ゲーム内2日目 リアル7/28
「ふぅぁああぁあ~~~」
何とも間抜けなあくびである。
「あっれ、ここどこだっけ、、、あっそっかゲームん中だわ」
そういって俺は目を覚ます、パイオニアオンライン二日目の朝、昨日1日目が始まったのはゲーム内正午でもあったので、今日の正午でリアル2.4時間というわけだ。
「今日は何しようかなーっと、、、広いマップっていうけど町が十分広すぎるんだよなー」
「、、とりあえず町の外行ってみっか!魔法もまだ使ってないし!金も稼がないといけないし!」
とつぶやき、今日やることを決定した。時計を見ると朝8時、普通のゲームならば誰もいないが、窓から見ればもうNPCたちは動き始めている。
エリカに「よかったら町の外行ってみない?店売りよりもいい木材あるかも。朝9時まで正門で待ってる。」とwisを送っておいた。リアルでは女性には話しかけれないがゲーム内では普通に女性キャラにも声をかけられる俺である。旧時代のネトゲのように男性が当たり前のように女性キャラを使うのに慣れていて、エリカが本当に女性であるということがあまり実感できていないのだと思われる。
始まりの広場から町の正門へと続く中央通りではNPC達が朝市を開いていた。
俺は果物屋のおっさんからアプル(3こで100カル リンゴ)を買ってかじりながら正門へと向かい、待っていると8時45分、エリカがやってきた。
エリカが言うには「ちょうど昨日チュートリアルクエスト終わってもう自由なんですよ!」とのことだった。俺はチュートリアルクエストなんざガン無視して魔法図書館で基礎魔法に関する本読んでたからな、、、まああれがチュートリアルみたいなもんか。
正門は町の東側にあり、夜10時から朝6時までは閉門されるので、戦闘職はちゃんと夜には帰ってこないと締め出されて、睡魔の中狂暴化したモンスターに追われることになる。
正門を抜けると左手に森、右手の遠くに山が見える。森の中はそんなに強いモンスターは出ないということで、戦闘メインでやっていくのだろう連中はもう町を出て道をしばらく行ったところにあるらしいルッケの村近くで狩りをしているとのことである。
森の中で、俺は魔法の練習、エリカはいい素材になりそうな枝を集めていると
「あの、魔法研究ってどんなことができるんですか?」とエリカが聞いてきた。
「まだレベル低いからあんまりすごいことはできないけど今でもこのくらいはできるよ」
と、石を飛ばし、それが何かにぶつかった時に火炎が出るという魔法を実演してみた。
「まあ、これはすぐに誰でも思いつくからお金にはならないんだけどね」
「でもすごいです!魔法を組み合わせるって!」
、、、なんだろう、すごくなつかれてる気がする、、これはあれか、数少ない魔法を扱う人を見つけたから離すわけにはいかないということなのだろうか、、
そんなことを考えながら魔法を乱発してウサギを狩りまくっていたのだが
ガサッ、、、、
「何今の音?」
「さぁ?なんでしょうか、、、?」
俺たちが振り向くとそこには熊がいた。
さて、普通の熊でもなかなかに大きい。ホッキョクグマのオスでは2.5Mにも達するという。
しかしこの熊、そんなに甘いもんではなかった、どう見ても5mはある超巨大熊である。うん、無理だねこりゃ。
「逃げろおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「きゃああああああああああああああああ!!!!」
ワンテンポ置いて俺たちは思いっきり逃げ出した。しかし、熊の方も意外なスピードで追いかけてくる!どうなる俺ら!やばいと思った俺は咄嗟にさっきの魔法を放った!命名:ファイアストーン!
魔法は熊の足元に当たり、熊は軽く怯んだ、その隙に俺たちは全力で走り、森から逃げかえることに成功した。
「結局何だったんだろねあれ、、、死ぬほど疲れた、、」
「そうですね、、、、」
などといいながら昼ご飯の黒パンを食べる。このゲームでは中世風の世界観、、、というより日本的ファンタジーな世界観なのだろう、厳密には中世とは違う世界観らしいのだがそれは食事においてもそうであった。この黒パンは中世風な昼ごはんというわけだ。
「さっきの巨大熊、公式の掲示板でも話題になってるねー」
公式攻略掲示板
スレッド名:始まりの街(平原)の北東の森の巨大熊が強すぎる件について
1.○○○ **/**/**
戦闘系スキル3人で行ってフルボッコにされたはwwww
2.××× **/**/**
3人ってどんな構成?
3. ○○○ **/**/**
盾持ち剣士1 二刀小剣1 両手剣1
盾で受けてもゴリゴリHPもってかれんの
装備はルッケの村の店売り、始まりの街よりは性能いいやつだぜ?明らかにバランス崩壊じゃねーか
4.××× **/**/**
人数増やせばええんでね
5.●●● **/**/**
弓とか魔法で遠距離からチクチクすれば楽勝だろww
・
・
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「こんなかんじで、、」
「そうですか、、、じゃあある意味逃げて正解でしたね!」
「まあ、そうだな」
「でも生産系が多いこのゲームにおいて初期街のすぐ横のフィールドにあんな強いモンスター置くなんて、、理由がないならちょっと考えられないよ。何かあるんじゃないかな?」
「それもそうですね、、どうにかして調べられればいいんですけど」
「、、、!、俺に一個調べることに関して心当たりがある!」
「本当ですか!?」
「魔法図書館は、魔法とはついているけどいろんな本があった、この町のすぐ横の森の生物の生態くらいあると思う!」
決定、午後は魔法院で調べものだ。
「見つかりませんね、、、」
「そうだな、、」
現在午後5時、熊に関する書物は今だ見つからずであった。
「うーん、図書館で情報探すのは諦めて、知ってそうなNPCを回ってみるか。」
「そうですね、そうしましょう」
それは、ある老人NPCに熊について尋ねた時であった。
「そうか、デカい熊にあったというんじゃな?あやつはビッグベア、東の森のヌシじゃ。ほれ、わしのこの背中の傷はあやつにつけられたものでな、あれは5年前のことじゃった、ワシはやつを見つけた時仕留められるという慢心があったんじゃ、、、そこでワシは毒矢を奴に向けて放った、ソレが奴の右前脚に当たったんじゃ、ワシはそれで仕留めることができずに逃げ出した、、そして背後から奴にばっさりやられたんじゃ、、、奇跡的に命は助かったがの?若い方、悪いことは言わん、あやつとは戦ってはならん、見つけたら気づかれる前に逃げるのじゃ、、、」
「「ありがとうございました」」
「これ有力情報来たんじゃないか!?」
「そうですね!熊の右前脚にあの方が毒矢を当てたということでしたので、右前脚は弱点かもしれません!」
「そういえば昼に俺の魔法が当たったのも右前脚だったな!これはあいつの弱点情報来たぞ!」
その日の夜、プレイヤー市にて、ある戦闘プレイヤーが叫んでいた。
「えー、明日朝10時から、話題になってる巨大熊の討伐作戦を行いまーす!なので、情報を持ってる方や俺も討伐に混ぜろって方は気軽に声をかけてくださーい!情報提供者には相応の謝礼を用意してまーす!」
ということだったので、早速教えることにした。
「あ、俺たち一つ有力かもしれない情報知ってるぜ!この町に住んでるおっさんが5年前にあいつの右前脚に毒矢を当てたらしいんだ、それで、今日の昼間俺らが森に行ってあいつに遭遇したとき俺が魔法を放ったら右足に当たったんだけど、その時あいつは軽く怯んだんだ!きっとあいつの弱点は右前脚だぜ!」
「ほう、そんなことが、、もしそれが事実ならすごい情報だね。俺はネルス、討伐隊のリーダーをやる予定だ、よかったら君たちも討伐隊に参加しないか?」
「「もちろん!」」
面白そうなことにはとりあえず首を突っ込んでいく二人であった。
宿屋への帰りに昨日ポトバター食べた店によって大量にゲットしたウサギの肉を売ったのでなかなか良い金になった。
次回、巨大熊討伐戦