表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さ~て。世界の欠片でも集めるか!!  作者: まひる & 結城 睦月
第1章
6/186

過去の文献 01

 私と(ひな)がジルヴァート文献所に着いたのは、二つの太陽の小さい方が、丁度真上に来た頃。

「いらっしゃい、(ゆい)ちゃん。雛乃 (ひなの)ちゃん。」

 文献所を任せている管理者のお爺ちゃんが迎えに出てくれた。

 あ、血の繋がりとかはないよ。

 って言うか、元々ここはこのお爺ちゃんが管理していたんだけどね。

「こんにちは~。また来たよ、お爺ちゃん。」

「ご、ご無沙汰…しています。」

 笑顔の私とは違い、ひきつった表情の(ひな)

 彼女は極度の人見知りで、もう何度も顔を合わせているお爺ちゃんでさえ、この様子なの。

 まぁ、挨拶を交わせるようになったから、少しは慣れてきているのかもだけど。

「調べものさせてもらうね~。」

「はいはい、ごゆっくり。」

 笑顔のまま、私は(ゆい)の背を押して文献所に入っていく。

 お爺ちゃんはこれから、周囲の草取りとかをするみたい。いつも何かしら動いていて、あまり休んでいるところを見た事がないの。

 前に聞いたら、そうして身体を動かしている方が好きなんだって。

「…緊張、した…。」

 文献所に入って本のにおいに包まれた頃、(ようや)(ひな)が長く息を吐き出した。

 私以外の人に会うと、大抵こうなるのよね。

「うん、ちゃんと挨拶出来たね。偉いね、(ひな)。」

 少し高い位置にある(ひな)の頭を、私はにっこりと微笑みながら撫でてあげる。

 この時だけ、私は(ひな)のお姉さんになるの。

「ありがとう、(ゆい)。」

「えへへっ。」

 (ひな)にお礼を言われると、私は凄く嬉しい。


「古い文献を中心に探そうか。」

「そうだね。奥の方の文献は状態が酷いから、気を付けて見ないと。あるかな~?」

 少し()って(ひな)がいつもの(ひな)に戻り、私達は二人で古い文献を探し始めた。

 新しい文献は手前の方で、奥に行くほど古いものになる。けれど古いものは虫に喰われていたり、書物の質からかボロボロになったりしているものが多くなった。

「今では高価で使われていない、洋紙ってものなんだよね?羊皮紙と違って、長く保存するには向かないなんて残念。」

 慎重に本の表紙を広げながら、私は中の文章に目を通す。

 文献は色々な言葉で書いてあるけど、幾つもの縦横の線と丸みのある別の文字を組み合わせて書いてある書物が、私は一番好き。

「洋紙の代わりにパピルスを使っている国もあるみたいだけど、あれも保存には向かないらしいから。この文献は、どちらかと言うとパピルスに近いわね。」

「うん。厚みは薄いんだけど、そのせいか強度もなくてボロボロになりやすいもん。いつか、これが全部読めなくなっちゃいそうで嫌だなぁ。何で羊皮紙を使っていなかったのか、凄く不思議。」

 奥へと進みながら、私達は書物の状態を気にしていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ