ゲーム内1日目 リアル7/28
「さてと、、、」
俺はステータス画面を開きながらそうつぶやく。目の前のウィンドウには魔法研究lv1 基礎魔法lv1 などといったキャラクリ時に選んだ基礎スキルや、10000カルといった通貨などの数字が並んでいた。
チュートリアルを終え、ウィンドウを閉じた俺はとりあえずベータ勢の友達と合流しようとした。
が、それは3つの理由からものすごい困難なことであった。
第一に、友達のキャラ名の聞き忘れ
第二に、マップがところどころにある案内板程度しかない。
第三に、プレイヤーの初期地点は3つあり、それぞれが数百キロ離れているうえにどこから始まるかはランダム
と、いうことで俺は早々に合流を諦め、マップを覚えるのもかねて、魔法研究について教えてくれるというNPCの元へ向かうべく歩を進めた。
10分後・・・
「完全に迷ったああああああああああ!」
というのもしょうがない、始まりの街はどれも広大で、半径3キロほどの城壁の内部に町が作られているのだから。
道に迷った俺はとりあえず道沿いにあったレストランでVRMMO初の食事をとることにした。
ゲーム内での十日がようやく実際の一日ということなので、別にゆっくり過ごしてもいいのだ。
「はい、どうぞ」
と、おばちゃんが出してきてくれた、ポトバター(200カル じゃがバターみたいなもの)
を頬張りながら、聞いてみた。
「魔法の研究について教えてくれる人はどこにいますか?」
「道を右に行ったつきあたりの魔法院にいるよ!」
「ありがとうございます」
「いいのいいの!またよろしくね!」
これには正直驚いた、不自然なところがいくつかあるとはいえ一応会話が成立している。
そして俺は、魔法院へと急いだ。
魔法院へ到着すると、受付嬢から魔法院についていくつか説明を受けた。
魔法院では、研究し、開発した魔法の登録や、その利用に関しての権利の設定などができるらしく、
さらには、魔法図書館と呼ばれる、様々な魔法に関する本がある図書館にも自由に読むことができるとのことであった。
魔法を扱うのだろうプレイヤーがチラホラ見受けられたが特に気にすることもなく、俺は魔法図書館へ向かった。すべてはほかの誰よりも早く魔法に関する知識を深め、そして、魔法研究家としてトップに立つためである。
「えーっと、受付のお姉さんが言うには『初級魔導士のための基礎魔法理論』って本がいいらしいけど、、、」
「あ、あった」
などと言いながら目的の本を見つけ、読み始め、暫くしたころ。
シャラリン!という音とともに魔法研究スキルがレベル2に上がった。魔法に対する理解度とともに上がっていく仕様らしい。
結局、その本を読み切ったころには魔法研究スキルがレベル3、基礎魔法スキルが2となった。
このゲームにおける魔法研究とは、魔法の構成要素を知り、それを組み合わせることで、新たな魔法を生み出す事であった。魔法研究スキルが高いほど複雑な条件付けができるようになり、魔法のスキルを様々にあげることで様々な要素を使うことができるので、湊は初期スキルに魔法研究スキルと基礎魔法スキルを取ったのであった。
本を読み終わると、もう完全に夜であった。
湊が宿を取ろうと始まりの広場へ向かうと、広場はちょっとした祭りになっていた。
生産系のプレイヤーが多いこのゲームでは必然ともいえるだろう、自分の作った物、手に入れた物を他人に売る、市が開かれていたのだ。
料理人志向のプレイヤーの作った初級料理:野菜スティック(50カル)を食べながら見て回っていると、木工職人志向らしき女の子プレイヤーが、今日初めて作ったらしい魔法のタクトを売りに出していた。
魔法のタクトはなかなか売れないらしく、必死に売ろうとしている姿が可愛いのでちょっと声をかけてみた。
「すいませーん、このタクトいくらです?」
「はっ、はい!1000カルです!」
「そっか、なかなか売れないの?」
「そうなんですよー、、、、魔法使う方が少ないみたいで、、、はぁ、、、」
「じゃあ、タクト買うよ。あとフレンド登録、いいかな?俺魔法研究スキル取ってるからこれからも作ってもらいたいし。」
「はいっ!もちろんですっ!」
フレンド欄に追加された彼女のキャラ名は、「エリカ」だった。
「エリカさんか、これからよろしく!」
「はいっ!こちらこそっ!」
こうして、VRMMO最初のフレンドを得た俺は、エリカが活動している店の近くの安宿でゲーム内1日目を終えたのであった。
メインヒロイン登場