑠美ちゃんも光ちゃんのおでこにチューしてる!」
「……駄目です。人のプライバシーを覗くのは」
そう言うとドアを閉めて落ちた食器を拾う。
「そ、そうだね。光ちゃんももう17歳だし、そういうことに興味も出てくるよね」
「で、ですから文、そういうことは…」
「あ、うん。ごめんごめん」
「部屋に行きましょう」
「そうだね。ありがとう、拾ってくれて」
「いえ、これくらいは」
「りーちゃんは優しいね!私大好き!」
百合は顔が真っ赤になりそっぽを向く。
「じょ、冗談はやめてください」
「あっ、りーちゃん照れちゃって!かわいっ!」
「もう!文は意地悪です!でも…」
「ん?」
「わ、私も文のこと…好きです」
「ふふっ…ありがと!」
文香は百合の前に回り込むとそのまま百合の唇に自分の唇を一瞬重ねる。
「な、何するんですか!」
「ん?お礼だよ?好きって言ってくれた。嫌だった?」
上機嫌に自分の部屋へと入っていく文香。
それを追うように歩いて…
「い、嫌ではありません…」
百合が部屋に入るとドアはすぐに閉まった。
少し遅れました!ごめんなさい!
あと小説タイトル変更しました!
今回短いです。これより短いことはあんまりないと思います!多分です!
それと投稿ペースの方なんですが…
個人の事情なんですが二月後半ほどまで自分のことで忙しいので投稿はこれまで以上に遅いと思います。最後の方は投稿できないかもしれないです…
ですがまた三月に中旬頃からはまた投稿する予定なのでその時はまたよろしくお願いします!
いきなり投稿が遅くなったらそういうことなのでよろしくお願いします。
では!