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ゲーム内3日目 リアル7/28

 そんなこんなで、ビッグベア討伐作戦に参加することになった俺は、現在始まりの広場にいた。

 時刻は9時、討伐隊が集まり始めている頃合いであった。

 「おはようございますエリカさん」

 「おはようございますミナト君」

 「そういえば、昨日夜、拾った枝でタクトいっぱい作ったんですよ!、その中で一番いい出来だったものを差し上げます!」

 「あぁ、ありがとう。余ったタクトは露店売りでもするのかな?」

 「はい!そうします!少なくとも始まりの街の店売りタクトよりはいいものが安定して作れるようになったので!」

 「頑張ってくださいね、エリカさん」

 ステータス画面を開いて今もらったばかりのタクトを装備する。驚くべきことに、その性能はルッケの村の店売りすらも凌駕していたのだが、このとき俺はそれに気づいていなかった。

 レベルが上がって増えていたスキルスロットに、俺は筆記スキルを入れた。これがないと作った魔法が形として残らないうえに、いちいち構造を詠唱しなければならない。

 ゲーム内の魔法言語を使って、構築した術式を詠唱するというのはなかなかに時間がかかるし、完全に記憶していないと発動に失敗してしまう。その点、紙に書かれた呪文というのは便利であった。今はまだ粗悪品しか使うことができないが、魔法のインクを用いれば紙に書いた呪文に対して魔力を流すだけで発動することが可能となるのである。

 もちろん、そんなに便利なだけのものではない。書かれた魔法は何度も使うと紙の方が耐え切れずにいずれ消失してしまう。現在の水準の紙とインクだと、一つの魔法を10回も使えればよい方だと思われる。

 まあ、今この場には紙もペンもインクもないので、ここで語ったところで新作魔法などつくれやしないのだが、、

 広場には続々と討伐隊が集まっていた。強そうなプレイヤーの中には、鍛冶プレイヤーに作ってもらったのだろうか、店では見たこともないものを装備している人がチラホラ見受けられた。

 などということを話しているうちに作戦会議が始まっていた。

 「えー、今回討伐するのは北東の森のボス、ビッグベアだ!こいつを倒さないことには生産職プレイヤーが安全に素材を収集することはできない!みんな!全力で熊を叩きのめそうぜ!」

 「「「おうっ!」」」

、、、テンションの高い奴らである。



 熊は今のところ、森の中央部付近で発見されることが多かったので森の中央に熊の巣があると考えられている。今回の作戦において俺とエリカは共に後衛である。

エリカの装備は木工用ナイフと同じ武器種である小剣、始まりの街の一番いい店売りをもってきている。

前衛たちが攻撃を受け止めている間に側面から攻撃を加え、数の少ない遠距離職達は前衛の後ろから各々の技を飛ばす、という作戦だ。

 現在、森の中央部手前、熊の目撃情報が増えるあたりに差し掛かっている。

「もう少しだぞ、、、」


ガサッ、、、、

「いたぞ!ビッグベアだ!!!!」

この掛け声が合図となって対ビッグベア戦の火蓋が切って落とされた!

盾持ち達のヘイトスキルによって盾に引き寄せられている熊を側面から殴り、斬り、突きまくるプレイヤーたち。

「みんな!弱点は右前脚だ!」と言って弱点を再確認するプレイヤーたち。

遠距離から技を叩き込み続けるプレイヤーたち。

討伐隊全員が一致団結して巨大熊と戦っている。

自分の役割を再確認し戦っている。


「まずいな、、、残HPの平均が下がってきてやがる、、、POTも尽き始めてるし、、、」

そう俺がつぶやいた次の瞬間、熊のひっかきをモロに喰らい、盾職が一人やられてしまった!

「ヤバいッ!」

 俺は叫んだ、これまで何とか持ちこたえていた戦線が一気に崩れ始めたからだ。

「このままでは全滅する、、、」

 そう思ったその時、

シャラリン!ここまでの戦闘によってスキルレベルが上がった、

 「スキルレベル上昇 基礎魔法lv5 → lv6  基礎魔法 〈小爆発〉 習得 」

というシステムメッセージ、俺は攻撃を避けながら考え、一つの魔法を思いついた。

 〈石〉を〈射出〉〈何かに衝突時〉〈小爆発〉 〈命名:エクスプロージョンストーン〉

 今の俺が咄嗟に思い付いた唯一の魔法、それがこれである。

 「当たれええええええ!」

 パァン!という破裂音とともにギャイイイイイイイイイイイという熊の叫び声が上がる。どうやら右前脚にヒットしたようだ、熊が怯み、ダウンする。

 「今だ!総攻撃!!!!!」

 リーダーの合図で、生き残っていた討伐隊が総攻撃を仕掛けた!


 結局その総攻撃でビッグベアは倒れ、パイオニアオンライン初のレイドボス戦はプレイヤーたちの勝利に終わった。

 俺はこの戦闘の報酬、そして情報への謝礼としてビッグベアの血を貰えるだけもらっておいた。

 あれだけ初期にしては強かったのだ、さぞ強い魔力が含まれているだろうという推測の元の選択である。

 また、討伐隊のリーダーネルスが、戦闘職を多数集めたギルドを作るということだった。

 ギルド名「狩人連合」 これが、パイオニアオンライン最初のギルドとなった。

 ネルスは俺をギルドに誘ってきたが、

「俺は魔法研究者であり、魔法使いではないから」と、軽く断っておいた。

今回の戦闘において後衛を守る動きをしていたエリカも誘われたようだが断ったらしい。


こうしてゲーム内3日目、東の森から危険が消え、本格的に生産プレイヤーたちの活動が始まったのであった。

 3日目夜、酒場にて

 「いやー、熊めっちゃ強かったな、、、一時はどうなることかと、、、」

 「私は後衛の護衛をしていたので大したダメージはありませんでしたけど、前衛の人たちはいろいろと消耗が激しかったらしいですよ?そして、ある種面白いことが広場で起きてますよ!装備の損傷が激しかった人に対して、プレイヤー鍛冶が装備の修復を行っているらしいんですよ!」

 「それはすごいな!ゲーム内の経済がプレイヤーによって回りだしたといえるんじゃないか?」

 そう、これこそが開発陣の求めていた状況、生産職が素材を集め、戦闘職の装備を作り、戦闘職は生産者がよりよい素材を手に入れられるようにフィールドごとに存在する危機を除く。商人プレイヤーの護衛を戦闘プレイヤーが行う。プレイヤー主導の経済が回り始めていたのだ。

 そのように雑談していると、リアル時間時計が午後7時半を指していた。

 「っていうかそろそろリアル夕方か、俺そろそろ飯だし一旦落ちるわ。」

 「あ、じゃあ私も落ちようかな、これからもよろしくね!」

 「うん、よろしく!」


こうして、俺のパイオニアオンラインライフ初回は終わり、一瞬の暗転の後目が覚めた。

「、、、現実かぁ、、、こっちが現実だよなぁ、、、」

改めてこっちが現実ということを認識し一気に疲れる。

ログアウト後の虚無感、なかなかにキツイものがあるな、、、、

「とりあえず、メシ、食うか、、、」

俺は部屋を出て、リビングへと向かう階段を降りるのであった。

俺だったら絶対虚無感に耐えれずにすぐまたインするね

追記:日数計算がめんどくさいことに気づいたのでゲーム内8日=リアル1日

ということで

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